−7−
ジョーのいう「調べる」というのは、本当にただ「調べた」だけだった。
ともかく着ているものを外されて、まずその服を入念にチェックし、その後私の身体を。うなじ、脇の下、足の付け根、膝の裏、足の指先・・・それはもう、機械的に淡々と進み、そこには何の感情の介在も無かった。
「大丈夫みたいだね」
その一言を最後にして、ジョーの視線は私から外れた。
安心したのは、ジョーの言葉にだったのか、彼の視線が外れたからだったのか。
何しろ、真剣な眼で見つめられていたから・・・それはもう穴が開くほどというのはこういうことかというくらいで・・・身体が火照ってきてしまった。
「着替えなくちゃ」
ジョーが服を持ってきてくれると助かるんだけどな。
察してくれるかしらと様子を窺うけれども無理な話だった。
今だって、本当に機械的に「そうする必要があるからそうした」と言わんばかりの態度で、それが終わったらもう興味はなさそうだもの。さっき外した機械を手の上にのせて観察してるし。
困ったな。
このままの姿で自分の部屋に戻るのは・・・ちょっと勘弁してほしかった。
仕方ないので、もう一度着たくもないワンピースを着ることにした。
本当に、ウエストにある紐一本で留めてあるだけで、これを外したら簡単に脱げてしまうようになっていた。
軽く息をついて立ち上がる。
立ち上がろうとした。
けれども、いつの間にか防護服を脱いでいたジョーに抱きすくめられた。
「ジョー?もういいんでしょう?」
でも離してくれない。
「あの・・・調べるのは終わったわけだから」
部屋に戻って着替えたいのに。
くす。
ジョーが耳元で笑った。
「そうだよ。終わったから、だから・・・」
答えになってない。
けれど。
直接触れるジョーの身体が温かくて。
吐息が熱くて。
指が優しくて。
もうなんだかどうでも良くなってしまった。
だって。
ジョーの望んでいる事は、私の望んでいる事。
いつだって、そう。
ジョーの腕のなかに居られるのなら、私はなんにも怖くないし、安心できるのよ。
|