御挨拶

 

 

初めて会った時、ああ、可愛い子だな・・・と、思った。

何より、白い肌・蒼い瞳が珍しくて、ずっと見てた。
見入っていた・・・というより、魅入っていたというほうが正しかった。

こんなに可愛い子が改造されたんだ。

そう思うと、改めてブラックゴーストに対して怒りが湧いた。
もちろん「可愛い子」だからそう思ったとか、そうではなかったら思わなかったとか、そういう意味ではない。
ただ、「女の子」を改造したという事実が嫌だった。
女の子って守るべきものであって、戦わせてはいけないのだから。
とはいっても僕は別にフェミニストというわけではない。これは単なる勝手な自分のポリシーだった。

戦いになると、いつも誰かが彼女を気にかけていた。
「生身に近い」ということを誰もが知っていたけれど、おそらくそれだけが理由ではない。

彼女は他の誰よりも強かった。心が。

やけになったり、放り出したり、諦めたり、泣いたり。
全く、大の男が揃ってこんな状態ではチームワークなど到底期待できない。
国も年齢も職業も違う。おそらく、永遠に出会う機会がなかった僕たち。衝突するなという方が無理で、むしろバラバラにならない事の方が不思議なくらいだ。

そんな情けない男共を――諌めて、慰めて。時には叱り、そして――いつでも笑顔で迎えてくれた。
それが僕には――僕たちには、どんなに嬉しかった事か、絶対に本人にはわかっていない。

だから男共はいつでも彼女を守る。
必ず誰かがそばにいる。だから大丈夫・・・と、彼女を通じてお互いを信頼するようになっていった。

戦いではない時は、彼女は可憐なバレリーナだった。美しく、ダイナミックに舞う。
彼女が観衆の喝采を浴びると、まるで自分のことのように嬉しく、誇らしかった。

僕たちはそういう彼女をずっと見つめ、守り、愛してきた。

 

けれども、いつの間にか、彼女を守るのはいつでもどこでも決まって「彼」だった。

これが完璧にきっちり彼女を守って、傷ひとつつけないならいいんだけど、そうではなく、時には彼女をあっさりとさらわれたりしてしまう。
もちろん、悪鬼の如く怒り、彼ひとりで奪還に行ってしまうのだけど。

また、時には彼女だけではなく、彼女以外の女性を守ったりもしている。
それは僕らにとってはどうにも納得できないことであり・・・しかし、彼女はそれさえもあっさりと許してしまうのだ。

 

彼女は僕たちの宝もの。

泣かせたり、傷つけたりする者は絶対に許さない。

ジョー、わかったか?

僕たちの大事な妹に何かあったら、全員でお前を倒しに行くからな。

・・・ったく、ニヤニヤしやがって。

 

フランソワーズ、おめでとう。

 

兄代表スピーチ:ピュンマ