「Today is...」

 

 

透明な光が降り注ぐ午後のカフェ。
窓際の小さな緑が、太陽をいっぱいに浴びて笑っている。

私は、窓の向こうに広がる5月の蒼い蒼い空を見上げた。

手元の読みかけの本が、いつしかパラパラと閉じられていく。
心地よい光に身を委ね、片手で頬杖をついて、私はそっと目を閉じた。


彼はいつも待ち合わせに少し遅れてくる。
でもその待ち時間が私は好きだ。


読みかけの本を読む。

道ゆく人をぼんやりと眺める。

カフェの香りをゆっくりと吸い込む。

そして、窓の向こうの大きな蒼い空を見上げる。

 

 

去年の誕生日は2人で海へ行った。

その前の誕生日は2人で映画を見た。

そしてその前の誕生日、貴方は戦場で私を抱きしめて、初めてのキスをくれた。


そう、本当に。

幸せで幸せで。
泣きたいくらいに蒼く澄んだ・・・この幸せがまるで永遠に続くのだと信じてしまいそうなほどの・・・綺麗な空。

 

ねぇ、ジョー。

 

 

カラン、と音がして扉が開いた。

・・・そっと瞼を開ける。

 

今年の誕生日は、どこへ行きましょうか?

 

 

 

 

Fin.

May.16th, 2006 あこ