「報告」
「えっと……ごめん!フレイアとちゅうしちゃったんだ」
それは隙をついて浮気したという意味だろうか。 いやしかし。 フランソワーズが首をちょこっと傾げるのと、ジョーが慌てたように言葉を継ぐのが同時だった。
つい今までは、いったいこの人は何を告白したいのだろうと不思議に思っていたが、こうして慌てて自ら浮気という単語を発したとなると……
そう満面の笑みで言うジョーを見ながら、フランソワーズの心は波立った。 まあ、浮気じゃないのはわかる。 だから慣れる――ということはないのだけれど。
なぜかちょっと照れたように視線をさまよわせ、 「……ちゅうしたくなったから」 ぼそりと言われた。 「はあ?フレイアとちゅうしたせいで私としたくなったっていうの?」 「あ、いや、なんていうか…………はい」
呆れて開いた口が塞がらない。
どんどんジョーが迫ってきて、フランソワーズは壁を背にし進退極まった。 「ちょ、ジョー」 だって隣の部屋にみんないるのに。
帰り道、ジョーが上機嫌な理由とフランソワーズが不機嫌なわけは誰もが知るところであった。
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「ジョーのばか。嫌い」 |