「雨の夜は…」

 

 

 

「あ。雨だわっ」


フランソワーズが顔を窓の方に向ける。

「ね。雨よね」

いや、僕に同意を求められても。
君の方が僕より目も耳もいいんだから、君がそう言うならそうだろう。
僕は信じるよ。

「……そうだね」

ああ、メンドクサイ。
確かに、雨が降って嬉しいのだろう。それはわかる。何しろ、ずっと雨乞いしていたのだから。
ただ。
今、それは後回しでもいいだろう。
待ちに待った雨だとしても。夜遅くに降り始めたのを確認したくても。
たった一瞬前まで可愛い声をあげていたじゃないか。
なのに。
くっそう、雨の奴め。
だから僕は雨が嫌いなんだ。

フランソワーズは嬉しそうに半身をひねり体ごと窓の方を向いた。
不覚にも声が出てしまった。
いきなり予想外の動きをするかな、フランソワーズ。いま、一番深いところで繋がってるはずだろ。

「う……」

まずい。

雨どころじゃない。

僕はフランソワーズの腰をかき抱くとうつぶせにさせた。
そんなに外が気になるなら、そっちを向いていればいい。
後ろから抱き締めて突き上げる。

「ん、ジョー、まって」

冗談だろ。

「待てない」
「だって、…やっ…」

君は雨を見ていればいい。好きなだけ。

僕は君を抱き締める。いやがってもやめないよ。
最中に雨なんかに気を取られるフランソワーズが悪いんだ。

僕はフランソワーズのなかに深く侵入し征服した。
フランソワーズはひときわ甘い声を上げると僕をきつく締め上げた。
体が揺れる。でも許さない。
彼女の締め付けに抗うように僕は更に深みを目指す。

「…ジョー、もう…」

駄目だ。

今夜は離さないよ。

だって君は、僕と繋がってる最中に雨に浮気したのだから。