「ジョーの心配」
ジョーは非常に心配だった。
フランソワーズに笑われても、彼の憂いは消えない。 「今は昔と違って、逆に人気者になるかもよ?」 それでも珍しがられるのは必至であろう。 「――フランスに移住しようか」 ポツリと言われ、フランソワーズは目をみはった。 「ジョー。本気?」 確かに、彼の顔は至って大真面目であった。どうやら本気でフランスへの移住を検討し始めたようである。 「・・・そりゃ、私は構わないし。博士も別にどこでもいいって言うだろうけれど」 そう。 「そうだろう?日本のように目も髪も黒いのが当たり前という所だから珍しがられるけど、他の国では目や髪の色は違っていて当たり前なんだ。――よし、決めたぞ!」 そう言うと、ジョーはすっくと立ち上がり、腕の中の彼女を見つめた。 「僕の好きな蒼い瞳をいじめるヤツは許さないからな」 腕の中の彼女が嬉しそうに笑い、手をのばしてジョーの顎に触れた。
フランソワーズは公園での彼女の人気者っぷりに思いを馳せた。が、黙っていることにした。
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