いつものように――彼の「大丈夫」を胸のなかで繰り返す。 そうして私は、やっと泣かずにすんでいた。 そうでなければ、彼の声を思い出し、彼の温もりを思い出し――焦がれて焦がれて、どうしようもなくなってしまう。 そんなことないのに。 絶対、絶対、また会えるのに。
諦めたくない。 だから――泣かない。
私は009が消えてから、一度も泣かなかった。
だって、出会えるんだもの。
私たちは必ずまた一緒に居られる。 だから、泣かない。
***
***
だから、
目の前に忽然と現れたあなたを見ても――驚かなかった。
「――やぁ、003」
ぼろぼろの防護服に、ぼろぼろの009。 だけど、笑顔は変わってなくて。 「・・・・っ」 崩れるあなたを抱き締める。
「お前っ・・・009!いったい、今までどうして」 002を先頭にして仲間たちが周りに集まってくる。口々に何か言いながら。
私はあなたを抱き締める。 あなたが、どのくらいの時間旅行をしていたのかは知らない。 時空を跳ぶにはそれなりのダメージを受ける覚悟が必要だ。 崩れたまま動かない身体。 私はそれをしっかりと抱き締める。 「・・・・・」 彼のくちびるが微かに動いて言葉を紡ぎだす。 「――そうね。あなたの言った通りだったわ」 私は小さく答える。
ほら。ちゃんと会えただろう?
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