「三時のおやつ」

 

 

「――ハイ、ジョー。アーン」
「ん」

フランソワーズがケーキをひとくち分フォークに刺してジョーの口へ運ぶ。
するとジョーはそれを口に含んで、そして――

「――ン。フランソワーズ」
「ん・・・」

すぐにそのまま、腕の中にいるフランソワーズにキスをして、そして一緒に味わう「Audrey」のケーキ。

「あ、もうっ。ジョーの味しかしない」
「んー?ちゃんとケーキを食べなきゃダメじゃないか」
「さっきからズルイわ。あなたばっかり」
「君がちゃんと食べないからさ」
「食べてるわよ。――もうっ」

今度は自分の口へケーキを運ぶ。そのまま嚥下して――を数回繰り返すと、トントンと肩をつつかれた。

「僕の分は?」
「もうあげません」
「半分、僕のだろう」
「だってジョーが全部食べちゃうじゃない」
「――そんなこと言うなら、返してもらうからな」
「返して、ってどうやっ・・・ん!」

強引に唇を奪われ逃れようと体を動かすものの、ジョーにがっちり押さえ込まれてびくともしない。

 

数分後。

頬を紅潮させて、ぐったりと胸にもたれているフランソワーズをしっかり抱き締めながら、ジョーはにっこり笑った。

「ごちそうさま」

 

 


2008/11/19 up , 2010/7/17 down, 2012/8/26re-up