「怪談?」
「怪談?」 「そう。お化けの話」 「ふうん。妖怪とか?」 「僕が怖がるとでも?」 フランソワーズはちらりとジョーを見て、 「あなたにだって怖いものはあるでしょう」 と言った。 「怖いもの、ねぇ……それを知ってどうするんだい?」 ジョーは疑わしそうにフランソワーズを見た。 「……からかう気なんじゃなくて?」 ジョーは立ち上がると大きく伸びをした。 「無理だね。君には守れないよ」 ジョーはフランソワーズの髪をひと房握り締め、唇を寄せた。 「……君なんだから」 脛を蹴られ、ジョーは飛び上がった。 「ほら!怖いじゃないかっ」
ジョーは頬杖をしたまま、片方の眉を上げた。
どこかからかうような目の光。
「あなたを守ってあげたいの。怖いものから」
「さあ、どうかしら」
「……ふむ」
「あら、見くびらないで。私だって003なんですからね?」
「いや、無理だな」
「そんなのわからないじゃない」
「わかるさ。だって僕が怖いのは」
「なによ、それっ!」
「っつ!!」