周囲には人家もない真っ暗な国道。
対向車もなく、前後を見ても走っている車は自分たちだけだった。

しばらく走っても何も見えない真っ暗な一本道。


「・・・さっきのコンビニが最後の店だったのかしら」
「そうかもな。良かったよ、コンビニがあって」
「そういえば、ジョーは何を買ったの?」
「うん?」
「買いたいものはあったの?」
「うん。すっかり忘れててさ。良かったよ。やっぱり日本は便利だよなぁ」
「で、何を買ったの?」
「ぱんつ」
「ぱんつ??」
「実は手ぶらなんだ、僕」
「僕、じゃないでしょ!何よ手ぶらって。だって私、ちゃんと準備したのに」
「うん。そのバッグを忘れてきた」
「!」

にやにや笑う横顔をじいっと見つめ、フランソワーズは冷たく言い放った。

「ばっかじゃない」
「あ。酷いなあ、フランソワーズ。どうしてそういう悪口を言うかな」
「だってばかなんだもの。他の着替えはどうするの?ずうっと同じシャツを着てるつもり?」
「宿で洗えばいいさ」
「洗ってる間は何を着るのよ」
「着ないよ?」
「裸でいるの!?」
「いつものことじゃないか」
「何よ、いつもって」
「きみと一緒にいる時に裸以外は考えられない」
「変態っ」
「きみも同罪さ」
「イヤよ、変態と一緒にしないで」
「いいじゃないか。変態同士仲良くしよう」
「知らない、ジョーのばか」
「ばかじゃない、変態」


眠気覚ましなのか、暇つぶしなのか。
くだらないことで盛り上がりつつ、ふたりのドライブは続く。

行き当たりばったりの旅行。
今晩――というか、もう未明だけど――泊まるところは見つかるのか。

乞うご期待。

 

 

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