「日曜日」

 


「フランソワーズって柔らかいね」

サイボーグなのに。

「あら、女性の体は自分以上の重さがかかっても大丈夫なようにできてるのよ」
「へぇ、そうなんだ」
「そうじゃなくちゃ、ジョーが発情するたびに潰されちゃうでしょ?」
「発情って…ひとを犬のように言うなよ」
「あらごめんなさい。犬に失礼だったわね」
「フランソワーズっ」

ころころ笑うフランソワーズ。
まったく、こんな可愛い顔をして僕に対しては時にとても意地悪になる。

いったいどうしてくれようか。

「だって、ジョーったら本当に重いのよ」
「……まあ、サイボーグだからな」
「それもそうだけど、たまには私のことも考えて欲しいわ」
「ん?」
「熱情に突き動かされてなんにも見えていないでしょう」
「――それって悪いことか?」
「さあ。どうかしら」

ん。なんだかちょっと――むかついた。

いったいどこの誰と比べてる。
そういう衝動に駆られた時に、フランソワーズを凄く思い遣るような男がいた――という意味なのか?

それに、僕は――自慢じゃないが、物凄く優しいぞ。気を遣うぞ。

「――相手によるよ」
「あら、何よそれ。ちょっとなんかやだわ。私以外のひとには違うってこと?」
「あ、いや」

しまった。

「誰と比べてるの?」
「いや、比べてない」
「相手によるんでしょう」
「だから、そういう意味じゃなくて」
「だったらどういう意味?」
「どういう――って」

ああもう、どうしてこんなことでケンカになるんだ。
大体僕は、フランソワーズと知り合ってからは彼女としか――って説明するのもメンドクサイ。
それに、面と向かって説明することか?
いくらなんでも、わかるだろう、それくらい。

わかれよ、フランソワーズ。

「ああもう、発情したっ」
「え?」
「心のヨユウなんかないぞ、僕は犬だからなっ」
「それって犬に失礼――」
「うるさいっ」
「ジョーったら、重い」
「わん」
「わん、ってアナタ」
「わんわん」
「……」

 

…………。

 

結局、二人で笑ってしまって、そのまま――昼ごはんになった。

なにやってるんだろうと思うけれど。

 

ま、平和ってことかな。