白馬の王子さま
白馬の王子さま。 という概念は、小さい頃からあったように思う。 ともかくジョーは、いつか自分も誰かを・・・美しい姫を迎えにゆくのだと思っていた。 大人になったら。 それは、なんだかとても大切な事であり、なおかつわくわくするものでもあった。
自分はちゃんとわかるのだろうか。 もし、間違ったら?
***
フランソワーズは僕の「姫」なのだろうか?
深夜、寝顔を見つめながらジョーは考えていた。 もしかしたら、僕が勝手にそう思っているだけなのかもしれない。 しかし、そう思っても、ジョーは自分が間違ったとは一度も考えたことはなかった。
・・・白馬の王子さまと、その相手の姫は一人ずつだと決まっているのだろうか。 じゃんけん? くじ引き? それとも、誰が自分の待っていた王子なのか、すぐわかるのだろうか? フランソワーズの髪を撫でると、彼女は甘えるようにジョーの方へ身をすりよせた。 ・・・眠っているのに。
ジョーは微笑むと、フランソワーズの額に優しくキスをした。 フランソワーズ。 もし僕がきみの待っている王子さまじゃなくても。 僕はきみを渡さないよ? きみが困っても知らない。 でも、安心して。 僕は必ず勝つから。 絶対に負けないから。
だって僕は、きみの白馬の王子さまなんだから。
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