白馬の王子さま

 

 

白馬の王子さま。

という概念は、小さい頃からあったように思う。
確か、教会に置いてあった本・・・か、何かを読んだり見たりしたのだろう。

ともかくジョーは、いつか自分も誰かを・・・美しい姫を迎えにゆくのだと思っていた。

大人になったら。
自分だけの姫を迎えに行く。

それは、なんだかとても大切な事であり、なおかつわくわくするものでもあった。


どんな人なんだろう。

自分はちゃんとわかるのだろうか。
見付けることができるのだろうか。

もし、間違ったら?


いやでも、きっと大丈夫なのだろう。
お話の中の王子さまたちは、みんなちゃんと姫を見付けていたではないか。
だからきっと・・・わかるようになっているのだろう。

 

 

***

 

 

フランソワーズは僕の「姫」なのだろうか?

 

深夜、寝顔を見つめながらジョーは考えていた。

もしかしたら、僕が勝手にそう思っているだけなのかもしれない。
本当は、フランソワーズには別の誰かがこれから迎えにやって来るのかもしれない。

しかし、そう思っても、ジョーは自分が間違ったとは一度も考えたことはなかった。

 

・・・白馬の王子さまと、その相手の姫は一人ずつだと決まっているのだろうか。
もし、一人の姫に複数の王子がやって来たらいったい姫はどうするのだろう?

じゃんけん?

くじ引き?

それとも、誰が自分の待っていた王子なのか、すぐわかるのだろうか?

フランソワーズの髪を撫でると、彼女は甘えるようにジョーの方へ身をすりよせた。

・・・眠っているのに。

 

ジョーは微笑むと、フランソワーズの額に優しくキスをした。

フランソワーズ。

もし僕がきみの待っている王子さまじゃなくても。
もし、きみを迎えにこれから何人も王子さまが来ても。

僕はきみを渡さないよ?

きみが困っても知らない。
きみをかけて、決闘だってするかもしれない。

でも、安心して。

僕は必ず勝つから。

絶対に負けないから。

 

だって僕は、きみの白馬の王子さまなんだから。

 

 

 

平ゼロトップへ