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戦っているときは、ピンクのカチューシャをする。
でも、あなたとのデートの時は、パールのカチューシャをする。

実用的じゃないよってあなたは言ったけれど、これでいいの。
あなたと居る普通の日常では、私はひとりのおんなのこだから。落としたら割れてしまいそうなものを、身につけていたって、いい。
普通の、ただのおんなのこには「ちょっとやそっとの衝撃」なんて縁がないのだから。

 

 

 

パーティ会場へ向かう車の中で、そっとジョーの横顔を見つめる。
いつもは気付かないのに、今日はすぐに気付いて優しい瞳で見つめてくる。
私の手はずっとジョーの膝の上で握られていて、絡めた指に少し力がこめられた。
「何?」
小さく訊かれる。
「なんでもない」
「そう?」
「うん」
だって、なんだかとても幸せなんだもの。
この一瞬が、ずうっと続いてくれたらいいのに。