ミッションの後、ずっとジョーはごねていた。
ジェットがフランソワーズに耳打ちする。 「何か落ち込んでいるのか怒っているのか…わからねーけど、どうせお前さん絡みだろう?なんとかしてくれよ」 フランソワーズはただため息をついた。 ジェットに言われるまでもなくわかっている。原因は自分だということを。
「でも、そんなに気にすることかしら」
***
「フランソワーズの気持ちはよくわかったよ」 ややぶっきらぼうにジョーが言う。 「あらそう、ありがとう」 対するフランソワーズはすまして答える。 その繰り返し。 ジョーはどうかわからないが、フランソワーズはいい加減うんざりしてきていた。 しつこいし。 暗いし。 ともかく、地を這うような低音の声はなんとかならないものだろうか。
どうせ。 僕なんか。
まったく手間がかかる。 「もっと自分に自信を持ってちょうだい」 けれどもジョーは無言だ。 「この私が好きになったひとなのよ」 ジョーの口許に耳を寄せたフランソワーズに、小さい声でジョーは告げた。 「そうしたら、自信がつくような気がする」 ぼそぼそと口の中で言われ、フランソワーズは溜め息をついた。 「もう。ずるいわ、ジョー。自分は言わないくせに」 するとジョーが顔を上げた。まっすぐにフランソワーズを見る。 そして。 「もっと好きになる。僕には限界はない」 きっぱりと言い切った。 フランソワーズはなんだか胸が詰まってとっさに声を出せなかった。 するとジョーの声が少し曇った。
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しばらくの後、ジョーの機嫌は直っていた。 フランソワーズが彼に甘え倒したからなのに他ならなかった。
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