−4−


自分の叫び声で目が覚めた。

未来都市から戻って以来、頻繁にあの時の夢を見る。
フランソワーズが爆死した時のことを。
今でもまざまざと思い出されるリアルな記憶。

――恐ろしかった。

怖かった。

後で、あれはロボットだったと聞かされても、それでもあの時の彼女は「フランソワーズ」だったから。
同じ声で、同じ瞳で僕の名を呼び、僕を見つめた。

「フランソワーズ」

暗闇の中で、ただ名を呼んでみる。
今見たのは夢だとわかっていても、現実と夢との境界はひどく曖昧で、その狭間で僕はひとりなす術もなく漂っていた。

−5−


「・・・どうしたの?」

声を掛けられ、はっと我に返る。

「手が止まっているわ」
「あ。ウン・・・」

朝食の席だった。
いつのまにか、ぼんやりしていたらしい。

「昨夜、良く眠れなくてね。変な夢を見るし」
「変な夢?どんな?」
「どんな、って・・・うーん」
言ったものかどうか一瞬迷い、結局言わないことにした。

「忘れた」


「まあ。でも最近のアナタ変よ。顔色も良くないし」
未来都市から戻って以来、ずっと顔色が悪いし、それに・・・ひとりで居ることが多くなった。

「・・・私ね。アナタに伝えたいことがあるの」

そう言った途端、ジョーが凄い形相でこちらを見る。
「フランソワーズ?」
「何?」
「君、・・・ほんもの?」
「なにバカなこと言ってるのよ」

ジョーが椅子を倒し、立ち上がる。
「ジョー、お行儀が悪いわ」
「君は誰なんだ?」
「やーね。何を言っているのよ」

その瞬間、身体のなかで作動音がした。
立ち上がる。

「・・・おかわりは自分でして頂戴。私は用事を思い出したわ」

驚いているジョーを残し、外に出る。

そして。

あとは、闇。

−6−


ナゼダ。

ワカラナイ・・・