〜003を救出せよ〜
「原作」
「009、助け・・・」
台詞を言おうとした003はそのまま固まった。 「・・・?」 敵がいないんじゃ、ゲームにならないわ・・・と思った時、正面の扉がゆっくりと開かれた。 「――ジョー!?」 ゲームは中止みたいよと言いかけた唇が凍る。 「――やあ。無事?」 彼が引き摺っているものを見て目を瞠る。 「ジョー、それ・・・」 黒タイツを床に放置し、009はひらりと舞台に飛び乗って003の縄を解いた。 「これでよし」 ちゃんと言ったはずだったのに、一晩寝たらすっかり忘れたらしい。 「――ああ、そうだったっけ。いやぁ、そうか。参ったな」 照れたように笑いながら頭をかくその様子を見て、003は呆れるのと怒るのとどちらにしようか迷い、 「・・・もう。ジョーったら」 何故なら、009の額には汗の粒が浮かんでいたのだ。
「――帰ろう、フランソワーズ」 ジャンプして舞台から飛び降り、フランソワーズに向かって手を差し出す。 「ええ」 フランソワーズは微笑むと、ジョーの手には掴まらず――そのまま彼の胸へダイブした。 「うわっ」 フランソワーズを胸に抱き締め、ジョーはその勢いのまま背中から仰向けにひっっくり返った。 「・・・フランソワーズ!」 好き。 声に出して言うかわりにそのまま彼の胸に顔を埋めた。
|