〜003を救出せよ〜
「平ゼロ」

 

 

「009、助けてっ」

 

そう言ったと同時に腕の縄を引きちぎり、自らも脱出を試みる。
殺到する敵に回し蹴りを決め、舞台から飛び降りよう――としたところで、背後から抱きかかえられた。

「――っ!!」

振り返りざま、相手のみぞおちに肘を叩き込み、そして――

「ぐっ・・・げほげほげほっ・・・ひどいなあ、フランソワーズ」
「ジョー!?」
「せっかく助けに来たのに」
「いやだ、大丈夫?」
「うん、大丈夫・・・」

009は息を整えると、003の手を引き脱出を図った。

 

「――これでいいのかな?」

少し離れた場所で、ふたり顔を見合わせる。

「ええ、たぶん・・・」
「脱出したところまで、でいいんだよね?」
「ええ、たぶん」
「・・・そうか」

そして、009は003をきっと睨んだ。

「ダメじゃないか!!」
「えっ・・・ジョー?何が?」
「何がじゃないよ、どうして僕がいくまで待ってないんだ」
「・・・だって、私だって少しは」
「だってじゃない」
「私が頑張れば、あなたの負担も減るでしょう?何がいけないの?」
「――フランソワーズ」

燃えるように輝く蒼い瞳から目を逸らし、009はそっと003の肩に手をかけため息をついた。
そうして静かに抱き寄せる。

「・・・もう少し、僕に頼ってくれたっていいだろう?それとも僕は頼りにならない?」
「ジョー、私そんなつもりじゃ」
「わかってる。だけど、たまには全部頼ってくれてもいいじゃないか」
「・・・・でも」
「迷惑なんかじゃないよ。わかってるだろう?・・・僕は好きでそうしてるんだから」
「・・・ゴメンナサイ」