〜003を救出せよ〜
「新ゼロ」

 

 

「009、助けてっ」

 

言った瞬間、キャットウォークから飛び降りてきたひとは、そのままの勢いで包囲する敵を全て撃破した。飛び降りたままのキックが炸裂し、床に降り立った途端にあっという間に彼の周りの人影が地に這う。

その間、コンマ数秒。

まばたきした後、目の前に009が立っていた。

「大丈夫かい?」
「ええ」

手の戒めを解く間もあらばこそ。
009は、そのまま003を胸に強く抱き締めると、次の瞬間には彼女を肩に担ぎ上げステージの床を蹴っていた。
そのまま2階のキャットウォークへジャンプし、侵入経路を逆に辿ってあっけなく外に出た。

 

「・・・ふう」

地面に003を下ろし、縄を引きちぎって003を自由にする。

「――簡単すぎるなぁ。敵は弱いし」
「本気でやったの?」
「もちろん」
「ゲームなのに?」
「ああ」
「手加減してないの!?」
「してないな」
「どうして?」

ダメじゃない、遊びなのよ?――という声を009はあっさり無視する。

「遊びかどうかなんて関係ない。きみを助けるのは、いつも全力だ」

当たり前だろう?

「それじゃダメかな」
「もうっ・・・ばか」