「隣にいるのは彼」

 

 

「あったかくて、晴れていて、気持ちいいわねえ」


フランソワーズはギルモア邸の前庭で大きく伸びをした。
金色の髪がきらきら煌めく。

話しかけたはずの相手の答えがなくて、フランソワーズはくるりと振り返った。


「まあ」


晴れているからシーツを全部洗うわと朝から張り切っていたフランソワーズに、だったら僕が干すよ、重いし大変だからねと受けあったのは
ジョーである。
が、そのジョーはシーツがいっぱいに入ったランドリー籠を傍らにもたれるようにこっくりこっくりしていたのだった。


「……ジョー?」


額をつんとつついてみる。
が、微かに眉間に皺が寄ったものの目は開かない。


「もうっ……しょうがないひと」


フランソワーズはちょっと考えて、そうしてジョーの隣にちょこんと腰かけた。


そうっと彼の肩にもたれてみる。


ジョーの匂いがした。


あたたかくて、晴れていて、隣にはジョーがいて。

なんだか少し泣きたくなったから、そのままぎゅっと目をつむった。