「――ごめん。フランソワーズ」
僕は胸の上にフランソワーズを抱き締めて、ただ髪を撫でていた。
どのくらいそうしていただろうか。
「・・・」
フランソワーズが何か言ったみたいだった。
「え?なに?」
「・・・よ」
「え?」
フランソワーズが顔を上げる。
乱れた金髪が顔にかかっているけれど気にしない。
「――ジョーのこの身体も私は好きよ」
鋼鉄の身体。
忌避すべき――身体。
「身体なんてただの容器だけど、でも・・・これもあなたに代わりはないもの」
「・・・機械の身体なのに?」
さっきはそう言ったら駄目だと言ったくせに。
「だって、どっちもあなただもの。生身でも機械でもどちらもあなた。私はあなたであれば何でもいいの」
「・・・なんだかひどいことを言われているように感じるのは気のせいだろうか」
「ひどくないでしょ?こんなに熱い告白ってそうそうないと思うけど?」
そうかもしれない。
生身の身体でも、機械の身体でも。
そんなの、本当は関係ないのかも――しれない。
「いま大事なのは、こうしているっていうことでしょう?」
「そうだね」
例え刹那でも、こうしている時間が大事なのは確かだった。
ごめん、フランソワーズ。
君と会えたのは機械の身体の代償なんかじゃない。
もっと違う――もっと大事で、もっと大切な――