「絶対、駄目!」

 

 

「オリンピックかぁ。ねえねえ、自分が出るならどの競技にする?アニキ」


テレビにかじりついていたセブンが振り返る。
ソファに隣り合って座り、いちゃいちゃしていたナインとスリーが顔を上げた。


「僕が出たら勝負にならないだろう、セブン」
「例えばだよ」
「・・・フム」
「私は絶対フィギュア!」
「へぇ。スリーらしいね」
「うふふ、セブンは?」
「雪合戦だろ」

にやにやするナインにセブンはむくれた。

「そういうアニキは何にしたんだよ?」
「僕か。そうだなぁ・・・」
「ジョーは絶対、ダウンヒルよ!」
「ダウンヒルか」
「アルペン競技の花形種目だし、高速勝負でしょう?ジョーはスキーが巧いし、ぴったりだわ」

瞳を輝かせて言うスリーをじっと見つめると、ナインはおもむろに口を開いた。

「でもかなりの危険と隣り合わせだな。ミスしたら死なないまでも大怪我だ」
「!」
「・・・まあ、僕ならそんなことにはならないだろうけどね」

ちらりと笑んだ視界の片隅に唇を噛んだスリーが映った。

「・・・駄目よ、そんなの」
「えっ?」
「駄目って言ったの!そんな危ないこと、絶対駄目!」
「いや、例えばの話で、誰もやるとは言ってないよ。なあ?セブン」
「うんうん。考えすぎだよスリー」

しかし、スリーに二人の声は届かなかった。

「絶対にイヤ!ジョーに何かあったら私っ・・・」

腕に巻き付くスリーの頭をヨシヨシと撫でて、ナインは息をついた。


「・・・わかったよ。僕はセブンと一緒に雪合戦にしておくよ」