こちらはオトナ部屋です!!
御注意ください!

「くすぐったいの!」

 

 

 

「ん。ちょっとジョー。くすぐったいわ」

「うん?くすぐったいじゃなくて、気持ちいい、だろ?」
「えっ・・・」

スリーは真っ赤になった。顔だけでなく首も耳も赤い。
一瞬で染まったスリーをナインはきょとんと見つめ、そうして笑った。

「なななによ、どうして笑うのっ」
「ひみつ」
「いやっ、なんだか顔がえっちだわっ」
「そう?」
「ええ!」

スリーは天井を背景にして上から見つめてくるナインの瞳をじっと見た。

「く・・・くすぐったい、もの」

ナインは何も言わない。

「ねえジョー、聞いてる?」

甘えるように言ってみたけれど返事はない。
だからスリーは少し考えて・・・ナインの瞳をしっかり捉えたまま言った。

「ジョーはどうするのが気持ちいいの?」
「えっ!?」
「私にできることがあったら、遠慮しないで言ってね」

ナインは白いシーツの上のスリーをじっと見つめた。
シーツの白と頬の赤のコントラストが目に焼き付く。

そうして、みるみるうちに自分も真っ赤になった。

「ジョー?」
「僕はいまのままでじゅうぶん気持ちいいから、いいんだ」
「そうなの?」
「うん」
「じゃあ、私にできることなんて何もないのね」
「そっ・・・そんなことないよ」
「じゃあ教えて」
「いっ・・・」

ぎょっとしたように目を見開くナインにスリーはくすくす笑いだした。

「嘘よ。ジョーったら慌てちゃって、カワイイ」

可愛く笑うスリーを見つめ、ナインも一緒に笑った。
笑って、そして。

「ヤダ、ジョー。くすぐったい、って言ったでしょ?」
「くすぐったい、じゃなくて気持ちイイ」
「・・・だって」

じっと見つめるナイン。
スリーは瞳を潤ませて、息をついてから小さく言った。

「・・・気持ち、い・・・ヤダもう、わかんない」

そうして目を閉じた。

「・・・ジョーのいじわる」

 

 

***

 

 

「・・・ねぇ、ジョー」


しばらくしてから。
隣でうつぶせに目を閉じているナインのほうに顔を向けて、小さくスリーが言った。
背中にナインの腕の重みを感じながら。

「――ウン。何?」

けだるげに返すナイン。
眠そうに目をこじあけてスリーの顔を見る。

「・・・あのね。私、考えたんだけど」

ためらうように少し黙って。

「その・・・私ばっかりくすぐったい――ええと、き・・・気持ちイイの、ってずるいわよね?」
「――んっ?」
「だって、ジョーも同じくらいその、・・・気持ちよくないと」
「・・・え。いいよ別に」

気持ちイイし。と欠伸混じりに答える。
が、スリーは決心したように言うのだ。

「ううん、駄目よそんなの。そんなのって全然平等じゃないし、それにその、・・・私もジョーに気持ちよくなってもらいたいし」
「じゅうぶんに気持ちイイから、別に気にする事ないよ」
「そうじゃないの。私がイヤなの」
「いやだから、僕は平気だよ?」

なんだか話がおかしな方向に向かい始めているなと思いつつ、ナインは体を起こした。
起こそうとした。
が、背中からスリーにのしかかられ、あえなくシーツに突っ伏した。

「ちょっ、フランソワーズ?」

背中にあたる温かくて柔らかい感触にナインは焦った。

「ど、どうし」
「私だって、ちょっとはわかるようになったのよ?」

何を?と訊く前に、首筋にくすぐったい生温かい感触を覚え、ナインはぎゅっと目をつむった。

「――ふ、ふらんそわーずっ・・・!」
「・・・気持ちイイ?」
「いや――」

くすぐったい。

けれどもスリーは容赦なくナインの首筋から背中にキスを浴びせた。

「やめっ・・・こら、フランソワーズ」
「だってジョーの背中好きだもの」
「いやでもっ」

気持ちイイというより、それはもうかなりくすぐったい。
が、おそらくそう訴えたら先ほどのナインのセリフと同じことを嬉々として言うのだろう。

「・・・」

ナインは大きく息を吐き出した。
まあ、これも進歩といえば進歩には違いないと思いながら。

 

 

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