ナインとスリーの年末年始顛末
このお話は2016/12/30に拍手ページにアップしていたお話です。
2016年のナインお誕生日のお話(オトナページにあります)が大前提なので
先に再読いただけると二度楽しめると思います。が、読まなくても大丈夫です♪
何がどうしてこうなったんだろう。
年末年始はふたりでゆっくりしたいなあと言ったのはフランソワーズだった。 「いいの?」 ぱあっと顔を輝かせ嬉しそうに微笑むフランソワーズ。 「――でいいわよね?」 僕の部屋に行くのはいつにするとかそんなことを言ったのだろうと勝手に判断し適当に答えた。 「良かったわ。じゃあ、博士とイワンに言っておくわね。私のことは気にせずハワイに行ってきていいわよって」 ずうっと一緒。 不覚にも僕はその言葉に思考停止してしまい――ずうっと一緒だなんてなんて甘美な響きだろうか――再び彼女の言葉を聞き逃した。 「――ってことでいいかしら?」 大晦日の夜は一緒にカウントダウンするのだろうか。そしてそのまま初詣か。 僕はのんびりそんなことを考えていた。 「――もしもし」 おやすみ――と切ろうとしたら 「だからジョー、ドア開けてくれる?」 言――ってない。と、思う。
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「昨日、ハワイに発ったのよ二人とも」 部屋に入るなりフランソワーズは荷物を下ろし、テキパキと解き始めた。手も動いているけど口も動く。 「そのあとギルモア邸を大掃除したから、昨夜は疲れてぐっすりだったわ。今日はここの大掃除だしね」 そうして持参したお掃除セットを示してみせる。 「言ってくれたら迎えに行ったのに」 するとフランソワーズは立ち上がり、僕の頬をつついた。 「いいの。荷造りするのも楽しかったし、ここに来る途中も楽しかったから」 普通の恋人同士みたいで そう頬を染めて言う彼女はなんていうか――凄く可愛くて――僕は思わず抱き締めていた。遠慮することはない、ここは僕の部屋で今は二人しかいないのだから。
始める――つもりだった。 の、だが。
前述の通り、ここはナインの部屋であり今は二人しかいない。 「――フランソワーズ?」 大掃除隊長のスリーが何故かナインから離れない。さっさと彼女から離れそうなシチュエーションなのにも関わらず。 「ジョー?大掃除ってもうちょっと後じゃ駄目?」 と甘えたように言われた。 「え、いや…」 別に大掃除になど興味のないナインである。駄目なわけがなかった。 ――いや、もっと喜んでいいんだよな?僕は。 戸惑いながら、そう自分に言い聞かせる。 どうにもやはり戸惑ってしまうのだった。
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まず、ここはリビングの床であるという事実。 そして、二人とも妙な半裸状態だということ。 二人における自然な流れでは、ベッド以外の場所というのは有り得なかったし、着衣のままというのも無かったことである。かといって、ちょっと待って場所を変えてと言うのは流れを切ってしまいそうで怖い。今の楽しくじゃれあっているのが気持ちよく、リビングの床の硬さも気にならない。 ――それがまずかったのか? いや… 別にまずくはないのだった。 やはり、誕生日の時のあれか。 と考えた瞬間、かっと頬が熱くなった。 ななな何を言ってるんだ僕は。味、って!そうじゃなくだな、僕が言ってるのは スリーがその行為を気に入ってしまった――ということだった。 なんでも一生懸命、研究熱心なスリーである。 うーん。でもなあ。かといって誕生日以降にそういうことが多かったかというとむしろ逆だったし… そうなのである。 などとゆっくり余裕でいられるのも今のうちだった。
「く…」 だからきみ、まさかの上手か…っ!!
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ジョーが可愛い。
スリーは決してこの行為が好きなわけではない。 ――涙目になって我慢しているジョーって凄く好き。 なのである。 「ねえジョー」 顔を上げる。 「――え?」 少し怒ったようなナインの声にびっくりする。 「あのね。その…どうしてますます硬くなってくるの」 しかしナインの声はスリーに届いているのかどうか。 「――うふ。でも今のジョーってとても素敵」 そう言った途端、ナインが身体を起こしスリーを押し倒した。 「え、ちょ――ジョー?」 びっくりして見つめるナインの瞳は真剣で怖いくらいだったから、スリーは一瞬で緊張した。 「それって…」 語尾が揺れる。 ――嫌われた。 そう思った途端、胸がいっぱいになって声が出なくなった。 「ごめ」 ごめんなさいと涙声で言おうとしたところで唇が塞がれた。 「――フランソワーズ」 ナインは動かない。 「どうした?――痛い?」 途端、突き上げられ驚いた。 「ジョー?」 可愛いんだっ 「――え?」
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