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「Birthday Night」

 

 

 

僕はわざと音を立ててフランソワーズの胸を吸っていた。
こうすると嫌がるんだけど、それがいい。
それに僕にはわかっている。嫌がっているけど本気で嫌がっているわけではないということが。
だって、嫌がっているっていっても――

「ん……もう、いやん、ジョー」

――これだから。

凄く可愛い声を出すからやめられない。
それに、僕は嫌がることだけをするわけじゃない。
嫌がることもするけれど、嫌がらないことはもっとするわけで……

だって酷いんだよフランソワーズは。
僕をマザコンだのファザコンだの言ってからかうんだ。
もちろん、本気じゃないのはお互いにちゃんとわかっているから、遺恨はないけれど。
ただ、ちょっとガンダールさんの話をしたら、まあブラコンの気もあったなんて知らなかったわなんて言うからさ。
まったく。
それを言うなら、僕にはフランソワーズしかないのに。

ずっと孤独だった僕には執着するものなど何もなかった。
来る者拒まず去るもの追わず、誰でも何でもよくて、これじゃないと駄目とかこれじゃないと嫌だとかこだわりもなかった。
こだわっていたら、いつか亡くした時にどうしたらいい?更に孤独になるだけだ。
だから大事なものなんて何もなかったし要らなかった。
本当に必要なかったんだ。

でもフランソワーズに出会ってしまった。

警戒していたのは、おそらく惚れてはいけないと思っていたからだろう。
惚れたら弱点になるとわかっていたから。
でも僕には差し伸べられた手を振り払う勇気もまた無かった。
どうせすぐに去っていくだろうとそういう予感もあったから、なりゆきに身をまかせた。今までみたいに。
でもフランソワーズは去らなかったし僕を拒否したりもしなかった。
代わりに怒ったし叱ったし泣いたし笑って手を引いた。僕のなかの色々なネガティブなものをちょっとずつ消していった。
だからたぶんいま僕を割って中身をみたら、なんだかきらきらしたものしかないかもしれない。
そしてそれは全部、フランソワーズから貰ったものなんだ。
僕はフランソワーズから貰ったものは全部とってあるし、絶対になくさない。自分のものはなくしても。
そう、自分のものは何も要らない。むしろフランソワーズがくれるものだけで出来上がってしまいたい。
こういう可愛い声とか。柔らかい肌の感触とか。そういう思い出だけでいいのだ。

「もう、ジョー。痛い」
「あ、ごめん」

ちょっと本気で怒られた。どうやら舐めすぎたらしい。ひりひりするから程ほどにねっていつも叱られるんだ。
ごめんねの代わりに唇にキスをすると、僕はフランソワーズの脚の間に手を差し入れ柔らかい部分を目指した。
しっかり潤っているので、これもわざと音を立てると

「ん、もぅ…いや…」
「いやって何が?」
「もう、……知らない」

ああ、可愛い。可愛くてどうしようか迷ってしまう。
迷ってしまうが、あまり迷うと本気で怒られるのでとりあえずまずは繋がろう。そうしてから考えよう。


考える余地があるならだけど。

 

2018/1/24up(2017/1/24初出)Copyright(C)2007-2018 usausa all rights Reserved.