ここはオトナ部屋です!!御注意ください!!
いつもは、彼が先に・・・ということはなかった。 だから、滅多にないそれは私にとって驚くというより、ただ戸惑うだけだった。 ――置いてきぼりにされた気分。 「あの・・・ジョー?」 小さく声をかけてみる。 とはいえ、名前を呼んでみたものの、次の言葉が続かなかった。 「えっと、その・・・」 何をどう言ったら、彼はこちらを向いてくれるのだろう? 「んーと、・・・」 言葉を捜す。 「え、っと・・・、その、ダメだったわけじゃないし」 ああ、何を言ってるんだろう!? けれども言葉は止まらなかった。 「だから私は大丈夫だし、その、だから、えっと」 途中で肩越しにこちらを向いたジョーの眼光の鋭さに思考が停止した。 「ええと、だから」 身体を起こすジョーの顔が怒っているみたいで怖い。 「だからつまり、」 パニックになった私は、口早に話し続けた。 「もう一回、しましょう」 「・・・もう一回?」 訝しそうなジョーの視線を避けるようにうつむく。 「えっと、一緒に、その・・・」 言っていて、顔が熱くなっていくのがわかる。 「だから、もう一回・・・」 思わず顔を上げる。 「そういう意味じゃ・・・なくて」 ジョーの視線に泣きたくなってくる。 「ひ、久しぶりだから、うまくタイミングが合わせられなくて、だから、私が」 「――そうだね。フランソワーズが悪い。・・・全部」 胸に抱き締められて、優しく髪を撫でられて。 全て私のせい。 胸の奥に重い塊があるみたいに胸が詰まった。 そう・・・全部、私が悪い。 こういう事は、お互いの理由が半々なのだろうとは思うけれど、 ジョーの冷たい態度に、心も体も冷えそうだった。 「きみが感じすぎるから。だから――」 耳元で掠れた声で言われた。囁くように。 「か、感じすぎる、って・・・」 そのまま耳を噛まれ、首筋にあてられた唇の熱さに、私は何も考えられなくなってしまった。 「あの、・・・じゃあ、あんまり感じないように・・・頑張る」 ジョーが私から唇を離し、驚いたようにまじまじと見つめた。 「・・・ばかだなぁ」 そうして、額にキスをひとつ。 「そんなの頑張らなくていいんだよ。――今日のフランソワーズも、僕は」 「でも――」 ジョーの唇が熱い。 「大丈夫。今度はちゃんと一緒に・・・」 そうして深められたキスは、さっきよりずっとずっと熱かった。 *** 数分後、私は身体が熱くなってゆくのに身を任せることしかできなかった。 ジョーはそう言ったけれど、やっぱり、一緒にというのは無理みたい。 2008/10/13初出
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先刻から、ベッドに突っ伏したままの彼の表情は見えない。
が、私の声に微かに背中が揺れた。
――私は大丈夫よ
――よくあることだから。
――気にしないで・・・
どれも適当ではないような気がした。
――私は平気よ。
――だから気にしないで。
伝えたいのはそれだけなのに、何故かそれだけでは駄目なような気がした。
掴まれた手首が痛い。
「ええ。だからその、」
「・・・また同じだよ、きっと」
「ううん。大丈夫。私も頑張るから!」
「・・・頑張る、って・・・」
だって、こんなこと、とても目を見て言うなんて無理。
「・・・一緒?」
「そう、一緒。・・・私が頑張るから。あなたと一緒に、その・・・合わせるから。ちゃんと」
「――単に満足してないだけだろう?・・・俺のせいで」
「ちがっ・・・そんな意味じゃ」
どうしてうまく伝えられないんだろう?
どんなに恥ずかしくても、きっと――大事なことのはずなのに。
私が悪いの・・・という言葉は、抱き締められたジョーの胸に遮られてしまった。
彼の声はとても優しいけれど、その台詞は冷たかった。
視界が滲んでゆく。
心が――重い。
ジョーが先にというのは本当に稀なことだったので、やっぱり私が悪いのだろう。
だけど、そんなにはっきり言わなくたっていいじゃない。
抱き締められているのに。
あんまり可愛くて、もたないよ。
それって私のせいなの?
先刻まで冷えそうだった心と身体は、あっという間に燃え上がった。
凄く好きだよ
だって、今度は私が先に・・・