こちらはオトナ部屋です!!
御注意ください!
うなじに唇を寄せてゆっくりとキスをしてから抱き締める。 でも、やっぱりどうにもくすぐったくて、私はジョーを押し遣った。 「ジョー。もうっ、くすぐったいわ」 言い淀む私に片方の眉を上げて促す。 いいわ、じゃ、言うから! 「なんだかしつこいわ」 軽く頬を膨らませて怒ったように言った私に一瞬目を丸くして、次の瞬間大笑いしていた。 笑い死んでるジョーを押し退けて、私は彼の身体の下から自分の身体を引っ張り出した。 ジョーがずらした肩のストラップを元に戻す。 「ダメだよ。まだ脱ぐなよ」 ホックに手をかけた私をジョーが後ろから抱き締める。 「だーめ」 そのまま耳たぶが軽く噛まれる。 「それを脱がせる楽しみは僕のもの」 そうして私は、再びジョーの腕の中へ戻る。 「・・・綺麗だ。凄く」 そしてキス。 「僕の思った通り、凄く・・・」 そそるね、と小さく言った声はキスに変わってゆく。 いま身につけているのは、ローズピンクの下着だった。 似合うかどうか見たいから、つけて見せて、と言われ、だってすぐ脱がすくせにと答えた私。 いったい、どうしたいの? ベッドサイドには真紅の薔薇。これもジョーからのプレゼント。 私からは、チョコレートと彼の好きなものづくしのディナー。 それは、私。 彼がそう言うのは特別な事ではなかったけれど、言われるとやっぱりドキドキして落ち着かない。 気付いたら眠ってしまっていたジョーの髪をそうっと撫でる。 ・・・でも。 幸せそうに眠る彼を見ていいのは私だけ。 *** 結局、ジョーは一晩私の胸の上で眠った。 寂しいな。 心の中で言ってみる。 「・・・ん。あれ?」 やっと起きた愛しいひと。 「・・・フランソワーズ」 「おはよう」 ジョーの前髪を撫でる。 「一晩、私はあなたの抱き枕だったのよ?感想は?」 幸せそうに熟睡していたもの。 「・・・あれ?フランソワーズ、どうして下着・・・」 それでも名残おしそうに頬を押し付けぐずぐずしていたけれど、最後には私の身体から腕を解いた。 「・・・ねえ、ジョー?やっぱり次からは自分で脱ぐわ。だって、あなたね・・・」 顔にくっきりレースの柄。 いったいどうするつもり?
2010/2/13upCopyright(C)2007-
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「ああ、やっぱり似合うね」
今日のジョーはいつもよりかなりゆっくりだ。
それはバレンタインだからなのかどうかはわからない。
もしかしたら、いま身につけているもののせいかもしれない。
私が、「どうせすぐ脱がすくせに」と言ったから。
どうやら「すぐ」脱がせない作戦のようだった。
「・・・そう?」
「そうよ。それに」
「・・・それに?」
もうっ。だから言おうかどうしようか迷ったのに。
ジョーが退くとちょっと寒い。ような気になる。いつも。
それは気のせいだってわかっているけど、体感的に寒いのか、精神的に寒いのか私にはわからない。
おそらく両方なのだろう。
外すなら外す、ってして欲しいのに何だか中途半端だわ。
腕の中の私を見つめ、ジョーは言う。
ブラジャーとショーツとキャミソールとのセットを全部。
ジョーがバレンタインのプレゼントだと言って、くれたものだ。
この前行った下着売り場で、随分前に購入したものらしい。
一人で行って決めたという。店員さんと密談していたのはこれのことだった。
サイズはぴったりなのが、何だか悔しい。
それが悔しかったのか、ジョーはじらすように私に触れてなかなか脱がせる気配がない。
かといって、自分で脱ぐ自由もくれない。
ここパリの私の部屋へ大きな薔薇の花束とローズピンクの箱を抱えてやって来た。
でも、ジョーがバレンタインデーに欲しがったものは他にあった。
でも、素直に嬉しいと思う。
ずうっと、欲しいって言ってくれればいいのにな。
胸の上で眠るなんて反則よ。重くて大変なんだから。
私が欲しいのは、彼のこの寝顔を見られる幸せだけ。
他には何もいらない。
ジョーさえいれば、いい。
どかそうにもびくとも動かず、あきらめた。
どうやら、14日に合わせてパリへ来るのに、結構スケジュール調整がハードだったらしい。
私が日本へ行っていた時も、たくさん時間を割いてくれたから、その皺寄せもあったようだった。
だから、これから先はしばらく会えない日々が続くのだろう。
実際に口に出して言ってしまうと、きっと、ずうっと言い続けてしまうだろうから。
我慢するためには、言ってはいけない。
ぼんやりとした顔で、いま自分がどこにいるのか考えている。
「ん・・・そりゃ、気持ち良かったよ」
「でしょうね」
でもそれは嬉しいこと。だから、文句は言わない。
「昨夜から脱いでないわ」
「脱いで・・・・あっ!!昨夜何もしないで寝ちゃったのか?まさか」
「そう、そのまさか」
「・・・くそっ」
「今頃悔しがってもだめよ?」
「・・・ちょっとだけ」
「だーめ。ちょっとで終わらないでしょう、あなた。ほら、朝早く出るんだったでしょう?」
ジョーの頬におはようのキスをしようとして――