こちらはオトナ部屋です!!
御注意ください!

「かわいいフランソワーズ」

 

 

「・・・かわいい」

「かわいいって言わないで」

「でも・・・ほら。かわいい」

「もう・・・ジョーのばか」

という、いつもの熱い夜の遣り取りのはずだったのだが。

「うー・・・ん」

ジョーの眉間に微かに皺が寄る。何かを思い悩んでいるように。

「・・・ジョー?」

自分の胸を見つめたまま動きを止めたジョーにフランソワーズは戸惑いつつ声をかけた。

「どうかしたの?」

「ん、いや・・・」

ジョーは小さく息をつくと再びフランソワーズの胸に顔を埋めた。

・・・なかなか思うようにはならない、か・・・

と達観したものの、声には出さない。

・・・まあ、かわいいからいいんだけどね。これも含めて。

 

 

***

 

 

以前、「かわいい」を連呼してフランソワーズに怒られた。

曰く、「胸が小さいと思ってるんでしょう、他のひとと比べるなんてひどいわ」という話。
それはジョーにとって青天の霹靂だったから、ちゃんとわけを話し、結果、フランソワーズはわかってくれたのである。
だから今では「かわいい」と何度言っても怒ることはなく、むしろ恥ずかしそうに頬を染めるから
更に可愛くてジョーとしてはもうどうしようもなくなってしまうのだけれど。

先刻、「貧乳の会」なるものを結成したと聞いて驚いた。
別にジョーはフランソワーズに貧乳と言ったことはないし思ったこともない。
冗談で「顔を埋めても窒息するほど無いのが悲しい」と言ったことはあるけれど、でもそれだけだ。

――貧乳、ねえ・・・

隣で眠るフランソワーズ。
その胸をてのひらで包みながらジョーは考えた。

貧乳って何センチから何センチまでを言うのだろう?
それとも何カップとかそういうのだろうか。

もちろん、ジョーも男だったから、女性の胸には興味があったし大きいならそれにこしたことはないとも思っている。
がしかし、小さいから駄目とかそういうことはないのだ。
たぶんフランソワーズはジョーの周りにいる女性、つまりグリッドガールやキャンペーンガールなどと比べているのだろう。
でもそれは、ジョーにとっては笑い話にしかならないものだった。

――大きい胸を持っているからって好きになるわけないだろ?
僕はフランソワーズ以外は興味ないんだ。

だからフランソワーズはジョーに対して負い目を感じることもないし、引け目を感じることもない。
何度もそう言った。
でもフランソワーズはわかってるわというものの、女性同士のライバル心かなんなのか、ともかく気にしているようだった。

――そんな事言ってもなあ・・・。

そりゃ爆乳はつい目がいってしまうけど、だったらフランソワーズが爆乳だったらどうかっていうと

それは困る。
他の男がみんな見るじゃないか。
そんなの、我慢できるもんか。外出禁止だ。

だから。

――今のままがちょうどいいんだ。僕はこの胸が好きだ。

ジョーは手を除けると、その膨らみにそっと唇をつけた。
眠っているはずのフランソワーズが微かに身じろぎした。

・・・やっぱり、かわいい。

かわいいかわいい、僕のフランソワーズ。
君の胸は確かに大きくはないけれど、かわいいから僕は好きだ。
それに――そのかわいい胸に触れるとかわいく反応する君も物凄く好きだ。
あっ、もちろん、好きな理由はそれだけじゃないぞ。
そんなの、挙げろって言われたら一晩じゃ足りないくらいたくさんある。
体だけの話じゃないよ?
君の考え方やちょっとした仕草や表情、それから怒った顔、泣いた顔、困った顔、それから・・・
・・・ほら?きりがないだろう?
それを全部ひっくるめて、君は僕のかわいいフランソワーズなんだから。

そんなことを思いながら、唇を移動させた。
すると、かわいい声で名を呼ばれた。

ジョーはかわいいフランソワーズを再び堪能することにした。

 

 

2010/6/27up Copyright(C)2007 usausa all rights Reserved.