こちらはオトナ部屋です!!
御注意ください!

「プライヴァシー」

 

 

あなたは多分、私は例外だと思っているのでしょう。

でも――違うわ。

ただ口が固いだけ。

言わないだけ。

 

***

 

いつものように深いキスを交わした後の、あなたの瞳。
褐色の・・・大好き。

「ン・・・なに?」

甘い声が耳元で囁く。

「んん・・・何でもない」

あなたの瞳が好き。
あなたの声が好き。

「何でもない」

もう一度言って、あなたの胸に顔を埋める。

こういうキスをするのは初めてじゃない。
でも、言わない。

「――フランソワーズ?」

耳元で響く甘い声。
小さく小さく聞こえる「好きだよ」に私も小さく小さく答える。

「・・・好きよ。ジョー」

 

***

 

前にもこういうセリフを誰かに言った事がある。

あれは。

・・・あれは、いつだったか。

忘れた。

唇の感触も。

体温も。

瞳も。

声も。

 

「・・・ん」

あなたの唇が私をさがす。

・・・熱い。

好き。

大好き。

私のジョー。

大好きだから――言わないわ。

こうしているのが初めてじゃない事も。
好きと囁くのが初めてじゃない事も。

全部――持っていく。

あなたの中に残しはしない。

 

***

 

「・・・なに?フランソワーズ」

「・・・ん。何でもないわ」

「そう?」

熱っぽい声。

あなたの唇。

あなたの体温。

あなたの瞳。

それしか知らない。

憶えてない。

それでいい――わ、よ、ね?

「――フランソワーズ?」

「・・・ジョー・・・」

あなただけよ。

あなただけ。

 

 

 

2008/6/8初出

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