こちらはオトナ部屋です!!
御注意ください!
夜、ベッドで眠っていたらひとの気配がした。 するりとベッドに滑り込み、背中から私を優しく包み込む。 バレエのレッスンのあと、何故だかそういう話になって、みんなの経験談とともに様々なアドバイスをされた。 *** 夜中にひとの気配がして、するりとベッドに潜り込んできた。 ジョーである。 そのための、寝たふり。眠っているふり…なのだけど。 「フランソワーズ…起きてる?」 ジョーが囁く。 「・・・・!」 吐息がもれてしまう。 「フランソワーズ…起きてる?」 いいえ。眠ってます。 「ねえ、…起きてるよね?」 そう言うとジョーは胸から手を離し下に進んだ。 「ん…」 寝返りをうつみたいに体をよじってみたけれど、そんなの何の役にも立たなかった。 「やっぱり起きてる」 私はしぶしぶ目を開けた。 「ひどいわ、ジョー。いつもこんなことしてたの?」 まあ、確かに。 「同意がなかったら犯罪だろ。そんなことしないよ」 それには大いに異議を唱えたいところ。だって、今のこの行為は決して同意してはいない。 「してもいいって言ってないじゃない」 ジョーが何をするのか知りたかったからで… 「寝たふりして何を知りたかったんだい?」 気づいてたの? 「僕を誰だと思ってるんだい?…あんまり可愛いから、ちょっとからかいたくなった」 ひどい。 「ひどいかな?」 勝手に火をつけて遊ぶなんて許さない。 「ちゃんと責任もって最後までつきあってもらいますからね」 ジョーは私にキスすると、 「了解」 と言って私を抱き締めた。 *** 実際のところ、確かにジョーは今まで何もせず眠りにきていただけらしい。 まったくしょうがないひと。 今度からは目を覚ましていることにするわ。
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ジョーだ。
彼は時々こうして夜中にやって来る。が、夜這いではない。ただ人肌が恋しくなっての行動だろう。
その理由が、怖い夢を見たからなのか男性的な欲求によるものなのかは定かではない。
ともかく、私を起こさないようにそうっと抱き締め、肩に鼻先を埋めてそのまま眠る。
でも、朝までいるわけではないのが不可解なところ。
どうせなら、そのまま朝までいればいいのにいつの間にかいなくなっているのだ。
いつまでたってもジョーって不思議。
ただ甘えたいだけなのか、母親役を求めているのか、ちゃんと女性としてみてくれているのか判断に苦しむところ。
ふつうのカップルだったら、理由によっては別れ話に発展してもおかしくはない…たぶん。よくわからないけれど。
だって、私たちはふつうのカップルじゃないし、そもそも私はジョー以外の男性をよく知らないのだ。
だから。
例えばジョーがとんでもない変態で妙な性癖を持っていたとしてもきっと気づかない。
だって比較対象するものがないんだもの。
だから、夜中にベッドに潜り込んで何もせず眠りいつの間にかいなくなる…というのも、まあそんなもんかなって思っていたのだけど。
**
「そんなの異常よ、フランソワーズ」
「一緒に住んでるんでしょ。大好きなんでしょ?それで何もしないのっておかしいわよ」
「浮気されてるんじゃない?」
「きっと倦怠期よ。フランソワーズ、もっと色っぽい格好で寝てみたら」
異常…なのかしら。私たち。
でも、いくらお互いに大好きっていったって、四六時中肌を重ねることばかり考えはしないわ。
ジョーは、私が眠っているから起こさないように気を付けているのよ。優しいの。
それに浮気や倦怠期なんて有り得ないわ。ちゃんとキスもするし、一緒にお風呂にも入るし。
ただ…うん、そうね。ちょっと不思議ではある。
一緒に眠りたいなら、最初からそう言って一緒にベッドに入ればいいし、そのまま朝までいればいい。
どうしてそうしないのかしらとは前々から思っていた。
だから。
寝たふりをして様子を窺ってみることにした。
いつものように、私をそっと抱き締めそのまま眠る。私も、いつもはそのまま眠り続けるのだけれども。
ジョーの行動を確かめるため、今日は眠らない。寝たふりだ。
いったいジョーは、何時ごろ起きて部屋を出ていくのか。何をきっかけに起きるのか。
それを知りたかった。
なにか、変だわ。
五分くらい経った頃、私を抱き締めているジョーの手がそっと動いて私の胸に触れた。
眠っている…のよね?
しばらくパジャマの上から胸を撫でると、その裾から進入し直接胸に触れてきた。
ちょっと、ジョー?眠っている…のよね?
ジョーの指先が動く。
やだヤダ、これってなんなの?
嘘でしょ。まさか今までずっとこんな風に…?いいえ、まさか。
私はあくまでも眠っているふりを貫くことに決めた。だから何も感じない。感じるわけがない。だって眠っているんだから。
でもでも、ああもう。
だってジョーは、いまや私の胸をまるで私が起きている時みたいに好きにしているのだ。
ああもう、やめて。だめだってば…
眠ってるのよ。
だからジョーも眠っておとなしくして。
でも、私の体にあたるジョーは既に熱くて硬くなっていて全然おとなしくはなかった。
ショーツの脇から指先をいれてくる。
ジョーの指は楽々と私の中に進入し何かを確かめるみたいに動いた。
思わず、体が反応する。
部屋のなかに液体に触れたときのような音が響く。
恥ずかしさに体が熱くなる。
もう。どうしてなの。どうしてジョーに触られると反応しちゃうの。
ジョーの指の動きが大胆になり、思わず声が出そうになる。
我慢した。
だって私は眠っているんですもの。反応するの、おかしいでしょ。
でも、ジョーは私が感じるポイントを知り尽くしている。
ジョーの指がそこを攻めた瞬間、私は彼の指を締め上げてしまった。
いたずらっぽい褐色の瞳がこちらを見ていた。
「まさか。今日だけさ」
「本当かしら」
「当たり前だろ。寝込みを襲う必要が僕にあると思う?」
一緒に暮らしているんだもの、そういう気持ちになった時に行動に出る機会はいくらだってある。
寝込みを狙う必要なんてないのだ。
「でも、拒否もしなかったよね」
「それは…」
「えっ」
ひどいわ、ジョー。
「ひどいわよ。ね、いい加減に指を抜いて」
「え。いいの?」
「ええ。でも許さないわよ」
今回は私が寝たふりをしていたからあのような行為に走ったわけで。
でも。
夜中にやって来る理由のひとつにやはりそういう理由もあるのでしょうと問うと恥ずかしそうに目を伏せた。
きみが目を覚ましていたらね…と、小さく言った。
言ってなかったけど、私、ひとの気配を察知するのは得意なの。