―6―

 

翌日。


「委員長、チョコはちゃんと渡したの?」

「えっ?」


にやにや笑いのミナとカトリーヌに捕まった。


「なんのこと?」
「またまたとぼけちゃって。島村くんによ」
「えっ!?な、なんで」
「あのね。私たちが知らないと思った?…ていうか、ばればれじゃない」
「そうよ。いつも島村くんがあなたの帰る時間まで残っているのがその証拠」
「一緒に帰るから待っててくれてるんでしょう?」


実はそうなのだ。

でもばれてないと思っていたのに。


「不器用だからね、委員長は」
「ちゃんとハートのチョコ、あげた?」
「色んな味を試すんだなんて言って凄いのも作ってたでしょ。でもあれって毎年チョコをたくさん貰う島村くんへのヤキモチよね?」
「素直じゃないんだから」
「そのへん、彼はちゃんとわかってくれてるのか心配よ」
「わ――わかってくれてると…思う、わ」
「どうしてわかるの」
「だって」

あの凄い味のチョコ、全部食べてくれたし。
そのあとごめんって言ってくれた――のだけど、それは二人には言わない。

私と彼との秘密の話。


「教えないっ」
「やあね、ケチ」
「教えなさいよ、委員長っ」


だって、本当のところ、ちゃんと付き合っているのかどうか自信がなかった。
夏に告白された――と思っていたのは私だけだったのかもしれないし。
だからチョコだって渡そうかどうしようか最後まで迷ったし。


でも。


ミナの家でみんなで作ったチョコレート。みんなと同じピンクのハート。何の変哲もない。
でも後で家に帰ってから文字を入れた。


「好き」


って。


そしてそれを見ても笑ったりせず、全部食べてくれた彼。
恋愛に不器用な私をちゃんと受け止めてくれるのが嬉しかった。


不良の島村ジョー。


不良なのに。


なのに、


とっても気になるひと。


それが私の恋人。