フランソワーズは昨日帰っていった。
そうウインクして手を振った。
・・・同棲したいわけでもないし。 どうせ、すぐまた会えるんだ。
そう思ったのは本当だった。
慣れてしまった身には、目覚めたら彼女がいない状況は、――。 だからジョーは、ぼうっとリビングに向かい、ぼうっとテレビをつけ、ぼうっと録画したものを呼び出した。
再生。
『おはようございます』
停止。
・・・再生。
ジョーにとって、今日はハインリヒがZIP当番であるのはどうでもいいことであった。 そして、繰り返しフランソワーズの映像を見ている彼は、その彼女が朝ご飯と共にもうすぐ到着することにも気付いていなかった。
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ドアを開けたらフランソワーズがいた。 にこにこして、提げていたバッグを目の前に掲げた。 そんなわけで、数分後はこんなことになっていた。
やっぱり実物のほうがいいに決まってる。
ジョーは待っても次のひとくちが来なかったので、自分のフォークで食べた。 「毎朝よ?・・・ジョーにおはようって」 ジョーがむせた。 「生放送よね。・・・大丈夫?」 ジョーは咳き込みながら、横目でフランソワーズを見ていた。 「録画なんかしなくても毎朝言ってやるよ、それくらい」 そうぼそりと言うと席を立った。 「コーヒーのおかわり取ってくる」 キッチンに消える後ろ姿。
首を傾げた。 テーブルの上にはコーヒーサーバーが載っていた。
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