境界上に建つ館

キーパーの言い訳。

 プレイ時間は5時間20分くらいです。
 目論見より1時間以上多くかかっています。おかしいな……。

 個人的に紆余曲折あったシナリオです。
 2012年4月に「まったくアイデアのない状態から登場モンスターだけを決めて、シナリオを構築してみる」という実験を個人的に行い、今一つパッとしない存在である「サーイティ」をお題と定めました。W・H・ホジスンの原作を読み(シナリオを作るために、通算5回読み直しました)、ついでにホジスン繋がりで登場させることにしたブタ人間の出典(『異次元を覗く家』)を読み、ホジスン関連のオフィシャル・データを収集・翻訳して(『Ramsey Campbell's Goatswood』、『Kingdom of the Blind』、サイト「湖の隣人の小屋」様、等)シナリオ「境界上に建つ館」(第一稿)が完成。難産でした。
 2013年に実際にプレイする前にサーイティへの対抗手段(呪文、魔導書等)を整備し、第二項が完成。6人のプレイヤーを相手にいざセッションとなりましたが、依頼主(成嶋倫子)と彼女を追った仲間の探索者2人が異次元に姿を消したところで、残りの4人の探索者は万策尽きたとして「館を立ち去る」と言って解決を断念、5時間50分かけた挙句にセッションは失敗となりました。キーパーとしてはショックの大きい、貴重な経験となりました(録音データを聞くと、「依頼主や仲間を見捨てちゃダメですよ」と泣きそうな声で言っていました(笑))。
 2015年(今年)は過去の悪夢を払拭すべく魔術戦の要素を撤廃、解決方法(サーイティ弱体化の条件)の変更等、改良を加えた第三稿で再挑戦し、どうにかミッション達成といえる結果にたどり着きました。今回参加した5人のプレイヤーは前回も参加したメンバーであったため、途中から「このシナリオって、やったことある?」とデジャヴを覚えていたそうです。キーパーとしては「2年前の失敗したセッションなんて、ほとんど覚えていないだろう」と高を括って、プレイヤーの記憶力を侮っていました。

 今回はキャラクターにテンプレートを選んでもらい、明確にシナリオの目的(「君の使命」の項目)を与えて、キーパー側からやってほしいことを強烈にアピールして、セッションに臨んでもらいました。各探索者に個別の達成条件があり(例えば、警備員は「豚人間を1体でも倒す」、画家は「風見飄衛の絵画を破壊する」)、条件がクリアされるたびにサーイティが弱体化するものとしました。しかし、キーパーが解決を急いだため(主に時間の問題です)、探索者たちは条件クリアの余裕が与えられずに最終決戦に臨むこととなりました。もっと余裕が与えられていたら、十分に弱体化したサーイティを相手に全員が生還できたかもしれません。申し訳ない。

 今回、試験的に「クトゥルフ神話TRPGキャンペーン支援カード(CCC)」を導入してみました。大きくバランスを変えるほどの影響力は持ちませんでしたが、ロール失敗のスリルとセッション失敗のリスクの天秤は悩ましいものです。ヒーロー・ポイント的な効果のあるCCCがクトゥルフ神話TRPGに相応しいかどうかは一考の余地がありそうです。
歓喜の踊り
 プレイヤー用資料(ハンドアウト)、ミニチュア、BGM(「世にも奇妙な物語」のサントラを使いました)等、小道具の用意にも手間をかけたセッションでした。特にミニチュア(自作)には手間がかかったので、プレイヤーが「おお~」と驚いてくれる様子を見て、内心で歓喜の踊りを踊り狂っていました。

 あえてセッション失敗した第二稿を公開しておきます。もし使われるキーパーがいましたら、工夫して楽しいセッションにしてください。

シナリオ「境界上に建つ館」(第二稿)
※注意:pdfファイル

【素材提供サイト】
 岸人さま(キャラクターなんとか機 男性素体、オヤジ素体・キャラクターセット)
 フリー素材ピクトグラム(3D)(歓喜の踊り)


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