#1 長内 香織
アクション1:
〈1アクション目〉事故現場に行きます。状況の確認が主たる目的です。その際、他のキャラがいれば接触を試みます。
〈2アクション目〉柚織嬢との接触を試みます。電話で連絡して、繋がれば「パール」で待ち合わせます。繋がらない場合は、車で学校まで行きます。校門の見える所で、待ってみると言う作戦です。
〈3アクション目〉柚織嬢との接触の成否に関わらず、水晶の首飾りに付いて調査を開始します。「パール」で店長などに話を聞いてみたいと思います。
こんな感じで。
よろしくお願いします。
それから、長内香織は久遠奨と鈴原志郎の両氏と同盟を結成しました。
リアクション1:
【長内香織・成否判定結果】
ロールに3回成功、2回失敗しています。
「幸運のお守り」を使って2回の失敗を成功に変える事が出来ます(どちらかの失敗だけを成功に変えることも出来ます)。
「幸運のお守り」を使うか、その場合何回使うかを決めて申請してください。
アクション2:
どうもです。
幸運のお守りを、1回使います。
よろしくお願いします。
リアクション2:
【B13区画崩落事故現場】
きらびやかな店舗街を抜けると、まるで忘れ去られたかのように薄暗い空間がそこにあった。未だ店舗誘致されていない一角。その更に奥、非常口を示す緑色のランプの下に、暗闇へと続く地下道が口を開けている。黄と黒のストッパーによって立ち入り禁止を主張するその地下道の先には、一ヶ月前に4名の命を奪い、世羅を行方不明となさしめた、あの崩落事故現場がある。まるで行方不明となった送り主の名を呼ぶかのように、携えてきたお守りに付けられた水晶が数度明滅した。携えてきた懐中電灯のスイッチを入れ、いよいよストッパーを越える。
事故現場は非常灯の光によって赤く照らし出されていた。十分でない灯りのもとで見て取れるのは、崩れた天井部分の重みで無惨に砕け、落ち窪んだ、真新しい大理石タイルの敷かれた床だった。崩落した天井部分の瓦礫は救助作業の過程でほとんど取り払われおり、床には小石や砂が残されているに過ぎない。
薄暗い赤光に満たされた崩落現場に白い光がユラユラと揺れる。光は茶色のスーツを着た赤室翔彦の手に握られた懐中電灯が放つものであり、その横には鈴原志郎の姿もあった。
暗闇の中でバッタリと会ったあなたたちはお互いに驚きはしたが、理由を尋ねる必要はなかった。まず陵世羅が姿を消した現場に足を運ぶ事は、互いにそれほど意外な行動ではない。
「もう何度も訪れた場所なんですがね・・・」
そう言って翔彦は疲れたような笑みを浮かべた。世羅が行方不明となってから幾度もこの場所を訪れたのだという。彼女を開発計画のメンバーに推した翔彦であるから、その責任を感じての行動だろう。
これと言った収穫のない探索の後、3人で連れ立って万座殿を出る。
「では、私はこれで」
そう言って翔彦は雑踏の中へと歩み去った。あなたも志郎に別れを告げ、新駅前を後にする。
(ロールに1回成功しています)
【苑原柚織と会う】
「放課後はコーラス部の練習に出なくてはいけないんです。練習の合間の短い時間だけで良ければ・・・」
電話口から聞こえてきた苑原柚織の愛らしい声に導かれて、あなたは新駅前の白凰文化ホールへと向かう事になる。
天高い秋空は雲一つなく晴れ渡り、夕焼けのオレンジ色一色に染まっていた。
新駅前の一角にある黒いタイルの貼られた円筒形の特徴的な建物が、白凰文化ホールである。1階に大ホールが1つ、2階に小ホールが2つあり、その他にも会議室として使える部屋が多数完備されている。
2階の小ホールの一つを借り切って見事な声のハーモニーを奏でているのは、臙脂のセーラー服を着た少女たち、聖ジェローナ女学院のコーラス部員たちだ。その実力を全国的なレベルで評価されているジェローナのコーラス隊は、行政にもコネのある強力な後援者たちの計らいによって、コンクールを間近に控えた一定の期間をこの設備の良い文化ホールで練習する事を許されていた。
ホールは解放されており、名高いジェローナの歌声を聴きに来たのか、はたまた単なる暇つぶしなのか、何名かの聴衆がまばらに客席に腰掛けている。
ステージ上には20人ほどの歌姫たちが整然と並び、顧問教師と思われる女性の指示に耳を傾けている。その中でも一際愛らしく輝く苑原柚織を見つけ出すのは、容易いことだった。
ステージの上は独唱(ソロ)のパートの練習に移ったらしく、数名の少女たちが同じフレーズを繰り返し歌っていた。彼女たちの内の誰かがソロを担う事になるのだろう。今はその選抜の最中といったところか。もちろん、その中には柚織の姿があった。
柚織が歌い始める。その歌声は他の少女を圧倒して澄み渡り、感覚の全てが聴覚に集約されたかのように、あなたの脳に、身体に染み渡ってくる。
あなたの数列後ろの座席から、感嘆の溜め息と共に囁くような話し声が聞こえてくる。チラリと様子を窺うと、そこには白いセーラー服を着た三つ編みの少女と、明らかに外国人と分かる、ヴィオル・ケースを抱えた老人という、およそ不釣合いなペアが並んで座っていた。
奇妙な二人連れはステージ上の柚織に目を向けたまま、小声で何やら相談事の最中だ。
「良い声ね、彼女」
「―――」
「興味を惹いたのは、必然だったという事?」
「―――」
「・・・でも納得していない顔つきね」
「―――」
「オーゼイユ街が恋しいの、エーリッヒ?」
「―――!」
「そう。でも、愚王を慰める宮廷に、楽士はいくら居ても足りないもの。―――いずれは彼女も」
「―――?」
「そうね」
「―――?」
「ええ。今はそれだけで十分。雲の帳だけでも、ムトゥーラには暗すぎるから」
聞こえた会話(聞こえた声は少女のものだけだったが)はそれだけだった。振り返ってみると既に二人の姿はなく、少女は彼女と同じ制服を来た一団のいる方へと、老人はヴィオルのケースを抱えて音楽ホールの出入り口へと歩み去っていた。
白いセーラー服―――白凰高校の制服―――を着た女子高生たちの一団の中の一人が、歩み寄った少女へと声をかけている。
「巧美ちゃん、帰ろ?」
その声に、うん、と小さく返事をすると、少女は一団に混じって小ホールを出て行った。
練習が小休止に入ると、あなたに気付いた柚織が慌ててステージを降りて駆け寄ってくる。
「ご、ごめんなさい、お待たせして」
わたわたと落ち着きない調子だった柚織は、そこでようやく声を落として言った。世羅さんの件、ですよね・・・?、と。
ホール入り口脇にある喫煙スペースまであなたを引っ張って、更に部の仲間が覗きに来ていない事を確認すると、ようやく柚織は胸を撫で下ろした。そしてあなたに向き直ると、詫びるように頭を下げる。
「3日後、コンクールの本番なんです。私、独唱(ソロ)パートを任されるかもしれないので、練習を抜けるわけにはいかなくて・・・ごめんなさい」
どうやら世羅の件で活動していない自分が責められると誤解したらしい。伏し目がちにあなたの様子を窺いながら、左こめかみの編み込みに手を遣っている。
あなたが誤解を解いてやると、柚織はホッと安堵の息を吐いた後、自分の早とちりを恥じて赤面した。安心させるように柚織の肩を叩いてやると、ようやくふわりと微笑みを浮かべる。彼女が落ち着いたのを確認して、あなたは用件を切り出す。
水晶の首飾りに付いて一緒に調べないかと持ちかけると、柚織はハッとしたような表情を浮かべた。おそらくは首から下げているであろう首飾りを、服の上から掴むような仕草を見せる。
「私も、首飾りは気になっていたんです」
柚織は、世羅が自分に手紙をくれた理由はこの水晶の首飾りにあると考えていた。二人の繋がりは占いから始まったもので、こういったグッズについて他愛のない話を世羅としていた事を柚織は明かした。
しかし、柚織にも事情はある。前述の通り、彼女は3日後にコンクールを控えていた。午前中は学校に通い、午後はコンクールのための練習に費やさなくてはならない。つまり、彼女が自由に使えるのは夜間のわずかな時間だけという事になる。
「世羅さん、コーラスの事すごく応援してくれていて・・・。他のメンバーの子たちにも迷惑かけられないんです」
それでも出来る範囲で調べてみる、と柚織は約束してくれた。休憩は終わり、柚織は練習へと戻っていく。再び流れ始めた歌声を背に聞きながら、あなたは小ホールを出る。
夕焼け色だった空は夜の闇を迎えてその色を変えていた。しかし頭上に満天の星空はなく、どこから集まってきたのか分厚い雲が垂れ込めていた。曇天の下、あなたは白凰文化ホールを後にする。
(ロールに1回成功しています)
【新駅前・夜】
様々な人や物が交錯する白凰市の中心・新駅前。その更に中心が、ここJR白凰駅である。
アーティスティックなデザインの白壁の駅舎は、近代的な新駅前の風景に違和感なく溶け込んでおり、駅ビルや万座殿といった付属施設へ機能的にアクセスできるように建造されている。人を吐き出しては吸い込む白凰駅は、正に新駅前の心臓部といえる。
程近い場所には、あたかも林立するオベリスクのような高層ビル群があり、一際高い「K3ビル」を中心にビジネス街を形成している。反対方向は文化ホールやスポーツ・アリーナといった文化・娯楽施設を集めた構成となっており、住人や利用者にとって便利な住み分けがなされている。昼には雑踏を行くビジネスマンや学生が、それぞれ正反対の方向へと流れ、クサカベによる都市開発計画の成功の一端を垣間見せるコマーシャルのような場所だが、夜ともなればさすがに人通りは少ない。
パールへ向かう途中、通りがかったファミリー・レストランの窓際の席に月辺鈴姫の姿を見かける。頬杖をついた鈴姫はぼんやりとした様子でレストランの中から新駅前の人通りを眺めているようだ。
(ロールに1回成功、1回失敗しています)
【出題】
レストランに入って月辺鈴姫に声をかけることが出来ます。また、予定通り占いショップ「パール」へ向かうことも可能です。
どちらにするか決定してアクションを申請してください。
アクション3:
どうもです。
レストランに入って、鈴姫に声を掛けましょう。
今後どうするつもりかを聞いて、出来れば協力を依頼します。
それから巧美と言う少女の事を知らないか、尋ねてみます。
以上、よろしくお願いいたします。
リアクション3:
【新駅前・リゼルポット】
ファミリーレストラン「リゼルポット」の窓際席に、烏龍茶の入ったグラスをストローでかき混ぜながら頬杖をついて夜の町並みを眺めている月辺鈴姫の姿を見つけたのは、ほんの偶然だった。白のセーラー服姿と足元に置かれたスポーツバッグから、彼女が下校途中にこのレストランに立ち寄った事が窺える。
リゼルポットの入り口をくぐって鈴姫に声をかけると、ようやくあなたを認識して「こんばんは」と言って笑顔を浮かべ、目で同席を促した。近付いてきたウェイトレスに適当なオーダーをし、あなたは鈴姫の正面に腰掛ける。
頬杖をついたままの鈴姫がグラスに刺さったストローを回すと、半分溶けかけた氷がカランと高い音を立てる。窓の外に広がる夜の町の景色をボンヤリと眺めながら、鈴姫は呟くように言った。
「私、陵先輩が生きているなんて思ってないんです。望みの薄い希望にすがれるほど、楽観的に出来ていないので」
それでもこうして夜の町並みを歩く人波に世羅の姿を求めるのが、彼女なりの方法なのだろう。誘われるようにして、あなたも窓の外へと目を向ける。しばらくは会話らしきものもなく、店内に流れる有線放送が二人の間を埋めていた。
あまり打ち解けた感の無い鈴姫との合席に居心地の悪さを感じながら、先程文化ホールで見かけた「巧美」という少女の事を聞いてみる。鈴姫は少しだけ考える素振りを見せたが、小さく肩を竦めると首を横に振った。
「もう帰ります。親が心配するので」
左手首につけた洒落た腕時計に目を落とした後、鈴姫はテーブルの上に自分の分の勘定を置いて席を立った。頭を下げた後、歩み去っていく鈴姫を見送り、更にしばらくしてからあなたもリゼルポットを後にした。