#1 久遠 奨





アクション1:
1アクション目=図書館に行き、今回と過去の事故を調べます。
 万座殿で起こった今回と過去の事故の記事などを調べ、今回のように地盤の裂け目に落ちて行方不明になることはよくあるのか、事故におかしな点は無かったのかを調べます。
 今回の事故での陵世羅以外の6名の犠牲者の名前等の情報を調べ、控えておきます。
 また、時間があるようなら白凰市周辺の歴史・民話を調べ、今回のようなケース(行方不明者・死者が親しかった者に連絡を取る等)が伝わっていないかを調べます。

2アクション目=陵世羅が行方不明になった崩落事故現場を調べに行きます。
 そのまま中に入れるのであれば事故現場を隅々まで詳しく調べて回ります。
 また、工事・事故の関係者がいるのならば陵世羅について、気がついたこと、変わったことなどを聞いて廻ります。
 もし、立ち入り禁止などになっている場合は忍び込もうと努力し、忍び込めるのであれば上記の行動、忍び込め無いのであれば話を聞いて廻るだけにします。

3アクション目=病院で1アクション目で調べた陵世羅以外の6名のことを調べます。
 カルテ等があるならば何か異常は無いかを調べ、さらに個人情報を調べることが出来るなら、助かった2名の住所を控えておきます。
 流石に警察沙汰になってはまずいので、危険は犯さず、怪しまれない程度に調査を行います。




リアクション1:
【久遠奨・成否判定結果】
 ロールに2回失敗しています。
 「幸運のお守り」を使って2回の失敗を成功に変えることが出来ます(どちらかの失敗だけを成功に変えることも出来ます)。
 「幸運のお守り」を使うか、その場合何回使うかを決めて申請してください。



アクション2:
 では、幸運のお守りを1回使って失敗を片方だけ成功にかえます。




リアクション2:
【白凰市立図書館】

 新駅前の市役所近くにある市立図書館に足を運ぶ。
 データ化された過去の新聞を遡り、万座殿の開発工事に関する事故情報を検索していく。
 事故は過去6度起こっている。軽傷者が数名出ただけのごく軽いものから、重機滑落により7名の死者を出した大惨事まである。ただし、過去長期に渡る行方不明者が出た例はなく、いずれも一両日中に救出もしくは遺体確認に至っている。「地盤の裂け目」というフレーズが出てきたのも、今回の崩落事故が初めてだ。
 検索の途上で第13期開発計画の概要をまとめた記事を見つけ、そちらにも注意を向けておく。

 万座殿の第13期開発計画とは、B13区画の整備工事〜店舗誘致までを包括したプロジェクトである。
 株式会社クサカベの都市開発事業部が中心となって設計やコンセプト・デザインを行い、8年後には店舗誘致までを終える予定であった。計画は6ヶ月前に開始されたばかりで、整備工事に入る前の基礎工事の段階まで進んでいる。
 現在は、事故の原因究明と安全確認が終わるまで、計画は凍結されている。

 B13区画開発チームは20名前後のメンバーで構成され、段階に応じて所属メンバーが入れ替わるはずだった。現在はクサカベ、日下部建設、日下部マテリアルの3社が中心となって推進しており、3社の代表者に加えて國史院大学・地質学研究室からアドバイザーを迎えて基礎工事の最終調査を行っていた。

 コア・メンバーは以下の4人。全員が崩落事故に巻き込まれた調査班(7名)に名を連ねている。

 店舗誘致担当、開発責任者:日下部 矢尋(株式会社クサカベ、救出)
 建築調査担当:陵 世羅(株式会社日下部マテリアル、行方不明、事故死?)
 地質調査担当:巳堂 英一(國史院大学・地質学研究室、救出)
 建築担当:太田 君雄(株式会社日下部建設、事故死)

 調査班メンバーの残りの3名の内訳は日下部マテリアル社員1名、日下部建設社員2名であり、3名とも崩落事故の際に死亡している。

 また、多少民俗学的見地になるが、「行方不明者・死者が親しかった者に連絡を取る」という事例がないか、白凰市に伝わる民間説話にも目を通してみる。結果的には類似した事例はいくつか見つかった。しかし良く考えてみれば、そのような怪談、民譚の類は全国的にまったく珍しいものではない事に気付く。実際、己が身に起こった事であり俄かには信じられない事柄ではあるが、あとは少女向け怪談コミック雑誌の読者投稿欄を全面的に信じられるかという、見解の問題になる。


【B13区画崩落事故現場】
 市立図書館を出たその足で、万座殿へと向かう。目的はB13区画崩落事故現場の調査だ。

 万座殿入り口をくぐり抜け、更にきらびやかな店舗街を抜けると、まるで忘れ去られたかのように薄暗い空間がそこにあった。
 未だ店舗誘致されていない一角。その更に奥、非常口を示す緑色のランプの下に、暗闇へと続く地下道が口を開けている。黄と黒のストッパーによって立ち入り禁止を主張するその地下道の先には、1ヶ月前に4名の命を奪い、陵世羅を行方不明となさしめた、あの崩落事故現場がある。まるで行方不明となった送り主の名を呼ぶかのように、携えてきたお守りに付けられた水晶が数度明滅した。携えてきた懐中電灯のスイッチを入れ、いよいよストッパーを越える。

 事故現場は非常灯の光によって赤く照らし出されていた。十分でない灯りのもとで見て取れるのは、崩れた天井部分の重みで無惨に砕け、落ち窪んだ、真新しい大理石タイルの敷かれた床だった。崩落した天井部分の瓦礫は救助作業の過程でほとんど取り払われおり、床には小石や砂が残されているに過ぎない。

 薄暗い赤光に満たされた崩落現場に白い光がユラユラと揺れる。それは、茶色のスーツを着た赤室翔彦の手に握られた懐中電灯が放つものである。
 暗闇の中でバッタリと会ったあなたたちはお互いに驚きはしたが、理由を尋ねる必要はなかった。まず陵世羅が姿を消した現場に足を運ぶ事は、互いにそれほど意外な行動ではない。
「もう何度も訪れた場所なんですがね・・・」
 そう言って翔彦は疲れたような笑みを浮かべた。世羅が行方不明となってから幾度もこの場所を訪れたのだという。彼女を開発計画のメンバーに推した翔彦であるから、その責任を感じての行動だろう。
 翔彦と連れ立って事故現場を歩きながら、さりげなく世羅の話を振ってみる。翔彦によると、待ちわびていた開発工事が始まったことで世羅はいよいよ精力的に仕事に打ち込んでいたという。翔彦自身は開発計画に直接携わっていた訳ではないが、世羅がこの計画に一角ならぬ遣り甲斐を感じていた事だけは感じられたという。
「それがまさか・・・」
 後に続く言葉を絶句で遮って、翔彦は空ろに暗闇の奥へと視線を送った。

「では、私はこれで」
 そう言って翔彦は歩み去った。しばらくは彼の持つ懐中電灯の灯りの揺れる様子が見えていたが、やがてそれも闇に溶ける。
(ロールに1回成功しています)


【國史院大学付属病院】
 勤務先である國大付属病院に戻り、午前中調べておいた事故の犠牲者についてデータベースを当たってみる。
 事故で死んだ4名の男性の死亡原因は落下してきた瓦礫による圧死で、全員がほぼ即死であったと思われる。遺体の損傷は酷いものであったと推測できるが、別段不審な点はない。
 助かった2名の内、巳堂英一に関しては軽い打撲程度の軽傷で済んだと記録されている。事故の第一通報者が英一であったとの付記もある。救助されたもう一人の人物、日下部矢尋(くさかべ・やひろ)は英一ほど軽傷ではなかったものの、2針縫った頭部の裂傷が一番深刻な傷であり、翌日には退院している。被害者に関するデータはこんなところだ。通りがかった若い看護婦に、機密情報を悪用しないように、と冗談交じりに釘を刺される。
 個人用の控え室に戻って記憶しておいた英一と矢尋の住所を地図ソフトで検索してみると、英一は大学周辺のワンルームマンションに、矢尋は高級住宅街に位置するマンションに居を構えていることが判明する。日下部という苗字からして、矢尋は間違いなくクサカベグループ経営陣の血縁だろう。

 そしてチクリとするイヤな記憶。
 何年も前、まだあなたも世羅も学生だった時分に、飲み会の席で紹介された男。定かな記憶ではないが、「クサカベヤヒロ」と名乗った男がいたのではなかったか?