#1 英 東児





アクション1:
 午前7時30分。JR白凰駅前にある喫茶店「トバーモリー」。
 窓際の席に座り、白凰駅を眺めながら食後の珈琲をすする。
 まず誰から話を聞くか。
 事故当時の状況を聞くには巳堂英一。彼からは万座殿に関して専門的なことも聞けるだろう。
 赤室翔彦からは、日下部マテリアルでの陵、調査チーム内の人間関係、万座殿関連のこと。 陵の交友関係も含めた私生活を知るには、妹の陵杏里と長内香織からか。苑原柚織、月辺鈴姫も何か聞いてるかもしれない。長内香織からは下請け業者間の万座殿に関する情報も聞けるかもしれない。
 もしかすると、高校、大学時代の陵を調べることになるかもしれない。 何をどう調べれば何がわかるのか、指針すら立てられないが、手の込んだ悪戯(にしては度を越しているが)と陵世羅が生きている、という二つの可能性がある。
 ひょっとしたら、もう1度パールで占いを受けられるかもしれない。そう思ったが、 「でも彼女、こんな芝居じみたことやるタイプだったっけ? それに結局姿を現さなかった彼女がNo.5なのか、それともほかにいるのか」とつぶやいた。

 こんな感じで。こちらとしては、手紙の真贋については五分五分というスタンスでいきます。
 英は崩落事故の取材に係わっていて良いのでしょうか。事故の状況、事故現場の地質、工法が適切だったか等を知らないのだったら、まず國史院大学理学部地学研究室で情報を仕入れます。知っていたとしても巳堂に質問もあるし。現在、赤室と世羅に関して妄想爆発中(不倫カップルとか)。なぜか妄想は下種な方に(笑)。

[1アクション目=午前] 國史院大学理学部地学研究室に巳堂英一を訪ねます。話の枕にB13区画開発チームのことを聞いてから、以下の質問を。
・開発チームについて(人間関係、こんな手紙を出しそうな人間はいるか、調査方針に反対していた人はいないのか)
・万座殿の地質(何度も事故を起こすほど軟弱なのか、聞けるようなら工法のことも)
・事故当時の状況(陵世羅がどういう状態だったのか、陵世羅が生きてる可能性も含めて)
・事故前に陵世羅が、言ってなかったか(悩み、不安などでもいいから)
・陵世羅の手紙について(巳堂本人の感想、No.5について)
 それと話の合間に赤室が既婚者なのかどうか聞いておきます。

[2アクション目=午後] 白凰日報に戻ってから、クサカベグループの内部事情(特に万座殿)に詳しい人物と崩落事故の取材をした人物を探して、話を聞きます。
クサカベグループの内部事情(特に万座殿)に詳しい人物
・万座殿の事故についてグループ内の情報 ・B13区画開発メンバーについて(グループ内での評価とか、人間関係とか)
・日下部マテリアルで、社内事情に詳しく(特に人事、人間関係)、なおかつ口の軽そうな人はいないか
崩落事故の取材をした人物
・事故の詳細について 行方不明者が生きている可能性は考えられないかも(聞かないと不自然だろうし)
・消防署の救命班(救護?)や、警察からの情報(どんな些細でも奇妙でもいいから)

[3アクション目=夜] 陵杏里に会いに行きます。ブティックでいいのかな? 万座殿にあるんだろうか。
・普段の陵世羅の性格(今回みたいな手紙を出すタイプなのか)
・事故前に世羅が普段とは違うことを言ってなかったか(今回の手紙につながるようなこと、悩み、不安などでもいいから) (あくまで可能性のある話として)
・陵世羅が身を隠すのを助けるような親しい人がいるか
・陵世羅の男性関係(この手紙を出すようなのがいるか)
・高校、大学時代の世羅を知らないので、詳しい人を紹介してほしい。
 手紙については、No.5について指摘しておきます。気づいてるかもしれないけど。あと、わかったことを教えておきます(事故被害者の家族が知っていて当然の情報以外を。なければそれを正直に)。



リアクション1:
【國史院大学・地質学研究室】

 白凰市の面積に國史院大学のキャンパスが占める割合は、約2%である。これは「新駅前」が市に締める面積4%のちょうど半分に当たり、つまりキャンパスの敷地は広大だ。
 その広大な敷地の一角を占めるのが、「研究団地」と呼ばれる各学部の研究棟群である。まるで公団アパートのように外観の似た建物が10棟以上も建っており、初めての来訪者は高い確率で目的地にたどり着けない。あなたの場合、幸運にも道を聞いたのが気の良い学生であり、その彼が案内を買って出てくれたので、迷う事なく理学部の研究棟に着く事ができた。

 いつもの飾らない服装の上から薄汚れた白衣を着た姿で、巳堂英一はあなたを出迎えた。人懐こいあの笑顔は健在だが、無精髭やどことなくくたびれた様子から、彼が根を詰めて研究をしている事が窺えた。
 英一は陵世羅の名前で送りつけられた幸運のお守りについていた水晶を解析しているのだという。彼は鉱物学にも長けており、半ば手慰みで始めた解析作業だったが、解析を進めるに連れて興味深い結果が出てきたというのだ。
「結果、というのは正確じゃないですね。まだ解析途中なので結果が出たとは言えないのですが・・・」
 目の前に首飾りをぶら下げてユラユラと揺らしてみせる。
 装飾自体は簡素で、アクセサリーとしての価値は低い。外見は雑誌広告の片隅に載っているインチキ水晶との見分けはつかない。ただ、素人目に見ても不思議なのは、極微弱ながらも内部から光を放っているように見える事。光の屈折が明滅に見えるだけだと思われるが、専門家の英一が本格的に解析をしているとなると、何か特別な性質があるのかもしれない。
「明日には解析結果が出るとは思うんですけどね」
 ポケットの中に首飾りをしまいながら、英一は身振りでパイプ椅子を勧め、自らも向かい合うように椅子に腰掛けた。

 新聞記者然とした取材メモを手にしながら、あなたは携えてきた質問を次々と英一にぶつける。英一は社会人らしくない(実際社会人ではないが)くだけた、一見のらりくらりとした様子で質問に答えていく。
 万座殿の開発予定地に関しては特別地盤がゆるいという事実はないのだという。門外漢ではありますが、と前置きして英一が付け加えるには、開発工事の計画が性急に過ぎたのではないか、という事だった。
 開発チームのメンバーに関しては、特に学徒の身分である英一から見れば、全員がビジネスのプロに感じたという。開発責任者の下、整然と進行されていくプロジェクトは、半ばフレックスタイムで行動している英一から見れば驚くべき統制振りだった。
 何度目かの現地視察のあの日、最後尾をなんとなくブラブラと歩いていた英一の目の前で天井が崩落し、巨石を降り注がせた。不確かながら、英一は自分の数歩前を歩くピンク色のスーツを着た世羅の背中を記憶していると言う。その後、気付けば前を歩いていた6名の姿は瓦礫に埋もれ、状況把握までに数分を要した後、英一自身が119番通報した。それがあの日の全てだったと英一は語った。
「これ以外の事はちょっと分かんないです。プライベートで付き合いのあった人はいないので。もちろん、赤室さんと会ったのも昨日が初めてなので、彼が結婚しているかなんて知りませんよ」

 目を合わせるのが苦手なのか、英一は終始伏目がちにボソボソと話した。ただ、世羅の最期(?)を話す時、しきりにポケットの中の首飾りをまさぐる仕草が妙に印象に残った。
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【白凰日報社】
 第13期開発計画の概要、メンバーについては難なく調べがついた。今回の事故報道で調べ、まとめられていた物を拝借するだけで済んだのだから。


 万座殿の第13期開発計画とは、B13区画の整備工事〜店舗誘致までを包括したプロジェクトである。
 株式会社クサカベの都市開発事業部が中心となって設計やコンセプト・デザインを行い、8年後には店舗誘致までを終える予定であった。計画は6ヶ月前に開始されたばかりで、整備工事に入る前の基礎工事の段階まで進んでいる。
 現在は、事故の原因究明と安全確認が終わるまで、計画は凍結されている。

 B13区画開発チームは20名前後のメンバーで構成され、段階に応じて所属メンバーが入れ替わるはずだった。現在はクサカベ、日下部建設、日下部マテリアルの3社が中心となって推進しており、3社の代表者に加えて國史院大学・地質学研究室からアドバイザーを迎えて基礎工事の最終調査を行っていた。

 コア・メンバーは以下の4人。全員が崩落事故に巻き込まれた調査班(7名)に名を連ねている。

 店舗誘致担当、開発責任者:日下部 矢尋(株式会社クサカベ、救出)
 建築調査担当:陵 世羅(株式会社日下部マテリアル、行方不明、事故死?)
 地質調査担当:巳堂 英一(國史院大学・地質学研究室、救出)
 建築担当:太田 君雄(株式会社日下部建設、事故死)

 調査班メンバーの残りの3名の内訳は日下部マテリアル社員1名、日下部建設社員2名であり、3名とも崩落事故の際に死亡している。

 日下部マテリアルに関しては・・・情報は皆無に等しい。今回の事故に関してはクサカベが全面的に報道対応しており、日下部マテリアルが過去に大きな事件を起こした事がない事から、足掛かりとなる情報ソースがないのだった。
 B13区画の崩落事故の取材を担当した同僚記者に話を聞いてみる。
 崩落自体は広範に渡るものではなかったため、事後処理は速やかに行われた。それにも関わらず事故の最終発表が2週間後にズレ込んだ原因が、行方不明者、つまり世羅の遺体の発見が出来なかったためである。警察と消防が躍起になって周囲を捜索したが、行方不明者にまつわる手掛かりは何一つ発見されなかった。
「既に4名の死亡を発表している以上、もう1人の死亡発表を控えるとも考えられんしな。地盤の裂け目云々というのは苦し紛れの最終発表のような気もするが、行方不明になった陵って女が巨石の下敷きになっていたっていう証言があるらしいし、犠牲者5名という結果に間違いはないだろうよ」
 同僚はそう言って締めくくった。


【陵 杏里】
 陵世羅の詳細な人物像を掴むべく、彼女の妹・杏里に取材を試みようと考え、携帯電話でアポを取ってみる。しかし、受話器からは留守番電話のメッセージが聞こえてくるだけで、一向に彼女が電話に出る気配はない。

【出題】
 陵杏里に連絡を付けることは出来ません。3アクション目の行動を再申請してください。



アクション2:
 陵杏里と連絡がつかない? では仕方ないですね。苑原柚織にアポをとります。 2アクション目で手紙=悪戯説に傾いてます。まあ、話を聞くときはおくびにも出しませんが。

[3アクション目=夜]
・手紙について(陵世羅はあのような手紙を出す性格だったか等)
・陵世羅と水晶について(アクセサリー等にしていたのか、自身のラッキーアイテムなのか、水晶に何か特別な思い入れがあったのか)
・送られてきた水晶を扱っている店を知らないか
・No.5に該当する人物がいなかったことについて何か意味があるのか(陵世羅のラッキーナンバーだったのか、それとも悪い番号なのか)
・陵世羅との会話の中で、陵が話したこと(趣味、友人、恋人、仕事等なんでもいいから)
 情報不足なのでなんでもいいから教えて欲しい、と頭を下げます。
 こんなところでしょう。陵世羅の生死やら行方を占ってもらうわけにも行かないし。場所はやっぱりパールでしょうか。今更ですがちょっと恥ずかしいですね。




リアクション2:
【占いショップ「パール」】

 白凰駅から続く地下街「万座殿」の一角、B4区画の奥まった場所に占いショップ「パール」はある。かつて陵世羅が常連だったというその店は、小規模ながらも佇まいに雰囲気のある本格的な占い道具の専門店だった。

 まるで男子禁制であるかのように、パールの店内はあなたにとって居心地の悪いものだ。女性連れならまだ耐えられるかもしれないが、男独りという状況は明らかに場違いだった。
 薄暗い店内の片隅に設けられたフリースペース。そこの備え付けの木の椅子に、左こめかみから下がる編みこみに手をやりながら、何をするでもなくポツンと座っている少女。行儀良く揃えられた膝の上に置かれた白いベレー帽と聖ジェローナの赤いセーラー服。近づいて声を掛けると、苑原柚織はハッと我に返って「こんばんは」と頭を下げた。

 世羅と出会った思い出の場所。柚織にとってパールとはそういう意味を持っている。
「世羅さんが本当に生きているなら、大好きだった占いをもう一度したくなるんじゃないかって・・・」
 柚織なりの調査。しかしそれが実を結んだ様子はない。店主や他の常連客に尋ねても、最近世羅を見かけた者はいなかった。店員に水晶の首飾りを見せても、首は横に振られた。少なくとも「パール」で扱っているアイテムではないとの事だ。
 あなたは矢継ぎ早に用意してきた質問を柚織に投げかけてみたが、それらに対するほとんどの答えは申し訳無さそうに首を横に振る仕草で返された。
「世羅さんはユーモアのある方でしたけど、この手紙がそのユーモアの一環なのかどうなのかまでは分からないんです。それに私は話を聞いてもらうばかりで、世羅さんの悩みを打ち明けられたことなんか、ないです・・・」

「今日は帰ります」
 椅子から立ち上がると、柚織はベレー帽を被り、小さく手を振って立ち去った。