#2a 久遠 奨





アクション1:
1アクション目=過去の友人達に連絡をとります。
 陵世羅と親交が深そうだった、もしくは私が日下部矢尋と出会った飲み会に、出席していると思われる知り合いに連絡をとり、日下部矢尋について説明し何か知っていることはないかを聞きます。もし知っていたのなら、陵世羅と日下部矢尋はどういう関係だったのかを聞きます。

2アクション目=陵世羅のマンションをを訪ねます。
 陵世羅のマンションの部屋へ行き、日下部矢尋と繋がりを示すものは無いか、変わったもの(死んでも手紙や水晶のお守りなど贈れるようなオカルトな現象を起こせる物品、または起こした痕跡など)を探します。マンションの部屋に鍵がかかってた場合には、管理人に頼んで開けてもらおうとします。またマンションでNPCに出会った場合はその人物に日下部矢尋について何か知っていないかを聞きます。

3アクション目=日下部矢尋が帰宅していそうな時間帯を狙って彼のマンションを訪ねます。
 郵便受けなどから日下部矢尋の部屋を訪ねてます。部屋番号が分からない場合は古い友人と名乗って身分証を見せてマンションの管理人から教えてもらうか、彼を直接呼び出してもらいます。日下部矢尋に会えたら、手紙とお守りを見せ、誰かのいたずらだと思うが気持ち悪いので安心したいのだと前置きして、事故の状況と陵世羅の生死について知っていることを聞きます。その際に彼の表情や態度に変化がないか観察します。もし、第1、第2アクションの調査で陵世羅と特別な関係がある事がわかり、なおかつオカルト的なものが発見できた場合は、そのことについても何か知らないか聞いておきます。さらにこの質問あと、手紙などを見せた際に動揺を見せていた場合には、「事故を調べるときにこのあたりの民話も調べてみたら裏切られた死者が生前の復讐にくる話が多かった。自分には関係ない話だがやっぱり気味が悪い」とハッタリをかまして態度や表情を観察します。




リアクション1:
【友人の話】

 あなたは学生時代、陵世羅と仲の良かった人物に連絡を取った。学生時代の世羅の親友であり、あなたも面識のある女性(今でも年に1、2回、飲み会で顔を会わせる)に電話をかけてみる。
「あ、久遠くん? ・・・どうもお久しぶり」
 少し沈んだような声が受話器から流れてきた。世羅の葬式は彼女の遺体が見つからないまま延び延びとなっており、未だに執り行われていない。それでも親しい友人間では世羅の死は暗黙のうちに事実として受け入れられ、従って電話の向こうの彼女もそれを信じて疑っていない。世羅に近しく、しかも自分とは普段連絡を取り合うほどではない間柄の知人から電話が来たとすれば、会話の内容も自ずと分かるというものだ。二言三言近況を伝え合った後、あなたは日下部矢尋の名前を出し、彼について知っている事はないかと尋ねる。
「世羅がああいう事になっちゃったし、もう過去の事だから話しちゃうけど・・・」
 電話の向こうでそう前置いて、彼女は話し始める。
「世羅と矢尋さんって付き合ってたんだよ。久遠くんは白凰キャンパスだから知らなかっただろうけど。矢尋さんは当時から凄くモテたし、世羅も目立つ子だったから世田谷キャンパスでは有名なカップルだったんだ」
 ・・・日下部矢尋と世羅が付き合っていた? 紹介された時からそういう気配はあったが、事実として突きつけられるとそれには息苦しさを覚える。黙り込んだあなたの気配を察してか、受話器から慌てたような声で続きが語られる。
「でも、でもね! 世羅の卒業前には終わっていたみたい。矢尋さん海外に行ったって聞いたし、多分それが原因」
 つまり、矢尋は世羅の元カレという事になる。その二人が同じチームで仕事を?

 電話の向こうの微かな言い淀みを感じて、あなたは「何?」と促してみる。声に険がこもらない様に気をつけたつもりだが、上手く行ったかは分からない。おずおずと、といった声音で受話器の向こうの彼女が告げる。
「少し前に世羅と会った時、あの子が話してたんだけど・・・矢尋さん、来年にも結婚するって。どこで仕入れた話か分からなかったけど、あの子、笑いながら言ってた。だから私、あぁ吹っ切れたのかなって思って」

 礼を言って電話を切る。考えをまとめようとして手を組もうとしたが、何故かそれが出来ない。見てみると、両手の指が小刻みに震えている。
 嫉妬? そんなはずは無い。
 認めない。
(ロールに1回成功しています)


【陵世羅のマンション】
 洒落たロゴに飾られたエントランスを備える12階建てのマンションの8階に、陵世羅の住所はあった。借主が行方不明になった後も部屋はそのままに保たれている。ゴシップ好きの管理人が頼みもしないのに語って聞かせてくれた所によると、どうやら赤室翔彦の手配によるものらしい。
 管理人に世羅の部屋へ入れてくれないかと頼んでみたが、その答えは当然「NO」だった。何らかの紹介状でもない限り、部外者を部屋に入れられる訳が無い。いくらゴシップ好きとはいえ、管理人としての最低限の仕事を疎かにするほど愚かな人物でなかった。
 諦めて帰りかけたあなたの背中に、「・・・久遠さん?」と探るような声がかけられる。振り向くと、そこにはコンビニの袋を左手に提げた陵杏里が立っていた。面識があるらしく、妹さんとも知り合いなら、という事で管理人がそれ以上留め立てする事は無かった。

 言わずとも事情を悟った杏里に先導されてエレベータに乗り、8階にある世羅の部屋へと招き入れられる。
 先にソファに腰掛けるように言って、杏里はキッチンへと入っていく。食器の触れるカチャカチャと言う音が漏れてくることから察するに、どうやらお茶の用意でもしてくれているのだろう。
 杏里に案内されたダイニングの様子は、いかにも世羅の住居らしく、機能的に整理されている。ただ、所々に置かれた安っぽい占いのグッズが、冷たくなりがちな部屋の印象を不器用に和らげている。さっぱりした中にも親しみ易さを備えた、世羅の人柄そのものだ。
 やがて湯気の立つカップを載せたトレーを持った杏里がキッチンから姿を現す。インスタントですが、と断ってからコーヒーの入ったカップをあなたの前に置くと、自らは対面のソファに腰掛けた。
「もしかしたら何か連絡があるかなって。毎日足を運んでいるんです」
 誰からも連絡はありませんけど、と自嘲気味に付け加えて、杏里は自分がここにいる理由を説明した。消極的で引っ込み思案の杏里。そんな彼女に唯一与えられた特権が世羅の親族であると言う事実。姉に似た容姿の杏里は、説明に苦労することなく真実の証を立て、管理人から特別に合鍵を渡してもらったのだと言う。
「お恥ずかしい話ですが・・・」
 継いで杏里は語った。
 世羅と杏里は容姿以外はまったく正反対の姉妹だった。仲は良かったが、連れ立って何かをするという事はなく、互いに相手の領域を侵さないように気を使っている部分があった。その気配り―――遠慮―――は、互いを先鋭化させ、やかて対極の姉妹を創り出すに至ったのだった。
「姉妹なのに、相手の考えていることがまったく分からないんです。だから、相手の残り香のある場所で、ジッと待つことしか出来ない」
 両手でコーヒーカップを包み込むようにして持った杏里は、焦げ色の液体に目を落として淋しげに笑った。少しソバージュのかかった長い髪を耳にかけるようにそっと掻き流す。その仕草は姉の世羅とそっくりだが、その表情は世羅が決して見せる事のないものだった。

 さすがに杏里がいる前で部屋を物色して回るわけにもいかず、仕方なくあなたは日下部矢尋のことだけでも話しておく事にする。しかし前述の言葉を証明するかのように、彼女は「そうなんですか?」という軽い反応を返してきただけだった。
 しかし、あなたは見逃さなかった。矢尋の名前を出した時の杏里の微弱な反応。コーヒーカップを握る手に、不自然な力が入った事に。今それを指摘しても、杏里はそ知らぬ振りを決め込むだろう。ならばと、あなたも気付かなかった振りでこの場を流す。

 コーヒーを飲み終えると、あなたは席を立つ。杏里は玄関先まであなたを見送り、扉の閉まる寸前、あの淋しげな笑みをまた浮かべて見せた。
(ロールに1回成功しています)


【3アクション目】
 赤室翔彦によって「召集」がかけられています。
 「召集」に参加するか、自分の【召集】ポイントを消費して「召集拒否」するかを決定して申請してください。



アクション2:
 赤室翔彦による「召集」に参加します。



リアクション2:
 召集参加。