#3 出羽 清虎





アクション1:
1アクション目=午前 
(場所)
 B4区画ライブハウス「シルファムーン」脇の路地
(具体的な行動)
 日課のB4区画ライブハウス「シルファムーン」脇の路地におもむき、野良猫・ロクスケに一日分のごはん「鯵の干物3匹とご飯」をおいておく。赤室さんのことがあってから心配性に拍車がかかり10日から彼(彼女?)の姿を見ていなくて不安です。時間がある限りギターと歌でロクスケを呼んでみます。そして、目視できる位置にきたら歌を唄いつつ足の怪我の様子をつぶさに観察。夜に伺う獣医さんに相談できるようにしておきます。 

2アクション目=午後
(場所)
 「万座殿・B9区画」陵杏里さんが勤務していたブティック「キルケゴール」
(具体的な行動)
 今回手に入れた情報「杏里さんは二年前に交通事故で死んでいた」という情報のもっと詳しく知りたいため、彼女の交通事故の詳しい話を店の店員や店長に聞きます。事故の相手の名前や車の種類。大変失礼な話かもしれませんが、事故時の彼女の遺体は誰が引き取ったか? 本当に彼女は死んでいるか? お墓があったら墓参りをしたいので場所を聞きたいのですが? などなど。できれば彼女の写真があったら見せていただき、自分たちが出会った「陵杏里」は本物の「陵杏里」であるかどうか確かめたいです。もしかしたら、顔が微妙に違ってたりするのではないか? と期待を持ちつつ・・・。
 赤室さんの水晶化し砕け散ったことを目撃した事で自分には理解不能の事が起きていることを知り早く真相を追うべきだと考えたからです。

3アクション目=夜
(場所)
 白凰駅周辺(新駅前)知り合いがいる動物病院
(具体的な行動)
 9月9日にロクスケにあげた「手つかずのままで残っている鯵の干物」を持って、知り合いの獣医の所に持っていって調べてもらう(「忙しくてすぐには調べられない」とごねられるかも知れないので、自分の貯金から3万円をだし、それを心づけとして渡し急いで調べてもらいます)。
 動機はロクスケが干物を口を付けなかった事は、知らない人間(?)がいたからと理解もできるのですが、他の野良猫・野良犬・カラスが口を付けないという事に疑問と不安を覚えたからです(なので、獣医にもそれを強調して干物の調査を依頼)。腐っているとは思えませんし、毒でも振り掛けられたかな? とか思っていますw またロクスケの足の怪我の様子を獣医さんに相談し、怪我の回復をするにはどうすればいいかアドバイスいただきたいです。




リアクション1:
【出羽清虎・成否判定結果】
 ロールに1回失敗しています。
 「幸運のお守り」を使って1回の失敗を成功に変える事が出来ます。
 「幸運のお守り」を使うかを決めて申請してください。



アクション2:
 清虎は「幸運のお守り」を使います。破滅へと〜着実に向ってますな〜w




リアクション2:
【B4区画・路地】

 日課となったロクスケへの餌やりに、万座殿B4区画へ足を運ぶ。
 シルファムーン脇の路地に着くと携えてきた干物や白米を置いて、いつものように歌とギターで来訪を告げる。すると路地裏の曲がり角からひょいと灰色の猫が顔を覗かせた。聡明そうな目であたりを警戒しつつもあなたを見つめるのは、間違いなくロクスケだ。二日ぶりのその姿に、あなたは安堵する。
 左足を引きずるヒョコヒョコとした不器用な歩みで近づいてきて、あなたと鯵を交互に眺めている。遠くもなく近くもないその距離が、あなたとロクスケの友情の証だ。ロクスケは野良猫。人の手が触れられる距離には絶対近づかない。最初に出会った頃はまったく近づいて来なかった事を思うと、大分慣れてきたと言える。
 鯵には興味を持ってくれているようだ。この分ならちゃんと胃袋に収めてくれるだろう。ロクスケの左足を気遣いつつも、あなたはB4区画を後にする。


【キルケゴール】
 昨日に続いてB9区画のブティック「キルケゴール」に足を運ぶ。店内には2人客がいるだけで、さほど忙しそうではない。更に、幸いにも昨日の女性店員が再びあなたに声をかけてくれた。昨日の礼もそこそこに、陵杏里についての話を切り出す。
 本当に暇なのか、女性店員はあなたの質問に丁寧に答えてくれた。話し好きの女性で助かる。

「事故の相手方はどこかの会社の営業車だったかしら? 2年前の事なので良く覚えてないわ。小さく新聞にも載ったから、調べれば分かるかもしれないわね。
 ご遺体は親族の方が確認して引き取ったと聞いたわ。お葬式は親族だけで内々に行われて、私たちは参列できなかったの。後日、お姉さんと名乗る方が店に挨拶にいらして、杏里ちゃんの私物を引き取っていったのよ。姉妹そっくりなので、驚いたわ」
 姉―――世羅だ。
「そんな事なので、お墓の場所は知らないの。写真は・・・一枚くらい残っているかしら?」
 女性店員は一度店の奥に引っ込み、しばらくしてからその手に一枚の写真を持って戻ってきた。写真は3年前、キルケゴールが開店5周年を迎えた時に、当時のスタッフで撮った記念写真だという。
 写真の端で控え目な笑みを浮かべている女性が杏里だということはすぐに分かった。容姿は今とほとんど変わっていない。髪形や受ける印象こそ違え、その容姿はあなたの知る世羅にも酷似している。
「懐かしいわ。本当に良い子だったのにね」
 女性店員はそう言ってそっと涙を拭った。
(ロールに1回成功しています)


【新駅前・夜】
 様々な人や物が交錯する白凰市の中心・新駅前。その更に中心が、ここJR白凰駅である。
 アーティスティックなデザインの白壁の駅舎は、近代的な新駅前の風景に違和感なく溶け込んでおり、駅ビルや万座殿といった付属施設へ機能的にアクセスできるように建造されている。人を吐き出しては吸い込む白凰駅は、正に新駅前の心臓部といえる。
 程近い場所には、あたかも林立するオベリスクのような高層ビル群があり、一際高い「K3ビル」を中心にビジネス街を形成している。反対方向は文化ホールやスポーツ・アリーナといった文化・娯楽施設を集めた構成となっており、住人や利用者にとって便利な住み分けがなされている。昼には雑踏を行くビジネスマンや学生が、それぞれ正反対の方向へと流れ、クサカベによる都市開発計画の成功の一端を垣間見せるコマーシャルのような場所だが、夜ともなればさすがに人通りは少ない。

 新駅前を急ぐあなたは見知った顔を見つけて歩みを止める。遠目にもそれと分かる聖ジェローナ女学院の制服を着て、苑原柚織が万座殿へと入っていったのだ。もしかすると占いショップ「パール」へ行く途中なのかもしれない。
 更に、違う方向からはソバージュのかかった長い髪を夜風にたゆたわせながらゆっくりと陵杏里が歩いてくることに気づく。柚織とは別用らしいが、同じく万座殿へと入っていくようだ。
(※ロールに2回成功しています)

【出題】
 予定を変更して【苑原柚織を追う】か【陵杏里を追う】ことにしても構いません。その場合、【馴染みの動物病院にいく】アクションはキャンセルされます。
 行動を選択して申請してください。



アクション3:
 【馴染みの動物病院にいく】のアクションをキャンセル・変更して、【陵杏里を追う】ことにします。
 できれば彼女自身に何者なのかを問いただしたいです。でもお姉さん血族一同「陵」一族は皆「黄泉帰り」するんだ〜とか言われたら泣いてしまいますが・・・(笑)




リアクション3:
【陵杏里を尾行する】

 陵杏里の姿を追い、下りのエスカレーターに乗って、地下街「万座殿」へと進む。
 意外にも、杏里はB7区画へと向かう。B7区画といえば、ゲームセンターやホビーショップの集まるアミューズメント・エリアだ。杏里が足を運ぶには少し違和感があるが・・・。

 深夜だというのに、B7区画の人通りは多い。24時間営業の店舗も軒を連ねるために完全には眠らないB7区画は、あまり素行の良いとはいえない若者たちがたむろするには格好の場所という事になる。
 ふと気付くと、杏里が4人の若い男たちと話している。若者たちの服装や雰囲気は深夜のB7区画の住人然としたものであり、それはつまり普段の杏里とは相容れない雰囲気だと言える。しかし、あの人見知りの激しそうな杏里がごく自然に若者たちと談笑している姿は、あなたの中に払拭できない違和感を生じさせた。
 やがて杏里は若者たちに囲まれるようにして歩き出す。そこには無理矢理という雰囲気は微塵もなく、それどころか杏里が先導する風さえ見えた。杏里に悟られないよう、あなたは彼らの後を尾行する。
 尾行を始めてすぐに、あなた同様杏里の姿を追う人影に気づいた。昨日キルケゴールで会った英東児だ。彼も昨日のブティックでの話を聞いて杏里に真実を問いただそうとしているのだろうか? ほどなく東児もあなたに気づき、あなたたちは頷き合うと、ともに杏里の追跡を開始する。

 B7区画を抜けて、区画間を結ぶ連絡通路を歩いていく杏里と若者たち。時折、彼らの立てる笑声が耳に届く。遠目に杏里の様子を窺って、あなたは彼女に感じた違和感の一部分を理解する。

 それは非常に単純な事だった。しかし、杏里という人物に対する認識を根底から覆すものでもあった。
 杏里の服装はいつもと変わらない。ただ一つ、いつもより一つだけ多く、胸元のボタンが外されている事を除いては。
 たった一つのボタンが杏里の心まで開かせたのか、親しいというよりは気安いまでに、若者と戯れる杏里。その様子はまるで―――

 陵世羅のようではないか?

 杏里たちがやってきたのは、果たして立ち入り禁止区域となったB13区画であった。
 黒と黄の縞模様のストッパーを気にする事なく、杏里はその先へと歩を進める。わずかな逡巡を見せたが、すぐに若者たちもその後に続いた。

【出題】
 4人の若者を伴って杏里は立ち入り禁止区域であるB13区画へと入っていきます。この後のあなたの行動を決定して申請してください。



アクション4:
 清虎は「杏里さんたちを追って、立ち入り禁止区域B13区画に入り尾行を続けます」。そして東児さんとお互いの弱点を補いながら(清虎は「運動」の部分を。東児さんからは「探索」の部分をお互いフォローする)隠密行動、「見ちゃいけない儀式」をこそっとこの目に焼き付けせていただきます(笑)
 基本的に隠密行動ですが、最悪見つかって追いかけられた場合清虎が囮になり英東児さんを逃がします。そして無事皆に情報を伝えていただきたいです。




リアクション4:
【杏里たちの後を追う】

 闇。
 それがB13区画の支配者だった。点々と灯る非常灯の赤い光が、弱々しく真闇の完全支配を食い止めている。

 暗闇で杏里たちの姿を見失ったあなたたちは、手探り状態で歩を進め、その姿を探す。

 ああああああ・・・

 閉ざされた視覚の代わりに鋭敏さを増していた聴覚が、何か音―――いや、おそらくは声―――を捉える。それは10メートルほど先の、若干明るく見えるエリアから聞こえてきたように思えた。
 素行の悪そうな若者たちと、誘うような態度の杏里。
 嫌な予感がする。あなたたちは足を速め、薄明かりのエリアに踏み込んだ。そして―――

 白色の薄明かりで、そのエリアはボゥッと浮かび上がっていた。
 光の真ん中には、ブラウスをはだけられ、白い下着をあらわにした杏里が、尻餅をついたような姿勢で倒れていた。その四方を囲むようにして若者たちが立ち尽くしている。
 若者たちの体は、まるでクリスマスツリーに巻きつく電飾コードのように見える白い光を不規則に明滅させる半透明の蔓のようなものでがんじがらめにされていた。蔓の表面には紙のように薄い水晶の棘が、まるで魚の背鰭のように垂直に生えている。それをパリパリと音を立てて砕きながら、大蛇が獲物を絞め殺すかのように、蔓はゆっくり、ゆっくりと若者たちを締め上げていた。
 慄然たる光景を前にして、頭の片隅であなたは悟る。先ほどの声―――うめき、悲鳴―――は、彼ら蔓に巻き取られた若者たちが発したものなのだと。
 倒れた姿勢から上半身だけを起こして、はだけた胸元を直そうともせずに、杏里はあなたに微笑みかけた。蔓の根元は、全て杏里の腰の下に繋がっている。蔓の放つ幽光に照らされた杏里の笑顔は、凄絶な艶をもってあなたの脳を貫き通した。
 魅入られたように動けないあなたの前で、蔓はいよいよその締め付けを強め、それに呼応するように若者たちの口から苦悶のうめき声が搾り出される。そして―――

 ビキビキビキィッ!
 ガシャーーーーーーーン!!


 4人の若者の身体は、結晶化し、粉々に砕け散った。
「あらあら。やっぱり行きずりの魂では昇華できないんですね」
 4人の若者の破片―――死体―――に囲まれた杏里は、小さく溜め息をついて欠片を見渡した。しかし、声音にはさほど残念な様子は混じっていない。右手を口元に当ててクスクスと可笑しそうに笑い出す。
 その仕草は、そう、あなたの良く知る「杏里の姉」の仕草にそっくりだった。
「クスクス・・・ねぇ、どちらが良い? 世羅? それとも杏里? なってあげるよ。トラの好きな方になってあげる。世羅に弄ばれたい? それとも杏里をメチャクチャにする? どちらがお好み? クスクスクス・・・」
 口元から右手を離すと、杏里(と半透明の蔓)は誘うようにあなたを手招きした。
(ロールに2回成功しています)

【出題】
 杏里の誘惑に対するあなたの反応を決めて申請してください。
 「走って逃げ出す」「杏里の誘いを受ける」等、明確な行動指針を具体的に申請願います。
(尚、この【出題】に関する質問は受け付けません。上記に記した状況が、混乱したあなたの頭で理解できた事の全てです。杏里と問答する事も禁止とします)



アクション5:
 清虎は「走って逃げ出す」を選びます。
 英東児さんが「杏里の誘いを受ける」を選択されるそうなので、杏里(世羅)さんの気がそれている隙に全力ダッシュで逃げ出します。地下世界からの命がけの逃走と言うことで日本神話のイザナギの気分です。どこかに桃や櫛や旧い印おちてませんかね〜(クトルゥフでは絶望100%デス状態ネ)。

 くるしいくるしいくるしいたちどまってらくになりたい・・・
 躓き倒れた頭の片隅で「ここで死んだらロクスケに餌あげれないなー」という想いが浮かんで消えた・・・ロクスケ好きだぜー(と錯乱状態)




リアクション5:
【拒絶】

 それは到底許容できる類のモノではなかった。
 目の前で起こった事が夢なのか現実なのかさえ、ハッキリと区別できない。そんな状態のあなたが、目の前の杏里―――世羅―――それ以外のナニか―――の誘いを受けることなど、到底出来るわけがなかった。
 思考より本能が身体を動かした。未知なるモノへの恐怖。根源的なその本能があなたを全速力で走らせた。より早く、より速く、より遠く。暗闇に包まれた地下道を何度もつまずき転びながら、あなたは目の前の恐怖から逃げ出した。
 ついに闇を抜け、B13区画の崩落現場から脱出する。白い蛍光灯の灯りが「現実世界」に戻ってきた事をあなたに実感させてくれる。
 いったいあれは何だったのか? 本当に陵杏里だったのか? 本当に陵世羅だったのか? 本当に―――それ以外のナニかだったのか・・・?
 既に確かめる術とてない。あの暗闇で薄明かりを放つ怪物と、再び見えることなど出来はしない。
 あなたは再び走り出した。より早く、より速く、より遠く。耳の奥でこだまする、あの怪物のクスクス笑いから遠ざかるために。
(ロールに1回成功しています)