#3 英 東児





アクション1:
 人体水晶化とお守りの関係、陵杏里の正体(万座殿の噂との関連も)が今のところ優先項目。

[1アクション目]
 巳堂英一に会いにいきます。彼はまだ研究者然とした態度でいるのでしょうか。
 人体水晶化のメカニズムについての彼の説明(まだ推測の段階かもしれませんが)の前に、恐ろしくはないか、と質問します。赤室の最後の言葉の通りなら、手紙の主は明確な害意を持ってお守りを送りつけたことになるので。
 それから、崩落現場での水晶の反応を確認したのかを聞きます。まだなら、崩落現場に行くときは一緒に行きたいことと、今夜取材のついでに崩落現場に行くつもりであることを言います。

[2アクション目]
 陵杏里の事故死を調べます。
 キルケゴールの店員から事故の詳細を聞きます。事故の詳細を聞いてるのなら、白凰日報でもっと詳しいこと(事故の状況と、加害者の氏名(これは無理か?))を。事故を担当した記者がいれば、どんな事故だったのか思い出してもらいます。特に不審な点はなかったかを。

[3アクション目]
 万座殿で取材(探検?)します(デジカメ所持)。
 万座殿で行方不明になった不良について、知っていそうなグループに突撃取材を。
 最後に消えた人を見かけた場所や、一緒にいたといわれる若い女性について聞きます。 容姿、衣装が分かれば陵世羅、杏里かどうかの判断が出来そう。
 その取材が終わったら、実際に最後に目撃された場所からB13区の事故現場まで行ってみます。何か手掛かりになるものが落ちていたりしないか注意しながら。



リアクション1:
【英東児・成否判定結果】
 ロールに1回成功、1回失敗しています。
 「幸運のお守り」を使って1回の失敗を成功に変える事が出来ます。
 「幸運のお守り」を使うかを決めて申請してください。



アクション2:
 「幸運のお守り」を使用します。
 悩むところですが、使わないのももったいない(笑)。




リアクション2:
【國史院大学・地質学研究室】

 いつもの飾らない服装の上から薄汚れた白衣を着た姿で、巳堂英一はあなたを出迎えた。さすがにあの人懐こい笑顔は消えている。
 英一は砕け散った赤室翔彦の破片の解析を終えていた。何やら棒グラフや円グラフが描かれた書類をあなたに見せて、解説を始めようとする。
 あなたはその言葉を手を上げて遮り、英一に尋ねる。「恐ろしくはないか」と。手紙の裏に潜む、明確な害意を感じはしないのか、と。英一は逡巡も見せずにこう応じた。「恐ろしいですよ」と。そしておそらく解析結果が記されているであろう書類を示して、こう告げた。
「英さんが今こうして水晶の情報を集めているのと同じ動機で、僕も水晶の解析をしています。足で情報を収集するあなたと化学的に解析結果を集める僕は、その意味で役割分担をしている訳です。人には得手不得手がありますしね。そして僕の得意分野の化学には冷静さが必要となります。震えてみせろと言われればそうしますが、化学に携わっている以上、それが許されない時があります。それが今、という事です」
 これ以上は時間の無駄だとでもいう態度で話を終わらせ、英一は解析結果についての説明を始める。

 破片は、その材質を水晶(世羅から送りつけられたお守りの水晶)と同じくしている。ただ、両者には決定的な違いがある。それは「反応」だ。水晶には明滅を繰り返す生物的反応があるのに対し、破片にはそれがまったくない。水晶を生物であると仮定するならば、破片はその死骸だ。
 しかし、より慄然たる事実は解析報告書には記載されていない。つまり、解析の結果証明されたのは、“この破片が赤室翔彦の身体の一部であった痕跡が何一つないという事”だ。

「両者の間に何らかの繋がりがあることは疑いようがありません。サンプルも増えたことですし、より詳細な解析が出来ると思います」
 そう言って英一は説明を終えた。
 去り際、B13区画における水晶の明滅反応について話を向けると、英一は「あ、忘れてた」と言って頭をかいた。あなたの取材予定を聞いて、英一も腰を上げる気になったのか、今晩万座殿の入口で待ち合わせて一緒に反応の検証に行く事になった。もっとも、彼は検証が終わったら取材に付き合う事無く帰るつもりだろうが。
 英一と時間を取り決めた後、研究室を後にする。
(ロールに1回成功しています)


【二年前の交通事故】
 白凰日報社に戻り2年前、陵杏里が巻き込まれたという交通事故について調べてみる。

時間を要する作業ではあったが、成果は報われた。約2年前のマイクロフィルムを虱潰しに調べた結果、小さい記事ではあったが、事故を報道した箇所を見つけ出したのだ。
 新駅前の交差点で起こった死亡交通事故。被害者の名前は陵杏里(24才)。勤務先からの帰宅途中、某生命保険会社の営業車両に撥ねられ即死。運転者は業務上過失致死で逮捕されている。続いて事故後数日分のお悔やみ欄を当たってみたが、杏里の葬儀についての記述はない。葬儀全てが掲載されるわけではないし、内々に済ませる場合、葬儀案内を出さないケースもある。ただ、新聞に掲載されている以上、事故があったことは事実らしい。
 運転者逮捕の記述があるという事は警察も動いたのだろう。警察署へ赴いて事故記録を調べれば確実に裏を取れるが、2年前に交通事故の記事を捏造するほど白凰日報社がニュースに困っていた事実はない。
 結論として、陵杏里の交通事故に不審な点は見当たらない。
(ロールに1回成功しています)


【万座殿】
 巳堂英一から今夜のB13区画同行は出来なくなったとの連絡があった。何やら急用が出来たらしい。あなたは肩を竦めて電話を切ると、当初の予定通り一人で万座殿の取材に出かける。
 夜も眠らずに万座殿で煌々と明かりを灯し続けるのはB7区画だ。ゲームセンターがひしめくアミューズメント区画は昼もかくやという賑やかさで、パパやママよりも遅く帰宅する「ワルイコ」たちが粋がってたむろしている。取材にはうってつけの状況だ。
 軒先のクレーンゲームで盛り上がる男女の一団に近づいて行った時だった。目の端に見慣れた顔を捉える。
 ―――陵杏里だ。
 杏里は4人の若い男たちと話していた。若者たちの服装や雰囲気は深夜のB7区画の住人然としたものであり、それはつまり普段の杏里とは相容れない雰囲気だと言えた。しかし、あの人見知りの激しそうな杏里がごく自然に若者たちと談笑している姿は、あなたの中に払拭できない違和感を生じさせた。
 やがて杏里は若者たちに囲まれるようにして歩き出す。そこには無理矢理という雰囲気は微塵もなく、それどころか杏里が先導する風さえ見えた。杏里に悟られないよう、あなたは彼らを尾行する。
 尾行を始めてすぐに、あなた同様杏里の姿を追う人影に気づいた。昨日キルケゴールで会った出羽清虎だ。昨日のブティックでの話を聞いて杏里に真実を問いただそうとでもしているのだろうか? ほどなく清虎もあなたに気づき、あなたたちは頷き合うと、ともに杏里の追跡を開始する。

 B7区画を抜けて、区画間を結ぶ連絡通路を歩いていく杏里と若者たち。時折、彼らの立てる笑声が耳に届く。遠目に杏里の様子を窺って、あなたは彼女に感じた違和感の一部分を理解する。
 それは非常に単純な事だった。しかし、杏里という人物に対する認識を根底から覆すものでもあった。
 杏里の服装はいつもと変わらない。ただ一つ、いつもより一つだけ多く、胸元のボタンが外されている事を除いては。
 たった一つのボタンが杏里の心まで開かせたのか、親しいというよりは気安いまでに、若者と戯れる杏里。その様子はまるで―――

 陵世羅のようではないか?

 杏里の先導によってたどり着いたのは、果たして立ち入り禁止区域となったB13区画であった。
 黒と黄の縞模様のストッパーを気にする事なく、杏里はその先へと歩を進める。わずかな逡巡を見せたが、すぐに若者たちもその後に続いた。

【出題】
 4人の若者を伴って杏里は立ち入り禁止区域であるB13区画へと入っていきます。この後のあなたの行動を決定して申請してください。



アクション3:
 一部始終を見届けます。もちろん隠れてですが。
 デジカメ撮影可能ならトライしてみます。

 巳堂英一が来なかったのは、このためか(笑)。




リアクション3:
【英東児・成否判定結果】
 ロールに2回失敗しています。
 「幸運のお守り」を使って2回の失敗を成功に変える事が出来ます(どちらかの失敗だけを成功に変えることも出来ます)。
 「幸運のお守り」を使うか、その場合何回使うかを決めて申請してください。



アクション4:
 「幸運のお守り」を使用します。
 使用回数は2回。
 死ぬ前に水晶になりそう(ToT)




リアクション4:
【杏里たちの後を追う】

 闇。
 それがB13区画の支配者だった。点々と灯る非常灯の赤い光が、弱々しく真闇の完全支配を食い止めている。

 暗闇で杏里たちの姿を見失ったあなたたちは、手探り状態で歩を進め、その姿を探す。

 ああああああ・・・

 閉ざされた視覚の代わりに鋭敏さを増していた聴覚が、何か音―――いや、おそらくは声―――を捉える。それは10メートルほど先の、若干明るく見えるエリアから聞こえてきたように思えた。
 素行の悪そうな若者たちと、誘うような態度の杏里。
 嫌な予感がする。あなたたちは足を速め、薄明かりのエリアに踏み込んだ。そして―――

 白色の薄明かりで、そのエリアはボゥッと浮かび上がっていた。
 光の真ん中には、ブラウスをはだけられ、白い下着をあらわにした杏里が、尻餅をついたような姿勢で倒れていた。その四方を囲むようにして若者たちが立ち尽くしている。
 若者たちの体は、まるでクリスマスツリーに巻きつく電飾コードのように見える白い光を不規則に明滅させる半透明の蔓のようなものでがんじがらめにされていた。蔓の表面には紙のように薄い水晶の棘が、まるで魚の背鰭のように垂直に生えている。それをパリパリと音を立てて砕きながら、大蛇が獲物を絞め殺すかのように、蔓はゆっくり、ゆっくりと若者たちを締め上げていた。
 慄然たる光景を前にして、頭の片隅であなたは悟る。先ほどの声―――うめき、悲鳴―――は、彼ら蔓に巻き取られた若者たちが発したものなのだと。
 倒れた姿勢から上半身だけを起こして、はだけた胸元を直そうともせずに、杏里はあなたに微笑みかけた。蔓の根元は、全て杏里の腰の下に繋がっている。蔓の放つ幽光に照らされた杏里の笑顔は、凄絶な艶をもってあなたの脳を貫き通した。
 魅入られたように動けないあなたの前で、蔓はいよいよその締め付けを強め、それに呼応するように若者たちの口から苦悶のうめき声が搾り出される。そして―――

 ビキビキビキィッ!
 ガシャーーーーーーーン!!


 4人の若者の身体は、結晶化し、粉々に砕け散った。
「あらあら。やっぱり行きずりの魂では昇華できないんですね」
 4人の若者の破片―――死体―――に囲まれた杏里は、小さく溜め息をついて欠片を見渡した。しかし、声音にはさほど残念な様子は混じっていない。右手を口元に当ててクスクスと可笑しそうに笑い出す。
 その仕草は、そう、あなたの良く知る「杏里の姉」の仕草にそっくりだった。
「クスクス・・・ねぇ、どちらが良い? 世羅? それとも杏里? なってあげる。英さんの好きな方になってあげる。世羅に弄ばれたい? それとも杏里をメチャクチャにする? どちらがお好み? クスクスクス・・・」
 口元から右手を離すと、杏里(と半透明の蔓)は誘うようにあなたを手招きした。
(ロールに2回成功しています)

【出題】
 杏里の誘惑に対するあなたの反応を決めて申請してください。
 「走って逃げ出す」「杏里の誘いを受ける」等、明確な行動指針を具体的に申請願います。
(尚、この【出題】に関する質問は受け付けません。上記に記した状況が、混乱したあなたの頭で理解できた事の全てです。杏里と問答する事も禁止とします)



アクション5:
 出羽清虎に「君は帰れ。俺は彼女の誘いを受ける。ここで見たことは君がみんなに伝えてくれ。それと今後俺に会うことがあっても、絶対に信用するなよ」と言います。
 それから杏里(?)に「誘いを受けよう、君の」といって、歩み寄ります。
 もし杏里が清虎君を攻撃するようなら、その邪魔をします。




リアクション5:
【許容】

 目の前にいる杏里―――世羅―――それ以外のナニか―――に、あなたは歩み寄る。パキパキと音を立てて砕ける不良たちの亡骸を靴の裏に感じながら、幽光を発する杏里―――世羅―――それ以外のナニか―――に手を差し出した。座り込んだままだった杏里―――世羅―――それ以外のナニか―――はあなたの手を握り返し、そして立ち上がった。
 許容。それがあなたの選択。
「良い子ね。大切にしてあげる」
 杏里―――世羅―――それ以外のナニか―――があなたの身体に腕を回す。抱擁。明滅する半透明の蔓が、彼女の腕に続いてあなたの身体に絡みつく。しかしそれは、足元に散らばる不良たちの肉体を砕いた悪意を持った絡み方ではなく、甘く、優しい、そっとしたものだった。
 それで悟る。
 この蔓が、杏里―――世羅―――それ以外のナニか―――の身体の一部である事を。

※以降、「杏里―――世羅―――それ以外のナニか―――」を「陵世羅」と呼称します。

※陵世羅と同盟関係になりました(香織・志郎・祐二・清虎との同盟を破棄)。
 陵世羅は光無き惑星ムトゥーラに住む神性“結晶化した知性”クィス=アズの尖兵であり、今回の「招待状」にまつわる一連の事件の黒幕です。予告編「願」にあった状況の下、水晶を通して世羅の意識がクィス=アズと繋がり、クィス=アズは彼女の命を永らえさせました。世羅はクィス=アズのエージェントとして生まれ変わり、今は亡き妹の杏里になりすまして主に魂を捧げるために暗躍しています。

※魔術<クィス=アズの芽を発芽させる>を入手しました。
 この呪文は世羅から贈られた「幸運のお守り」を持つ者の隠し能力値【水晶の寄生度】を進行させる効果を持っています。お守りについた水晶は「クィス=アズの芽」であり、この「芽」に深く寄生された者の肉体は結晶化し、精神(魂)はクィス=アズへと吸収されてしまいます。
 あなたは<クィス=アズの芽を発芽させる>呪文を1話に1回だけ、任意のキャラクター(PC、NPCを問いません)に対して使うことが出来ます。指定したキャラクターの水晶の寄生度を1ポイント進行させるのです。各話の冒頭で「誰に対して呪文を使うか」を決定して、キーパーに申請してもらいます。
 ただし、陵世羅(杏里)、および彼女と同盟状態にあるキャラクターに対して呪文を行使する事は出来ません。



【旧支配者“結晶化した知性”クィス=アズと陵世羅の関係について】

 旧支配者クィス=アズ(Q'yth-az)はヤディス星に程近い常闇の惑星ムトゥーラを住処としています。巨大な水晶塊のような外見をしており、植物の蔓のような触手を備えています。
 通常はムトゥーラ星の地表から動くことの出来ない存在ですが、鉱物を通してその所有者に接触を持つことが出来ます。今回はこの方法で陵世羅に接触し、彼女の生命を救う代わりに自らの下僕となる契約を交わしました。

 生命を永らえた世羅は主(クィス=アズ神)より与えられた「芽」(幸運のお守りについた水晶)を使って魂を集め、それを主に捧げるために活動しています。一定量の魂を捧げると、時空を超えてクィス=アズ神を招来することが可能です。世羅の最終目標はクィス=アズの招来です。世羅との同盟は、クィス=アズ招来に加担する事と同義になります。
 クィス=アズは天空にムトゥーラが輝く時間帯しか地球に留まることが出来ません。それがいつかは分かりませんが、世羅は良く晴れた深夜にクィス=アズの招来を試みることでしょう。厚い雲はムトゥーラの輝きを妨げます。主の招来を成就させるために、邪魔になりそうな要素は徹底的に排除するのが世羅のやり方です。

 陵世羅をリーダーとした同盟のメンバーの目的は、クィス=アズの招来を成功させることです。クィス=アズの招来には5名の人間の魂が必要です。つまり、PC、NPC合わせて5名を結晶化させなくてはなりません。現在、赤室翔彦、月辺鈴姫が結晶化したので、残るは3名です。
 人間を結晶化させるにはクィス=アズの芽の寄生度を上げることが必要になります。寄生度を上げるには以下の方法があります。

@幸運のお守りを使わせる:ロールの失敗を成功に変えるために幸運のお守りを使う度に芽の寄生度は進行します。
AB13区画崩落事故現場へ行く:事故現場はクィス=アズと世羅が初めて接触を持った場所であり、クィス=アズの力が流れ込んでいる場所である事から、寄生度を進行させる効果があります。
B<クィス=アズの芽を発芽させる>を使う:既に入手しているこの呪文を使うことで、寄生度を進行させることが出来ます。

 世羅と同盟関係にあるPC、NPCは以上の条件の影響を受けません(つまり、結晶化する事はありません)。
 出来るだけ他のPCの水晶の寄生度が進行するように暗躍してください。もしも結晶化したキャラクターが5名に満たない場合、クィス=アズ招来は失敗します。それは世羅とあなたの破滅を意味します。