#4 長内 香織
アクション1:
どうもー。
さて、今回は。
1アクション目:柚織と共に、松本葵先生を訪ねます。清虎さんも行かれるそうなので、便乗させてもらいます。
柚織が「雲を呼ぶ声」の持ち主らしい事を説明して、コンクールで柚織が歌うべきかどうかを聞いてみます。
「雲の帳だけでは、ムトゥーラには暗すぎるから」と言う巧美の言葉に付いても言及しましょう。
2アクション目:鈴原さんと共に、白凰文化ホールに先乗りします。
初めて巧美を見かけたのも、ホールでしたから。
3アクション目:柚織のコンクールへ行きます。
但し、柚織が歌う事によってクィス=アズの召還が為されるようならば、力尽くで阻止します。
そうでないならば、逆に邪魔が入らないよう注意を払います。
それから、本番前に柚織に首飾りの交換を申し出ます。香織の首飾りも世羅からの贈り物である事を強調し、絶対に独唱を成功させて欲しいと言う自分の思いを併せて歌ってくれるよう頼みます。
歌い終わって水晶化は、避けたいので(汗)。
リアクション1:
【國史院大学付属病院・精神科】
あなたは出羽清虎、苑原柚織と連れ立って國大付属病院を訪れ、受付で松本葵医師と面会したい旨を告げる。幸い空き時間であったのか面会の承諾は取れ、受付で教えられた順路通りに彼女の待つ診察室へと足を運ぶ。
ノックをして扉を開けると、女性が一人椅子に座っていた。ロングヘアーを大きく三つ編みにして一房にまとめ、左肩から前に垂らしている。整った形の鼻の付け根には、半分ずり落ちるようにして眼鏡がかかっており、そのレンズ越しに覗く切れ長の目があなたを値踏みするように見つめている。
白い上等なブラウスの襟元には、いささか少女趣味とも思える大きな黒いリボンが結ばれている。タイトスカート、ストッキング、パンプスと続くボトムは全て黒でまとめられて襟元のリボンと対をなしているが、無造作に羽織られた白衣が黒の占有率を下げている。クロームシルバーのクロスが飾られた黒いチョーカーが黒白の彼女の雰囲気を締めているが、まるで水墨画に押された朱印のように唇のルージュは赤い。白衣の胸ポケットに付けられたネームプレートには「松本葵」の文字。彼女が松本医師その人らしい。
向かいの椅子に座るよう促し、書きかけのカルテの整理をし終えてからあなたたちと向かい合う。
「確か出羽君だったかしら? えーと、そちらのあなたたちは・・・初対面よね?」
あなたと柚織が自己紹介すると、松本医師はなるほどと一つ頷いた。矢尋から名前だけは聞かされていたのかもしれない。
あなたは柚織が「雲を呼ぶ声」の持ち主らしい事を松本医師に説明し、コンクールで彼女が歌うべきかどうかを聞いてみる。松本医師は腕組みをして考え込んだ後、次のような答えを返した。
「別に私は今夜の天気が曇りになっても困らないから、柚織ちゃんがコンクールに出たいのであれば歌ってくれても構わないけど。私は日下部君から盗難書籍についての素性を尋ねられただけの部外者だから、大事な事は当事者であるあなたたちが話し合って決めた方が良いんじゃないかしら?」
次いで「雲の帳だけでは、ムトゥーラには暗すぎるから」という巧美の言葉を聞かせ、その意味についての心当たりを尋ねてみる。松本医師は再び腕組みをしたが、言葉の解釈までは思い至らないようだった。
「ムトゥーラというのが暗黒星を指すという事は日下部君の手元にある二冊の本から分かっている事だから、あとは雲の帳云々と言うくだりが何を意味するかが問題よね? その言葉だけでは材料が少なすぎて、前後関係を知らない私には判断がつかないわ。力になれなくてごめんね」
あなたと清虎は國大付属病院を後にする。
【白凰文化ホール】
あなたは柚織と連れ立ってコンクール会場となる文化ホールへと足を運び、そこで鈴原志郎と合流した。リハーサルもあり、柚織はここで別れてコーラス部のメンバーと合流するという。手を振って関係者用入口へと柚織は駆けていった。
柚織の背中を見送るあなたは、目の端に帯刀祐二の姿を捉える。祐二は柚織へと接触を図るために彼女に近付いて行くが、柚織の方はまだ彼に気付いていないらしい。
【出題】
祐二と柚織に対して何か行動を起こすのであれば申請してください。このまま巧美を探しても構いません。
アクション2:
えー、どうも。
無論、帯刀くんと柚織の所へ駆け寄ります。
さり気なく柚織を庇いつつ、帯刀くんに「逃げたのか、誘いを受けたのか」を問いましょう。
誘いを受けたのであれば、柚織をガードしつつ即行その場を離れます。
「あなたたちは、この娘を歌わせたいの? 邪魔したいの?」と聞いてみる事にします。
逃げたと言っても、全面的には信用しません。
何にせよ、香織や帯刀くんのような部外者が入れない所まで柚織を護衛して連れて行きます。
以上、よろしくお願いします。
リアクション2:
【帯刀祐二】
祐二の様子に只ならぬものを感じたあなたと志郎は、すかさず柚織を追いかけ、二人の間に割って入った。柚織にしか目が行っていなかったのか、不意を突かれた様子で祐二が立ち止まる。B13区画、誘うあの化け物の前で別れてから、初めての邂逅。
「逃げたの? それとも、あんたも誘いを受けたの?」
語気鋭く、あなたは祐二に確認の言葉を放つ。しかし、祐二はあなたに視線を向けることさえせずに、柚織だけを見てその右腕を差し伸ばした。
「苑原さん、一緒に行こう。世羅さんが待ってる」
ビクリと身を竦ませる柚織。暗闇の中で陵杏里―――世羅―――の格好をした怪物が、あなたと柚織にしたのとまったく同じ動作で、祐二は柚織を誘う。
「あんたたちは、この娘を歌わせたいの? 邪魔したいの?」
継いで放った第二の問いかけにも、祐二は返答を返さなかった。まるであなたや志郎がいないかのように柚織だけを見つめ、彼女の気持ちをグラ付かせている。
「これは君のためなんだ。結晶化したくはないだろ? 僕はもう人があんな風に死ぬのを見るのが嫌なだけなんだ」
俯く柚織。最悪、力尽くでも柚織を引き止めるつもりだった。しかし、柚織はそこまで弱くもなければ愚かでもなかった。顔を上げるとはっきりと首を横に振る。それが柚織の決断だった。
「行かない。もうあそこには行かない。本物の世羅さんはコンクール本番には必ず来てくれるって言っていたもの。ソロに選ばれたら、花束持って聞きに来てくれるって。だから私は待ちます。ここで、歌を歌いながら」
柚織の決断の言葉を聞くと、祐二は初めてあなたと志郎に視線を送り、次いで少し肩を竦めるとクルリと踵を返して人混みの中へと歩み去った。
【コーラスコンクール】
満天の星空。
青い月明かりに照らされて黒々と浮かび上がる白凰文化ホールで、合唱のコンクールが行われている。全国から集められた選りすぐりのグループが参加するとあって、客の入りは上々だ。しかし、来場者の大半が、あるコーラスグループの合唱を目当てに足を運んでいた。文化ホール前に設えられた看板にも一際大きく目立つ文字で書かれた、そのコーラスグループ。
聖ジェローナ女学院・コーラス部。
全国、いや、国際的にも高く評価されている臙脂のセーラー服の少女たちの歌声が、今夜のメインイベントとしてプログラムされている。
本番前の少しの空き時間を利用してあなたたちは再び苑原柚織と集合した。いつもの臙脂のセーラー服に白いベレー帽という出で立ちの柚織が、他のコーラスメンバーから離れてあなたたちの元へとやって来る。
あなたは自分の水晶を差し出して、これと柚織の水晶を交換するように申し出た。しかしやはり、柚織は首を横に振った。
「お守りは肌身離さず持っているからこそ持ち主を守ってくれるんです。おうちの机の引き出しの奥にしまってあるお守りの効力が、その持ち主に及ばないのと同じ理屈です」
柚織は首から下がった水晶の首飾りに手をやって目を閉じる。柚織の癖は左のこめかみから下がる編み込みに手をやることだったが、それが今や水晶に手をやることに置き換わっている。B13区画で杏里―――世羅―――の姿を見ても尚、柚織は水晶のお守りの贈り主に好意を寄せ、その力を信じているのだ。
「もし良かったら聞いていってください。世羅さんにも届くように、精一杯歌ってきます」
柚織は飛び切りの笑顔を見せると、仲間のコーラスメンバーが待つ控え室へと戻っていく。
【出題】
これからコンクールの本番に臨む柚織に対する行動があれば申請してください。ただ柚織の背中を見送るだけでも構いません。
アクション3:
どうもー。
柚織を呼び止めて、自分の首飾りを渡します。
「2つも首から下げる訳には、いかないかもしれないけど……。ポッケにでも入れといて」
無事にコンクールが終了したら、返してもらう約束をします。
「世羅さんと一緒に、私も舞台に上がってみたいから」
柚織の首飾りを見ながら、悪戯っぽく笑います。
自分も勿論柚織の歌を聞いて行く事、会場で本物の「世羅」を探してみる事を告げて、柚織を激励します。
以上、よろしくお願いします。
リアクション3:
【長内香織・成否判定結果】
ロールに1回失敗しています。
「幸運のお守り」を使って失敗を成功に変える事が出来ます。
「幸運のお守り」を使うかを決めて申請してください。
アクション4:
お守り使います。
よろしくお願いします。
リアクション4:
【最後の“雲を呼ぶ声”】
コンクールは盛況の中執り行われていった。日頃の練習の成果を発揮すべく、老若男女様々なグループが舞台に登場し、喝采を浴びていた。レベルの高い歌声の競演に、甲乙は付けがたいと思われた。聖ジェローナのコーラス部が登場するまでは。
一曲目を歌い始めると、会場は水を打ったように静まり返った。そして曲の終了とともに万雷の拍手。言葉は要らなかった。それほどまでに、聖ジェローナは圧倒的だった。そして二曲目を前にして、整列していた合唱隊の中から一人の少女が歩み出る。特徴的な左こめかみの編み込みが遠目からも分かる。苑原柚織だ。
二曲目の合唱が始まり、再び静まり返る会場。そして前奏を歌い上げた仲間の少女たちの歌声に続いて、柚織のソロパートが始まる。胸の前で合わされた彼女の両の手には、陵世羅から贈られたあの水晶が握り込まれているのだろう。会場のどこかに世羅がいる事を信じて、彼女は歌い始めた。声の限り、魂を込めて。
それは衝撃だった。
素晴らしいという言葉では明らかに役不足だった。その上を行く賞辞があったとしても、役目を十分には果たせなかっただろう。そのはるか上を行くレベルで聞く者全てを震わせ、魅了する。それが苑原柚織の歌声だった。
会場の誰もが固唾を飲んだ。自分の息つく音、心臓の鼓動さえもが柚織の声を妨げるものとして邪魔に感じられる。感覚は聴覚にのみ先鋭化し、思考はただ空白。会場は柚織の歌声のみに満たされた。
白凰市気象台のレーダーに不思議な雲が現れたのは、聖ジェローナ女学院の二曲目が始まって間もなくだった。
星晴れの夜空を塗り潰すかのようにして、突如レーダーに雲の影が発生し、白凰市上空を埋め尽くした。レーダーの異常に気付いた職員が詳細な計測の準備にかかったが、それは間に合わなかった。忽然と、レーダーから雲の影が消えていたからだ。
計器異常として早急な検査が行われたが故障は見当たらず、気象台の職員たちは顔を見合わせて首を傾げた。
柚織の歌声を聴いた“地球”が証に雲を集めた事など、気象台の職員たちに分かるはずもなかった。
ギィィィィン!
柚織の歌声に惹き付けられていたあなたを現実に引き戻したのは、何度か聞いたことのある“あの音”だった。音の発信源と思われるジーンズのポケットの中へ手を入れてみると―――ある。冷たく、そして震えるようなこの感触。ステージ上の柚織に渡したはずの「あなたの水晶のお守り」が、ポケットの奥に入っている!! 取り出して見ると、狂ったように光を明滅させながら水晶は何かと共鳴していた。それはおそらく、ステージ上で歌う少女が両手で握りしめる、あの水晶と・・・。
曲は終わり、少女たちの歌声も止んだ。
再び万雷の拍手。
白凰文化ホールに詰めかけた聴衆は、惜しむ事無く舞台上の少女たちに拍手と賛辞を贈った。耳を聾するほどの拍手を受けて、戸惑いながらも素直に喜ぶ聖ジェローナ女学院のコーラス部員たち。
その時、まるでテレビカメラで拡大ズームされるかのように、柚織の笑顔があなたの脳に直接映像として流れ込んできた。
柚織は他の部員と同じく笑顔を浮かべて拍手を身に浴びていた。その表情から独唱が会心の出来であった事が読み取れる。彼女の背後に整列していたコーラス部の僚友たちからも賛辞が贈られる。その声に応えるべく、柚織は振り向こうとした。
キン・・・ッ! と小さな音を立て、一瞬にして柚織は水晶化した。振り向こうとしていた慣性で柚織の形をした水晶像はくるりと一回転し、ゴトリと音を立てて無様に舞台上に横たわった。
止まる拍手と歓声。凍りつく会場。
脳に流れ込んでいた映像がプツリと切れる。無言で天を仰ぐ志郎の隣で、あなたは悔しさに涙を浮かべ、小さく両の拳を震わせた。
これが苑原柚織の最期である。
(ロールに1回成功しています)