プロローグ
『フォーチュン・クリスタル』
『地下ショッピングモール「万座殿」工事現場で、また崩落事故』
地方紙・白凰日報に躍った文字。万座殿では過去6度事故が発生しているので、それは喧しく口の端に上るほどにショッキングなニュースとはならなかった。
読み流される程度の記事だった。普通であれば、あなたもそうしていただろう。
その事故に、知人が巻き込まれてさえいなければ。
崩落現場はB13区画と呼ばれる地下区画の一角だった。開発担当チームの調査班7名が現地調査を行っていた際、天井部分が崩落し、ちょうど真下にいた調査メンバーの頭上に降り注いだのだという。調査メンバーの内2名は無事救助されたが、4名が死亡、1名が行方不明。崩落の衝撃で隣区B12区画の店舗のガラスが割れたり、荷物が崩れたりして、店員や買い物客数名も軽い怪我を負った。
崩落は広範囲には及ばなかったものの、行方不明者1名の捜索は困難を極めた。4名の犠牲者の遺体は事故発生から半日足らずで全て収容されたが、残りの1名の行方が杳として知れない。崩落した瓦礫を全て取り除いた後も、行方不明者は発見されなかった。遺体が地盤の裂け目に落ち込んだために発見は困難であるとの警察発表がなされ、半月後、捜索は打ち切られた。
崩落事故より一ヶ月が経ったある日、あなたのもとに一通の封書が届く。
封書には何かの「お守り」らしい、革紐が通された水晶の首飾り(フォーチュン・クリスタル)と、一枚の紙片が入っていた。
紙片には流麗な筆致で次のように書かれている。
「9月8日、午後6時に旧白凰駅前の第1白凰ビル3階に来てください」
奇妙な呼び出しの手紙。差出人の名は―――紙片の最後に記されている。
差出人は
「陵 世羅(みささぎ・せら)」
。一ヶ月前の崩落事故で行方不明になった、あなたの知人である。
(※「幸運のお守り(水晶の首飾り)」を入手しました。今後、あなたはこのお守りを肌身離さず持つものとします。詳細は「運用ルール」を参照してください)
「召集」が発動しました。PCは全員「第1白凰ビル3階」に集合してください。ただし、今回の召集は特殊なものであり、他キャラクターへの質問は出来ません。
専用掲示板に「第1回 召集」ツリーを立てますので、そこで自分のキャラクターの自己紹介をして下さい。自己紹介は順不同ですので、紹介文ができたプレイヤーから順次アップして構いません。
※自分のキャラクターをアピールする最初のシーンです。
尚、陵世羅から届いた封書に「幸運のお守り」と共に同封されていた手紙には、以下の通り記されています。
(キャラクターの名前)
様
No.
(1〜11までの数字)
9月8日、午後6時に旧白凰駅前の第1白凰ビル3階に来てください。
陵 世羅