護封十三家

 白凰市に古くからある十三の旧家。広大な面積を持つ元白凰区の地主であり、白凰市の市政にも大きな影響力を持っています。急速に発展を遂げる万座区と、それを後押しするクサカベグループを良く思っていません。
 十三家は、太古にこの地で祭祀を司っていた一つの家から分かれた、起源を同じくする一族であると伝えられています。元白凰区の神秘に満ちた地域で行われる祭祀のほとんどが、彼ら十三家によって取り仕切られます。
 超自然の存在が少なからず封印されている白凰市の要石の役割を果たしており、その封印を守ることに関して命を惜しみません。
 便宜上番号を振ってありますが、十三家に明確な順位はありません。

鴻  十三家が書き溜めたり蒐集したりしてきた古文書を収めた「鴻文庫」を管理している事から「書のオオトリ」と呼ばれます。
鳳  (社のオオトリ)
鵬  管理地の中に3つの大きな森林を抱えている事から「森のオオトリ」と呼ばれています。
九鵞  九鵞家は政務能力に優れた家柄で、古くから白凰市の政治の中心に人材を派遣してきました。現在の白凰市議会の議長は、九鵞家の人間が務めています。
 護封十三家の家柄を強く重んじており、元白凰区にクサカベ・グループの手が及ぶ事に強硬に反対しています。しかし、万座区の発展にはクサカベ・グループの力を大いに利用しており、臨機応変な対応で白凰市政に辣腕を振るっています。
宮鷺  女系家族として知られる宮鷺家は、美女を産する家柄である事で知られています。勢力の弱い宮鷺家が他の十三家と同等に扱われる所以は、美しい娘たちが他の十三家との婚姻によって血縁を作るからです。
 宮鷺家は三代前に他の十三家の強硬な反対を押し切って、日下部家と血縁を結びました。日下部家の人間が婿入りすることよって成立したこの婚姻によって宮鷺家はかつてない隆盛を極める事になりますが、十三家からは孤立した立場になってしまっています。宮鷺家を通して日下部の意向が十三家の中に入ってくるのを、他の十三家は警戒しています。
 見目麗しく従順な宮鷺家の女に狂わされる男は多く、過去、それが原因でいくつもの事件が起きています。
鸞堂  “巫式の鸞堂”と呼ばれる魔術師の家系です。巫術・式術の他にも古今東西あらゆる呪術に精通しており、その知識を代々受け継いでいます。
 鸞堂家には特殊な薬草を用いた精神修練の法が伝わっており、これによって優秀な魔術師を数多く輩出しています。しかし、薬草の副作用から生殖能力が低下し、血筋が細くなっていく事が悩みの種です。
鷲羽  強力な“夢見る者”の家系です。ドリームランドと繋がるとされる「イメの森」を、鵬家とともに監視しています。
鵺木  学者の家系。かつてはその見識に一目置かれて十三家の中核でしたが、近年は力が衰え、他の十三家の庇護下にある状態です。
 鵺木家の博学な先祖たちが連綿と蒐集し続けてきた稀覯本を収めた「鵺木書庫」は鴻家の「鴻文庫」に吸収されてしまっています。同じく先祖たちが世界中から集めた貴重品が収納されている大倉庫「鵺木の鬼蔵」は未だに鵺木家の管理下にありますが、生活に窮してそれらを切り売りし始めるのも時間の問題です。
鴉双  元白凰区の洋館街にある教会の神父を務めている家柄です。
 鴉双家は現在、家督争いの真っ最中です。本来家督相続するはずだった本筋の家が許されざる失態を犯したために追放され、傍系の二つの家が家督相続を主張して対立しています。他の十三家はこの争いには静観を決め込んでいますが、誰が鴉双家の当主になるのか興味津々です。
鸛坂  白凰市と鬼別郡との境界に沿う細長く伸びた地域を本拠とする家系です。
 「結界守」または「注連縄」と呼ばれる鸛坂は、白凰市から外へ出ようとする怪異と、鬼別郡から白凰市へと侵入しようとする怪異の行動の監視・阻止を任されています。白凰市内の事件には過剰なほどの対応をしますが、鬼別郡で発生した事象には無責任なほど無関心です(これは十三家全般に言えることです)。
 白凰市と鬼別郡を分かつ関守として、鸛坂家は十三家の運営に大きな影響力を持っています。
拾壱 四鴛  財界の大立者として知られる家系です。独自のコネクション、ネットワークを持っており、突出した情報収集能力・行動力を買われて他の十三家の相談役的役割を務める場合もあります。
 20年ほど前、当時の当主が起こした大スキャンダルによって財界での影響力に陰りが見えましたが、それも再び磐石なものに戻りつつあります。
 しかし……
拾弐 鵠井  鵠井家は白凰市に本部を置く暴力団「正鵠会」の会長一家です。古くから地元に根付くヤクザとして新駅前周辺の繁華街に睨みを利かせる一方、警察も手を出せない元白凰区の裏側の出来事にまで顔を出します。
 「後始末の鵠井」と呼ばれるように、護封十三家の活動によって生じた事象の事後処理を担っており、商売柄他の十三家からは冷たい目で見られながらも、なくてはならない存在として確固たる地位を占めています。元白凰区の古老や十三家の人間が使う「井戸をくぐらせる(=始末をつけるの意)」という言い回しは、この鵠井の家名をもじって生まれた言い方です。
拾参 芦鷹  芦鷹家は追放された家柄です。何百年も前に許されざる禁を犯して、十三家から追放されました。その後、山へ篭った芦鷹は鬼別郡・厨子村に根を張り、そこで再び権勢を得たようです。しかし厨子村が壊滅した今日、芦鷹家の血筋は途絶えたものと考えられています。



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