元白凰区

 護封十三家とその一族に牛耳られた保守的・閉鎖的なこの地域の裏で、数え切れないほどの伝奇的な暗闘が繰り返されています。
 封じられた大小の怪異を十三家が中心となって監視し続けていますが、時に綻びが出るのは仕方のないことです。
 綻びから這い出てきた怪異が再び封印されるまで大人しく身を潜めているはずがありません。



イメの森
 元白凰区西部に広がる森です。「森のオオトリ」の鵬家と鷲羽家によって管理されています。
 その面積は広大で、白凰市のみならず、一部が鬼別郡にまでかかっています。元白凰区の他区域の例に漏れず開発の手は及んでいませんが、キャンプ場が数箇所設けられているなど、自然を壊さない程度に娯楽施設が設置されています。ただし、森の奥には青木ヶ原樹海のように磁石の働かない区域があるため、深く入り込むのは危険です。
 「イメノアワイ(夢の間)」と呼ばれる不規則に出現と消滅を繰り返すドリームランドとの境界が何箇所かあります。固定されたイメノアワイは「イメノト(夢の門)」と呼ばれ、厳重に封印・監視されています。
(出典:「イメノアワイ」)

旧白凰駅前
 現在万座区の発展の中心となっている白凰駅は、かつて元白凰区のこの地にありました。開発計画の見直しによって白凰駅は万座区の通称・新駅前へと移設され、旧白凰駅跡地には駅舎すら残っていません。万座区−元白凰区間を隔てる結界のように、廃線となった線路だけが撤去されないまま放置されています。
 駅舎跡を中心として、かつての繁華の名残が恨めしくも残っています。建設途中で放棄された駅ビル・第1白凰ビルを筆頭として、廃墟が沈黙のまま林立しています。全ての建築物には立ち入り禁止の看板がかかっているものの、監視する者のないそれに強制力は皆無です。
 旧白凰駅前の廃墟群は完全なる無法の場所となっています。
(出典:「クリスタル・ヴォイス」、「アッシュールバニパル王の火の石の呪い」、「Super 8」、「バートリの秘法」他)

子啼ヶ原こなきがはら
 元白凰区の外れ、鬼別郡に近い山奥にある四方を丘に囲まれた平原。其処彼処から断続的に正体不明の音が鳴り続く、奇怪な土地です。音は聞き取れないほど甲高い音と辛うじて聞き取れるほどの低く唸るような音の間で上下する、ハイピッチなもので、その発信源は分かっていません。地下に空洞があって、そこを流れる地下水が空洞に共鳴を発生させてこのような音が鳴るのだと考えられています。
 昔、この音が妖怪が甲高く泣いたり、低く唸ったりする声であると考えられていたため、このような地名が付けられました。
(出典:「獣の聲」)

護封十三家 (詳細)
 万座区を支配しているのがクサカベグループであるのなら、元白凰区を牛耳っているのは護封十三家です。
 十三家は保守的で閉鎖的な白凰市最大の意思決定機関です。根深く市政に関わっており、圧倒的な影響力を誇っています。
 十三家には別項を設けますので、詳細はそちらをご覧下さい。
(出典:「イメノアワイ」、「セベクの復活」他)

境辻峠さかいつじとうげ
 白凰市と鬼別郡の境にある山にある峠です。細い県道が通っていて、頂の部分は切通しになっています。境辻トンネルがこの山を貫いています。地名について、市と郡の境となっているため“境”とつくのはともかく、“辻”とついている意味が不明であると話題になることがあります。
 境辻トンネルは幽霊トンネルとして有名です。
(出典:「非時香果」)

赤衣聖母教会施設跡(百扉教会)
 白凰市と鬼別郡の境の山中にある、有名な廃墟・心霊スポットです。白凰市中心街から、車で半日くらいの場所にあります。建物は荒れ果てており、正面扉や雨戸に打ち付けられていた立ち入り禁止の板ははがされて、スプレー塗料で壁に落書きがされています。教会の正面にあるポーチの柱には「百扉教会 神の扉は何人にも開かれる」と書かれています。
 建物には扉(シャッターや引き戸も含まれます)が異常に多く(87箇所)不気味な外観をしています。向こう側に通路が続いていない扉があったり、開けたらすぐに壁になっていたり、蝶番だけが取り付けられているような場所が多数あり、まるで扉を継ぎ接ぎしたような建物です。
 教会にある無数の扉の一つから「赤マリア」と呼ばれる謎の存在が出現したとの報告があります。
(出典:「赤い闇をさまようもの」)

私立柊学園
 元白凰区にある私立高校です。歴史を持つ中高一貫制の学園であり、地元の元白凰区からの入学者が学生の大半を占めています。
 制服は男女ともに黒のブレザーであり、男子は濃緑色のネクタイ、女子は同色のリボンを着用しますが、普段は外している生徒が大半です。


月杜ツクノモリ
 白凰市三大森林の一つで、上空から見ると円形の満月型をしているのがその呼び名の由来です。満月の夜、毛深くて角を持つ「モリノヒト」と呼ばれる樹木の精霊が月光の下で宴を開くという伝説があります。鵬家の管理地です。
 森の豊穣なる母(シュブ=ニグラス)の本拠の一つであり、数体の黒き仔山羊と共に、彼女の崇拝者が月の下で魔宴を開いています。結界の敷設や封鎖処置が取られていない所を見ると、崇拝者(モリノヒト)と鵬家の間には何らかの密約があるのかもしれません。
(出典:「ドライアド」)

不動超能力研究所跡地
 社底山の山中にあった研究所。ここで5名の研究者(と数名の雑務係)が8名の被験者を相手に超能力の研究をしていました。被験者の一人がガタノソアの欠片として覚醒した際に広く破壊され、社底山の山崩れ事故によってその廃墟も押し流され、今では土中に埋まってしまっています。現在は立ち入り禁止区域となっているこのエリアに入り込んで残骸を発見することができれば、超能力に関する研究資料や、研究所そのものの母体組織に関する情報を得ることができるかもしれません。
 なお、不動超能力研究所近くには隠形の結界に隠された不動尊があり、そこに不動八大童子の一、我耨達童子(あのくたどうじ)に似せたガタノソア像が安置されていました。この不動尊が山崩れで失われたかどうかは不明です。この不動尊の隠形の結界には護封十三家がかかわっていた証拠があります。
(出典:「カトブレパス」)

社底山やじそこやま
 元白凰区にあるそれほど標高の高くない山です。山腹にある洞窟は山の地下へと傾斜しており、その奥にはガタノソアを祀った祭殿があります。実は洞窟の奥は魔術的な門によってヤディス=ゴー山へ繋がっていました。
 この山に人知れず設立された「不動超能力研究所」を名乗る団体によって被験者とされた少年が先祖返りを起こし、この洞窟の奥でガタノソアとしての自我を爆発させ、洞窟の崩落により山崩れが起きました。現在は洞窟の入り口は埋まってしまっていますが、その奥にあるヤディス=ゴー山への魔術的な入り口は未だに残っているかもしれません。
(出典:「カトブレパス」)

洋館街
 元白凰区の一角にある古い洋館群です。明治〜大正時代に地元の金持ちや裕福な外国人たちがこぞって建てた洋館が20館ほどこの地域に集中しています。煉瓦敷きの歩道やガス灯(中身は電気式に取り替えられています)等、独特の雰囲気が漂う地域として白凰市では知らぬ者のない名所です。
 閑静な散歩道として地元の住人に親しまれていますが、洋館の3分の1が空き家であることもあって、夜は人通りが途絶えてしまいます。洋館街を舞台とした怪談も少なくないため、暗くなってからの洋館街を歩く人は滅多にいません。
 白凰市の2大教会である「聖天使教会」があるのはこの地域です。聖天使教会は護封十三家の一家・鴉双の本拠です。

 ※現在シナリオ等で確認されている洋館:
  • プッペン・ハウス (登場「コッペリア」)
  • 北御門邸 (登場「コッペリア」)
  • 風見館 (登場「境界上に建つ館」)
  • 聖天使教会
(出典:「コッペリア」、「境界上に建つ館」)





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