クロックワーク&クトゥルー


Clockwork & Cthulhu  『クロックワーク&クトゥルー』は英国のCakebread & Walton社から発売された近世イングランドを舞台としたRPG『クロックワーク&シヴァルリ』用のサプリメントです。内燃機関登場以前の舞台、クロックパンクの世界でクトゥルー神話に立ち向かいます。

 『クロックワーク&シヴァルリ』は17世紀の改変世界のイングランド内戦を舞台にした、剣とマスケット、錬金術とクロックワーク、狂信者と自由の闘士のゲームです。多数の政治的・宗教的派閥が覇権を争い、魔法が郊外を汚染し、伝説とされていた生き物たちが目覚め、科学者たちが四大元素に干渉し、発明家たちが狂気の機械を作り出しています。妄執に捕らわれた者たちが権力を争い、戦争、飢饉、魔女狩りが国中で横行しています。

騎兵 1645年6月、ネイズビーの戦いにおいて国王チャールズ1世は崩御し、オリヴァー・クロムウェル率いる議会派のクロックワーク兵器とプリンス・ルパート率いる王党派の錬金術が戦争に本格投入され、未曾有の大殺戮が発生します。甚大な被害を被った両軍は痛み分けで兵を引き、現在は不穏な停戦状態が続いています。次に同様の衝突が起きる時、片方の軍、あるいは両軍が取り返しのつかない打撃を受け、イングランドはもう元には戻れないでしょう。いや、既に元に戻ることはできないところに来ているのかもしれません。

 上記の世界設定にH・P・ラヴクラフトのクトゥルー神話を持ち込むためのルールセットが『クロックワーク&クトゥルー』です。正気度ルール、クトゥルー神話の魔法、クトゥルー神話のクリーチャーなどが導入されます。王党派と議会派の戦いの裏で、冒険者たちはクトゥルー神話の恐怖に立ち向かわなければなりません。それは派閥の垣根を超えた、人類のための戦いとなるかもしれません。

マスケット

 『クロックワーク&シヴァルリ』はもともとマングース版ルーンクエストのキャンペーン・セッティングの一つとしてデザインされたものです(第1版)。第2版に版上げするにあたり、近世ヨーロッパを舞台とする汎用システム『ルネサンス』を開発・導入し、単体で運用できるようになりました。

フラスコ 『ルネサンス』システムはベーシック・ロールプレイング(いわゆるD100システム)とよく似たもので、1D100をロールして、その結果を技能値と比べるというものです。他と差別化される特徴としては、錬金術に関するシステム、呪術(ウィッチクラフト)に関するシステム、派閥に関するシステムがあります。『クロックワーク&シヴァルリ』では世界観に根差すクロックワークのシステムが導入され、さらに『クロックワーク&クトゥルー』でクトゥルー神話に関するシステムが導入されます。

 特に目を引くのは派閥に関するルールです。階級や思想で社会が断絶し、大した娯楽もない世界において、派閥こそ人のアイデンティティ、生きる道しるべとなっています。貴族は貧民を個々の人間としてみておらず、下層階級の人々は常に富裕層の足を引っ張ろうと狙っています。しかし、大義のためには、同派閥の人間たちは階級を超えて協力し合える可能性があります。

 自然法則を逸脱したクロックワーク技術に対して、王党派の人々は糾弾の声を上げます。議会派の人々は錬金術は明らかに呪術であるとして、錬金術師たちを魔女として告発します。しかしクトゥルー神話の神々という共通の敵に対しては、彼らは派閥を超えて手を組み、立ち向かわなければならないのです。

サーベル

 兄弟であっても派閥が違えば戦場で撃ち合い、派閥が違っても邪神の陰謀には手を組んで戦う。それが『クロックワーク&クトゥルー』の世界なのです。



リプレイ
冒険者たち
#1
ファーネスに囁くものたち
#2
シャードリー・ホールの謎
#3
オリンピア
#4
オックスフォードをみまった災厄
#5
クレズネ計画