有味: |
直近持ち込み作品(目録243)と同じ作者氏の一冊。 |
ヴァレリィ: |
……もう、なんか、これはこれでサブジャンルとして確立を開始しているのかな? |
有味: |
上手く言えないけど、“小説”を作り出しているのではなく、人を選んで識閾下に訴えかける新たな“何か”の創造を試行しているのかもしれない。詩とかに近いのかね? 詩情を解さないオレが言うのも何だが。 |
ヴァレリィ: |
この、他人の理解や共感を求めないクトゥルフ宇宙の展開は、巨匠・菊池センセのクトゥルフ宇宙にも通じる部分があるよね。 |
有味: |
巻末の参考文献の記述が正確なのだとしたら、H・P・ラヴクラフトの英版原文でクトゥルフ宇宙が完結してしまっていて、事典系に記述されたラヴクラフト以外の作者のクトゥルフ神話をマージできていないのかも。クトゥルフ神話が咀嚼しきれていないのに、エポック・メーキングを始めようとしてしまっているっつーか。 |
ヴァレリィ: |
本書では“夢”をテーマにしているらしいけど、そもそもクトゥルフ神話としての現実が見当たらないので、全編に渡って“現実ジャナイ”風味になっちゃっているね。 |
有味: |
まぁ、でも、この風味で行く感じだね、今後も。良くある感想になっちゃうけど、クトゥルフ神話としての何かを求めている読者諸氏には注意を要する一冊かも。価格も手頃だし、1時間程度で読み終えられるので、毛色の変わった作品を求めているなら一見してみても良いかもしれない。 |