有味: |
インスマスのあの船長とか、あの死体蘇生者とか、あの『キタブ・アル=アジフ』の著者とかの血を引きまくったミスカトニック大学准教授のアイリーン・ウェスト女史の活躍を描いたんだか描かなかったんだか良く分からない一冊。 |
ヴァレリィ: |
アンタの説明の方が良く分からんよ。 |
有味: |
途中、あまりの展開についていけなくて、「2、3ページ読み飛ばしたか!?」と本気で思った。文体も一人称と三人称がはっきりしていない感じ。途中まで三人称で書いていたものを、一人称に直したんじゃないだろうか? |
ヴァレリィ: |
多分シリーズ化を想定しているんだと思われます。だからアイリーン女史の紹介に費やされた一冊なんでしょ、これは。 |
有味: |
それにしてはアイリーン女史のキャラクター、定まらなさすぎだろ。おそらく「設定」はできているんだろうが、「キャラクター(=人格)」ができていないんだな。『シャドウプリム』を思い出すね。ナイアーラトテップの人格も残念ながらかなり類型的。キャラクターに遊びの要素が少ないのかな。 |
ヴァレリィ: |
ラノベって呼ぶには微妙なラインだから、オモシロなキャラクターばかりで固める必要はないんじゃない? |
有味: |
そのあたりは「あとがき」を読んでほぼ納得。共著になっているけど、二人の著者間でコンセンサスが図れていない部分が多いんだ、きっと。……もしかしたらラヴクラフトがやっていた小説添削業さえもパロディに取り入れているのか!? |
ヴァレリィ: |
それはねーよ(コナン風に)。なんだか成立過程のヴェールの向こう側に見てはいけないものの存在を想像できる一冊です。ダオロス的な意味で。 |