書架:2



目録11:クトゥルー神話辞典 クトゥルー神話辞典
刊行年:1995年 出版社:学習研究社 定価:1,600円 著者:東 雅夫
収録作品:−

スミス: オーナーの愛読書ですわ。
有味: うむ。シナリオを作る時に必ず一回は手に取る一冊だな。用語集はもとより、巻末の作品リストは非常に役に立つぞ。
スミス: その作品リストから逆引きしてこのコーナーの感想を書いている……なんて事はございませんわよね?
有味: ……ゆんゆんっ!
スミス: またデムパ受信で誤魔化しですわっ!
有味: ゲーム資料としては『The Encyclopedia Cthulhiana(未訳)』に一歩譲るが、日本語で読めるという事はそれだけで十分なアドバンテージになる。キーパー必携の一冊。
スミス: M文庫で改訂版が出たので入手もし易いんですの。



目録12:真ク・リトル・リトル神話体系1〜10巻 真ク・リトル・リトル神話体系
刊行年:
1982年〜1984年
出版社:国書刊行会 定価:
1,800円〜3,000円
著者:H・P・ラヴクラフト、他
編者:黒魔団
収録作品:「ユゴス星より」、「幻夢境カダスを求めて」、「角笛を持つ影」、他

スミス: 大物登場ですわっ。
有味: うむ。オレ的家宝認定品の一つだ。
スミス: 他にはどんな家宝がございますの?
有味: ……。マシンロボのDVD−BOXとか、妖怪根付のフルコンプとか……。
スミス: オタクキモイ、シネ。
有味: ……んだとぉぉぉっ!? ヤッてやる! ヤッてやるぁぁぁっ!


(しばらくお待ちください)


スミス: クスンクスン。キズモノにされましたわ。
有味: オトゥームの登場する「盗まれた眼」やアトゥの「蠢く密林」等、本シリーズでしか読めない作品があるので資料的価値も高い。入手困難ではあるが一読の価値ありだぞ。
スミス: Σ( ̄□ ̄;) 何事もなかったかのように……。
有味: オレ的イチオシは「深海の罠」かな。『黒の召喚者』にも収録されているのだが、本書で初めてこの作品を読んで結末の奇怪さの虜になったものだ。神話色は薄いがな。
スミス: ……刺す。いつか刺しますわ。



目録13:邪神ハンター 全2巻 邪神ハンター
刊行年:1998年 出版社:青心社 定価:740円 著者:出海 まこと
収録作品:−

スミス: 一転してライトノベルですわ。
有味: 正統派の余韻が残っているうちに消化しておかないとな。まぁ、何つーか「神話+格闘技+エロ」みたいな作品なのだが……。
スミス: なのだが……どうですの?
有味: 神話も格闘技もエロもみんなダメ。評価は『ネクロノーム』よりかなり下。
スミス: あらら、ですの。
有味: 士郎正宗の挿絵が泣いている。話のネタにすらならないな。駄作。次いってみよう。



目録14:YIG、美凶神YIG YIG
刊行年:1996年 出版社:光文社
定価: @762円
A781円
著者:菊地 秀行
収録作品:−

有味: 「神話+格闘技+エロ」なら、本作くらいの筆力で書き上げてほしいものだ。面白い。
スミス: あ、あのぅ……え、エロの部分は薄いと思いますわ。
有味: まぁな。「出づるもの」とか、ちゃんと神話チックな作品を書ける人は、こういう飛び道具的な作品でも迫力あるね。ちなみに数年前に文庫版が出たはずだけど、そちらは余裕でスルーした。
スミス: ただ、残念ながら完結しないまま放置されてますのね。
有味: うむ。ぜひ続編を書いてほしいシリーズだ。文庫展開も可。
スミス: 望み薄ですわね。(´・ω・`)ショボーン
有味: 望み薄だな。(´・ω・`)ショボーン

目録14-1:美凶神YIG 上・下 美凶神YIG
刊行年:2018年 出版社:創土社 定価:各1,500円 著者:菊地 秀行
収録作品:−

スミス: まさかの22年越しの完結ですわね。
有味: 創土社は素晴らしい仕事をした。菊地クトゥルーの面白く勢いがある頃の作品が、その勢いを減じることなく完結した。永年中途半端に刺さっていた毒蛇の牙が、ようやくしっかり刺さって猛毒が回り巡ってくれたという感じで清々しい。
スミス: 比喩が全然清々しくありませんわ。22年前にこの目の付け所は、やはり只者ではありませんわね。
有味: 22年前にこのイグ(YIG)のキャラクター造形はさすがだわ。ついさっき、たった今完結したばかりの作品だが、その先取感は天才ならでは。この作品が完結してくれたことにヴァルーシアの神官代表として感謝したい。
スミス: 代表云々に関しては初耳ですわ。



目録15:妖神降臨 真ク・リトル・リトル神話コミック 妖神降臨
刊行年:1995年 出版社:アスキー 定価:980円 著者:板橋 しゅうほう、藤川 守、他
監修:田中 文雄
収録作品:「地の底深く」、「妖蛆の秘密」、「ハイドラ」、他

スミス: 短編コミック集ですわ。
有味: 神話作品を原作としてコミック化だな。ただ、なんつーか、このラインナップはないんじゃないの? って感じだが。
スミス: 「海底の神殿」「暗黒の接吻」「メデューサの呪い」あたりは神話作品としてはギリギリの線ですわね。
有味: 「暗黒の接吻」のモレラ・ゴドルフォが優男になって耽美だわ、「海底の神殿」が船幽霊話だわで脱力しまくった。
スミス: 一応オーナー的イチオシを聞いておきますわ。
有味: 原作よりラストを明快にした「地の底深く」。コミックにするならこういうアレンジを加えたほうが最後の一コマで読者を納得させられるからな。全然余韻は無いが。
スミス: 概ね期待はずれ、という感想でよろしいですの?
有味: まぁな。この一冊でクトゥルフ神話に興味を持った人がいるならお目にかかりたい。



目録16:魔道書ネクロノミコン 魔道書ネクロノミコン
刊行年:1994年 出版社:学習研究社 定価:1,200円 著者:コリン・ウィルソン、他
編者:ジョージ・ヘイ
収録作品:−

スミス: あら? 貸し出し中ですわ。
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目録17:帰還者 -レブナン- 帰還者-レブナン-
刊行年:1999年 出版社:講談社 定価:470円 著者:中嶋 理香
収録作品:−

スミス: ティーンズ系での神話作品は珍しいですわね。
有味: 珍しすぎてチェック漏れしてたよ。電撃系ならいざ知らず、ティーンズ系まで目を光らせるのはさすがに無理。
スミス: 古本屋で見つけてようやくゲットのオーナー、ですの。
有味: 内容的には山間(?)の田舎町で、なぜかクトゥルフの復活を目論んでいる魔導師という、何ら目新しい要素のない話だな。
スミス: “深きものども”を水妖と呼ぶ割には、なぜか舞台は海辺ではありませんのね。
有味: う〜ん、その辺のアイテム・チョイスに失敗している感じだ。タイトルを「帰還者」とつけた割には、その扱いもあっさりしすぎているような気がするしな。
スミス: ティーンズでジャンクではない神話作品を丸まる一冊書いたということを評価、ということでよろしいですの?
有味: まぁな。この作品を読んで神話に興味をもった少女がいるのなら、是非結婚を前提としたお付き合いを願いたい。まずは交換日記から。



目録18:秘神 〜闇の祝祭者たち〜 秘神〜闇の祝祭者たち〜
刊行年:1999年 出版社:アスキー 定価:1,150円 著者:井上 雅彦、他
編者:朝松 健
収録作品:「襲名」、「碧の血」、「ウツボ」、他

スミス: 本邦初の書き下ろし神話オンリーのアンソロジーですわ。
有味: つーか、編纂した朝松健が強引に「神話作品ですよ?」と言い張っているだけに見えるのだが。
スミス: ……あいかわらず朝松センセには厳しい意見ですわ。
有味: 精力的に活動してくれているから目に付くんだろうな。氏自身も「秘神はボロクソ言われた」みたいなことをどこかで書いていたと思ったが。
スミス: ぱらぱら……(本をめくって)。どれもそれほど酷くない作品が揃っているようですけど……。
有味: んー、作品の出来云々じゃないんだろうな。クトゥルフ神話で括ってしまった事が失敗なんだろう。もしくは参加した作家諸氏に「クトゥルフ色を色濃く書いてくれ」と強く言い含めておけば良かったのかもな。
スミス: ムツカシイものですのね。
有味: 神話作家(研究家)として著名なだけに、高い質のものを求められるのだろう。
スミス: 一応イチオシを聞いておきます。
有味: 「はざかい」。しかしこれを神話作品と分類するのは如何なものか?



目録19:ラヴクラフト恐怖の宇宙史 ラヴクラフト恐怖の宇宙史
刊行年:1993年 出版社:角川書店 定価:880円 著者:H・P・ラヴクラフト、C・ウィルソン
編者:荒俣 宏
収録作品:「ニヤルラトホテップ」、「魔女の家でみた夢」、「ロイガーの復活」、他

有味: 角川ホラー文庫初期の傑作編。
スミス: ラヴクラフト御大を主役に据えた割には「クトゥルフの呼び声」が収録されていませんわ。
有味: ラヴクラフトという作家は神話小説だけじゃないからな。でも、角川書店が出しただけあって収録作品のラインナップは悪くはない。
スミス: コリン・ウィルソンの「ロイガーの復活」も収録されていますのね。
有味: その点でもお徳な一冊だ。この際「ロイガーの復活」の出来については不問に付す。
スミス: でも収録作品は著名なものばかりですわ。この本以外でも読めるのでは?
有味: ラヴクラフト自体手垢に塗れてるから、本邦初訳作品っていうのは難しいだろう。訳者によって翻訳がどのように違うかを見てほしい。とか重箱の隅をつつくような事を言ってみる。
スミス: オーナーのイチオシはどれですの?
有味: 「アウトサイダー」あたりを上げておこうか。あまり神話とは関係ないけどね。



目録20:深淵を歩くもの 深淵を歩くもの
刊行年:2001年 出版社:徳間書店 定価:676円 著者:小中 千昭
収録作品:「部屋で飼っている女」、「ダゴン」、「深淵を歩くもの」、他

有味: 著者はウルトラマンやデジモンにクトゥルフを持ち込んだことで知られる脚本家だ。
スミス: 本書自体はホラー・アンソロジーに寄稿された作品をまとめた物らしいですわ。
有味: オレは廣済堂文庫の『異形コレクション』シリーズはほとんど読んでないから初見の作品ばかりだったけどね。
スミス: では早速内容の感想を。
有味: 短編集というオレ好みの構成に加えて、作品自体も面白いものが多い。類型的な話もある気がするが、楽しめた一冊だと言えるかな。
スミス: オーナーのオススメは?
有味: 神話作品「蔭洲升を覆う影」。佐野史郎主演ドラマのノベライズ化。原作の「インスマスを覆う影」よりは娯楽作品として優れている。本作は『クトゥルー怪異録』にも収録されてるので、興味のある方は要チェック。
スミス: 雰囲気の良い作品を書く方ですわね。
有味: そこが脚本家たる所以なんだろうな。神話作品の新作希望。



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