#1 神崎 浩輝
(アクション)
1AP 香住家へ挨拶に(呼び出しに応じる)
2AP 祁堂家へ挨拶に
夕暮れ時ですし、村の中を見て回るのは翌日以降にして、とりあえず挨拶しておくべき人たちへの挨拶回りに行きます。社会人として常識的に。
厨子村へ流れているという大金の行方も気になるので、世間話の中で厨子村の景気の具合にも軽く探りを入れてみたりします。
結局、沙奈枝さんとはどのくらいの知り合いになるんでしょうか?
向こうがこっちを知って(覚えて)いて、且つ会えるようなら2APで沙奈枝さんと昔話に変更しますが(花婿は後回し)。
挨拶終えたら、宿泊先に戻って夕食とお風呂いただいて、休むというとこでしょうか。長旅の後ですしね。
(リアクション)
【香住家の呼び出し】
香住の邸宅を探し出すのは造作もないことだった。厨子村を歩いて大きな建物を見かけたら、それは御三家の本宅か厨子神社のどちらかなのだから。
玄関で来訪を告げたあなたを迎えたのは上品な婦人であった。紫陽花色の着物と若草色の帯、藍の帯締め、結い上げた髪。花嫁の実母とはいえ、その艶やかさと瑞々しさは香り立つ蘭のように鮮烈だった。香住須美子、現・香住家当主自らの出迎えであった。
「久しぶりね、浩輝さん」
須美子は上品に笑ってあなたの名を呼んだ。あなたはほとんど覚えていないが、どうやら幼い頃に面識があったらしい。大きくなって、とか、小さい頃は、等、既に成人したあなたに対して使うには不似合いな言葉で懐かしそうに話し掛けてくるのは、彼女の中のあなたが幼い頃のままで止まっているためなのだろう。
ひとしきり昔日の思い出話をした後、須美子はあなたの現在の暮らしについて話を振った。不自由ない暮らしをしている旨を告げると、彼女は満足そうにコロコロと笑った。まるで香住の家の功績だと言わんばかりの、主が従に対するような、余裕と言うよりは傲慢さが滲む、そんなやり取りだった。
「さて」
須美子が居住まいを正す。どうやら、ここからがあなたを本宅へと呼びつけた本題らしい。
「浩輝さん。言うまでもないことだとは思うけど、厨子夜婚の儀は香住家にとって、ひいては厨子村にとってとても大切な祭儀です」
ここで言葉を切って、須美子は耳元のほつれ髪を直す。少しの間の後、須美子は言葉を継いだ。
「この儀後、香住は厨子村村長の役を担います。これは重要な事なの。まだ誰がその役に着くかは決めていませんが、もしかしたら、あなたがそうなるかもしれないわね」
年齢を感じさせない、艶然とした笑み。女の身で御三家当主の一角を占めているのは伊達ではない。そう感じさせる、狡猾そうで惹き込まれる笑みだった。
「香住のために、厨子夜婚の儀の成功に尽くして頂戴。これは香住の義務であるとともに、香住家当主である私からの命令と採っていただいても結構よ」
その後は二言三言の世間話で時間が過ぎていった。本題を切り出した時の、見る者を惹き込む艶っぽさが嘘だったかのように、須美子は花嫁の母親という貴婦人に戻った。
やがて香住の本宅を辞すことにしたあなたを、須美子は門の外まで見送ってくれた。そして別れ際、須美子の目に再び熱がこもる。
「期待していますよ」
香住の当主は、最後にそう念を押した。
※注意:現時点であなたは沙奈枝本人に面会していません。沙奈枝に会うためには「花嫁に挨拶する」のアクションが必要です。
【花婿に挨拶に行く】
祁堂の邸宅はすぐに分かった。
玄関で来訪を告げると、使用人と思しき中年女性が出てくる。用向きを伝えるとすぐに邸の中に入れてくれた。
応接間に通されるとそこには一人の青年がソファに腰掛けていた。
水色の開襟シャツに薄茶のズボン。切り整えられた頭髪は、彼が都会で暮らしていたことを物語るほどに洗練されており、清潔さを感じさせる。やや疲れた様子が見受けられたが、それを笑顔に置き換えてあなたを丁寧に出迎えた。“爽やかな好青年”という言葉を人間化したら、きっと彼のような人物になるのだろう。
「遠い所お越しくださり、ありがとうございます。初めまして」
祁堂礼一です、と彼は名乗った。
厨子夜婚の儀の花婿のもとには、毎日客が来るのだろう。隣室には祝いの品がうず高く積まれている。視線の先に気づいて、礼一は苦笑いする。
「ありがたい事ですが・・・。同じ方が何度もお見えになることもありまして、あのように」
そんな客にも、この青年は丁寧に応対しているのだろう。23歳とは思えない落ち着き振り。ただ、やはり村を挙げての祭儀の主役ともなれば、心労がかからないはずがない。先ほど見受けられた「やや疲れた様子」はそれが原因ではないのか。
その後は軽い雑談などをして短い時間をすごし、あなたは花婿の家を辞す事にした。門の前まで出てきて、これからよろしくお願いします、と頭を下げてあなたを見送った礼一。
礼儀正しい好青年だ。あなたは礼一に好印象を持って、祁堂の邸宅を後にした。
香住といい祁堂といい、こんな小さな田舎の寒村にしては豪奢すぎるくらいの大邸宅だ。質素と言うにはあまりにも程遠い。派手に飾り立てているわけではないのだが、それが逆に金のかかるやり方というものだ。
漠然とした違和感を感じながらも、あなたは逗留先の親戚宅へ戻る。そもそも、この家だって、十分に邸宅と呼べる代物ではないのか?
ここは本当に「寒村」なのか?