#1 香住 薫
(アクション)
1AP目の行動:花嫁に挨拶に行く。
「久しぶりだね、沙奈枝ちゃん。ボクのこと覚えてる?」
久しぶりに見る沙奈枝は本当に綺麗になっていて、薫は思わず見とれた。
と、同時に自分が沙奈枝に対して抱く感情を再認識する。
(もしかして沙奈枝は相手を好きでもなく、儀式だから結婚するのかも・・)
そんなことを考えてしまい、薫は自己嫌悪に陥った・・・。
☆行動としては、花嫁に会って昔話をすることと、可能ならば花嫁の気持ちを聞きだそうとします(w
ところで、沙奈枝って何歳ですか?^^;
2AP目の行動:香住家の本家の呼び出しの応じる
「薫です。ただいま戻りました」
そう告げ、薫は室内に入った。
長い間、厨子村を離れていた自分にいったい何の用があるのか? そういった疑問が頭を駆け巡るが、分家の身としては本家の呼び出しに応じないわけにもいかない。
いくばくかの不安を感じつつ、薫は相手の言葉を待った・・・。
☆行動は単に呼び出しに応じて話を聞くだけです。
(リアクション)
【花嫁に挨拶】
広大な敷地に贅沢な平屋建て。香住の邸宅はすぐに分かった。
玄関を入ったあなたを迎えたのは上品な婦人であった。紫陽花色の着物と若草色の帯、藍の帯締め。この隙のない貴婦人が現・香住家当主、花嫁・沙奈枝の実母、須美子その人である。
須美子自らの案内で通されたのは、応接間というにはちょっと広大な、庭に面した一室だった。
「準備ができましたので、ご案内いたしますわ」
須美子はあなたを先導して、渡り廊下を渡り、離れへと誘う。そして離れに着くと障子に手をかけ、それをスッと開いた。
須美子は軽く頭を下げ、目線で入室を促す。
蓬色の着物。薄桃色の帯。真紅の帯締め。
行儀よく膝の上で手を重ねて正座した女性が、そこにいた。
鴉羽色の髪は背中の中程まで伸ばされ、前髪は瞼の上で綺麗に切り揃えられている。閉じられた両目に長い睫毛。抜けるように白い肌と朱を引いたように艶やかな口唇。その唇には薄っすらと笑みが浮かんでいるようにも見える。
香住沙奈枝。花嫁にして今回の儀の嫁神様。
20歳の花嫁は浮世離れした美しさの持ち主ではあったが、入室したあなたに挨拶をするどころか、気づいた様子さえもなかった。
「久しぶりだね、沙奈枝ちゃん。綺麗になったね」
10年ぶりの再会の言葉にも沙奈枝の反応は無い。静かに、そして深く呼吸をするだけ・・・。
香住沙奈枝は光と心を持たずに生まれてきた娘であった。盲目にして白痴の花嫁。ただ美しく生きてきただけの、咲くことのない花。
やはり沙奈枝は変わっていなかった。悲しいほどに、変わっていなかった。
そしてあなたは気づく。正座する沙奈枝の左足首にはめられた木製の足枷と、それに続く細い縄と、縄の先が巻きついた床の間の柱、に。
「早苗がフラフラと何処かへ行ってしまわないように。少し可哀想だけど、これも沙奈枝の身を案じればこそよ」
微笑みながら、こともなげに言う須美子。それはこの状況が昨日今日始まったものでないことの裏づけでもあった。
須美子によって障子は閉められ、再び誘われて重い空気を引きずりながら応接間まで戻った。そんなあなたを待っていた人物がいる。
「悪いことは言わないから、薫もさっさとこんな村からは出てった方が良いよ」
床の間脇の柱に寄りかかって腕組みをしたもう一人の従妹は、吐き棄てるようにそう言った。
ポニーテールにまとめられた髪の毛は金色に染め上げられており、この寒村には不釣合いで、突出して異質だ。胸に青色のアルファベットのロゴが大きくプリントされた白のTシャツと、色褪せしたスリムジーンズ。厨子村に入り込んだ雑音(ノイズ)。
容貌は沙奈枝と瓜二つだが、纏う雰囲気が決定的に違う。沙奈枝を「静寂」と言い表すならば、目の前の女性に似合う言葉は「苛烈」。
香住夕貴(かすみ・ゆうき)。沙奈枝の双子の妹。
「夕貴! お前またそんな事!!」
須美子の厳しい声が飛ぶ。しかしそれに臆した様子もなく母親に一瞥をくれると、夕貴は邸の奥の、沙奈枝のいる離れへ続く廊下へと歩み去った。
「こんなろくでもない結婚式が、あるもんか」という呟きを残して。
(※ロールに一回成功しています)
【香住家の呼び出し】
歩み去った夕貴を憎々しげに睨んでいた須美子は、思い出したようにあなたに顔を向け、取り繕うように笑顔を見せた。使用人の女性に飲み物の用意をするように言いつけてから、あなたに座るように促す。
「久しぶりね、薫さん」
須美子は上品に笑ってあなたの名を呼んだ。あなたはほとんど覚えていないが、どうやら幼い頃に面識があったらしい。大きくなって、とか、小さい頃は、等、既に成人したあなたに対して使うには不似合いな言葉で懐かしそうに話し掛けてくるのは、彼女の中のあなたが幼い頃のままで止まっているためなのだろう。
ひとしきり昔日の思い出話をした後、須美子はあなたの現在の暮らしについて話を振った。不自由ない暮らしをしている旨を告げると、彼女は満足そうにコロコロと笑った。まるで香住の家の功績だと言わんばかりの、主が従に対するような、余裕と言うよりは傲慢さが滲む、そんなやり取りだった。
「さて」
須美子が居住まいを正す。どうやら、ここからがあなたを本宅へと呼びつけた本題らしい。
「薫さん。言うまでもないことだとは思うけど、厨子夜婚の儀は香住家にとって、ひいては厨子村にとってとても大切な祭儀です」
ここで言葉を切って、須美子は耳元のほつれ髪を直す。少しの間の後、須美子は言葉を継いだ。
「この儀後、香住は厨子村村長の役を担います。これは重要な事なの。まだ誰がその役に着くかは決めていませんが、もしかしたら、あなたがそうなるかもしれないわね」
年齢を感じさせない、艶然とした笑み。女の身で御三家当主の一角を占めているのは伊達ではない。そう感じさせる、惹き込まれそうな、狡猾な笑みだった。
「香住のために、厨子夜婚の儀の成功に尽くして頂戴。これは香住の義務であるとともに、香住家当主である私からの命令と採っていただいても結構よ」
その後は二言三言の世間話で時間が過ぎていった。本題を切り出した時の、見る者を惹き込む艶っぽさが嘘だったかのように、須美子は花嫁の母親という貴婦人に戻った。
やがて香住の本宅を辞すことにしたあなたを、須美子は門の外まで見送ってくれた。そして別れ際、須美子の目に再び熱がこもる。
「期待していますよ」
香住の当主は、最後にそう念を押した。