#2b 香住 薫




(アクション・1)

3AP目:【村はずれの墓地を調べる】で確定ですね。

4AP目:【花婿に挨拶(祁堂家)】
 なんだかんだで、花婿に会ってないので。
 やっぱり、ライバル(?)は見ておかないとw。

「そういえば沙奈枝ちゃんと結婚する人ってどんな人なんだろう」
 村に帰ってからというもの驚きと疑問の連続であり、本来真っ先に確かめたかったことが後回しになってしまっていた。

「誠実そうな人らしいけど・・・」
 そうつぶやきながら、そうでないことを期待する自分に薫は気づいていた。そして、自分のそんな心の動きに嫌気が差してもいた。



(リアクション・1)

【村はずれの墓地を調べる】
 木陰の道とはいえ、この時期に長い距離を歩くのはさすがに楽ではない。それが山道であれば尚更というものだ。厨子村の気候のおかげで、蒸し暑さが無いのがせめてもの救いだった。額の汗を拭って視線を前に向けると、木々の間から、この先に少し開けた場所があるのが見えた。村人が教えてくれた通り、木漏れ日に照らされた共同墓地がそこにあった。

 墓地には先客が居た。あなたに気付くと軽く頭を下げる。あなたは返礼しながら思い出していた。昨日のバスで一緒だった人物だ。名前は神崎浩輝だったと思う。

 先祖代々の墓が整然と並んでいる。端から順に見ていくと、やがて見つけた。あなたの祖先が下に眠る、その墓石を。墓地の脇には湧き水が溜まるように据えられた手水鉢があり、桶と柄杓も用意されていた。
 桶から柄杓で水をすくい、墓石の頭からかける。思えば、この墓に参るのも随分と久しぶりだ。墓が荒れていないのは、誰かが定期的に管理をしているからなのだろう。誰とも知れない管理人に感謝する。

 自分の祖先が眠る墓に参った後、あなたは何気なく墓地を歩いてみて回る。各々の墓の横に、その下に眠る祖先たちの名前とその命日が彫り込まれた墓誌(石の碑)が置かれている。中には墓誌が3枚にも4枚にもなっている一族もあり、厨子村の歴史を感じさせた。

「・・・え?」
 奇妙な符合に気付いた時、あなたの口から無意識にその声が漏れた。胸騒ぎに駆られるまま次々と墓誌の命日を確認していく。これも、これも、これにも・・・。
 異常なほどの命日の一致。少ない時で16名、多い時で53名、死亡年月日の一致した年がある。しかもそれは25年周期で起こっている。簡単な連想だ。直近の命日の一致は・・・丁度25年前。
 つまり、厨子夜婚の儀の行われた年―――いや、きっと厨子夜婚の儀の当日に死んだ村人が大勢いる。最大人数の53名の命を奪ったのは2回前、つまり50年前の厨子夜婚の儀だ。
 あなたは震えた。この奇妙な符号の発見と、そして間近に迫った死の恐怖に。戦慄すべき真実が、その口を開け始めた。夕貴の言っていた事は、この事なのか?

 墓参りを済ませたあなたは帰途に就こうとした。
 柄杓と桶を返そうと手水鉢に近付いた時に、先刻は気付かなかった、墓より更に山奥へと続く細い脇道を発見する。この奥に、まだ何かあるのだろうか?
(※ロールに2回成功しています)

【出題】
 脇道を更に奥へ進むなら、1APを費やすことが必要です。4AP目の行動が【脇道を進む】となります。もちろん、脇道を行かずに村へ帰って予定した行動を取ることもできます。どちらか選択してアクション申請してください。
 なお、神崎浩輝も脇道に気付いた様子です。



(アクション・2)

4AP目:【花婿に挨拶(祁堂家)】

 予定どおり、花婿に会いに行きます。
 もうすぐ夕方ですしw。



(リアクション・2)

【花婿に挨拶】
 祁堂の邸宅はすぐに分かった。
 玄関で来訪を告げると、使用人と思しき中年女性が出てくる。用向きを伝えるとすぐに邸の中に入れてくれた。
 応接間に通されるとそこには一人の青年がソファに腰掛けていた。
 水色の開襟シャツに薄茶のズボン。切り整えられた頭髪は、彼が都会で暮らしていたことを物語るほどに洗練されており、清潔さを感じさせる。やや疲れた様子が見受けられたが、それを笑顔に置き換えてあなたを丁寧に出迎えた。“爽やかな好青年”という言葉を人間化したら、きっと彼のような人物になるのだろう。
「遠い所お越しくださり、ありがとうございます。初めまして」
 祁堂礼一です、と彼は名乗った。

 厨子夜婚の儀の花婿のもとには、毎日客が来るのだろう。隣室には祝いの品がうず高く積まれている。視線の先に気づいて、礼一は苦笑いする。
「ありがたい事ですが・・・。同じ方が何度もお見えになることもありまして、あのように」
 そんな客にも、この青年は丁寧に応対しているのだろう。23歳とは思えない落ち着き振り。ただ、やはり村を挙げての祭儀の主役ともなれば、心労がかからないはずがない。先ほど見受けられた「やや疲れた様子」はそれが原因ではないのか。

 単刀直入に聞いた。沙奈枝の事をどう考えているのかと。苗字から、あなたが香住家縁の者である事を礼一は悟ったのであろう。血族の心配をすることは当然だ、と前置きして、礼一は隠すことなく彼の境遇を語った。

 礼一の家族もあなた同様、厨子村を出て都会で暮らしていたのだという。彼の両親が不慮の事故で死んだのが5年前。その時、手を差し伸べてくれたのが祁堂の家だったという。それまでほとんど親交のなかった祁堂の本家が、礼一の生活費や学費の面倒を見て、大学を卒業させてくれるという。ただ一つの条件と引き換えに。
“大学を卒業したら、厨子村に戻って、祁堂が定めた許婚と結婚すること”
 それが条件だった。既に頼れる身寄りは祁堂の家しかない礼一はその条件を飲み、約束どおり不自由なく大学生活を終えた。
 大学卒業後、しばらく商社勤めをしていた礼一に、祁堂の家からお呼びがかかる。帰郷せよ、と。
 短い社会人生活を終えて、厨子村に舞い戻ったのは今から3ヶ月ほど前だ。
 帰郷した礼一を待っていたのは、厨子夜婚の儀の花婿という立場と、ほとんど面識のない許婚、沙奈枝。5年前に覚悟を決めた礼一にとって、それは驚きこそすれ、絶望するほどの衝撃ではなかった。

「ですから、沙奈枝に対する感情は、きっと愛情と言うよりも同情や憐憫に近いのかもしれません。ほとんど見ず知らずの男と結婚し、もしかしたら子供をもうけて、生きていく。いくら心がないとは言え、それでは沙奈枝が可哀想ではないかと、そう思います」
 礼一はそう言葉を締めくくった。