#2b 津島 幸乃




(アクション・1)


 まず、怯えて電話をかけてきた圭と合流します。震える圭を励ましつつ、午後は一緒に行動します。

1.花婿に挨拶(祁堂家)
 一応の挨拶を終えてから、次のように尋ね、相手の反応をうかがいます。
「そういえば、先代の嫁神様は、もうお亡くなりになってるんでしたよね。それって、何時くらいのことだったんでしょう?  結婚相手の方もその後どうされたんでしょうね。今も村に居られるんでしょうか?」
「私たちも、芦鷹家の者なので、儀式の前にお墓参りくらいしておいた方が良かったのかもしれませんね。ああ、でも、先代の嫁神様のお名前も知らないや。町での暮らしが長かったせいか、儀式のこと特に知らないんですよ。」
「村で聞いた話では、子供には見せないことになってるらしいんですが、何故だかご存じですか?」

 3家の付き合いってどうなんだろ? こっちが芦鷹の人間だって知ってるのかな? そんなに繋がりがないなら墓参りの話は変だね。


2.神社に行く
 出来れば、芦鷹巧美に会って話を聞きたい。
 こっちが芦鷹家の人間だって知ってるんだろうか? つーか、顔見知りなんだろうか? 知らないようなら、自分も芦鷹の人間であることを伝えて、何か手伝えることはないか聞くとともに、何故子供に見せないことになっているのかを含めて儀式について、この村のおかしな点(山震、携帯が繋がる、TVのチャンネルの多さ)について尋ねてみる。
 もし、巧美に会えなくても、誰か居れば同じように聞いて回る。



(リアクション・1)

【花婿に挨拶】
 祁堂の邸宅はすぐに分かった。
 玄関で来訪を告げると、使用人と思しき中年女性が出てくる。用向きを伝えるとすぐにあなたと圭を邸の中に入れてくれた。
 応接間に通されるとそこには一人の青年がソファに腰掛けていた。
 水色の開襟シャツに薄茶のズボン。切り整えられた頭髪は、彼が都会で暮らしていたことを物語るほどに洗練されており、清潔さを感じさせる。やや疲れた様子が見受けられたが、それを笑顔に置き換えてあなたたちを丁寧に出迎えた。“爽やかな好青年”という言葉を人間化したら、きっと彼のような人物になるのだろう。
「遠い所お越しくださり、ありがとうございます。初めまして」
 祁堂礼一です、と彼は名乗った。

 厨子夜婚の儀の花婿のもとには、毎日客が来るのだろう。隣室には祝いの品がうず高く積まれている。視線の先に気づいて、礼一は苦笑いする。
「ありがたい事ですが・・・。同じ方が何度もお見えになることもありまして、あのように」
 そんな客にも、この青年は丁寧に応対しているのだろう。23歳とは思えない落ち着き振り。ただ、やはり村を挙げての祭儀の主役ともなれば、心労がかからないはずがない。先ほど見受けられた「やや疲れた様子」はそれが原因ではないのか。

 初対面の人間に対しては明らかに無遠慮と思えるあなたの質問にも、礼一は厭な顔一つせずに丁寧に受け応える。
 まず前回の厨子夜婚の儀の新郎新婦の消息については、ほとんど何も知らないとの事だった。聞けば、礼一自身も厨子村に帰ってきてから日が浅いらしい。それ以上の内情について、礼一は話さなかった。
 次に厨子夜婚の儀については礼一も詳しくは知らされていないらしい。
「大震が来れば、宮司さんがすべて準備を整えてくれるとの事です。その時になってから新郎に役目を伝えるのがしきたりだそうです」
 前回の嫁神の墓、というよりは祁堂家代々の墓には、礼一はお参りを済ませているらしい。前回の嫁神は「祁堂容子(けどう・ようこ)」という名前だそうだ。
 最後に、厨子夜婚の儀を子供に見せないというしきたりについて尋ねてみる。児童たちは臨海学校に、という既に判明した理由の他に、礼一が知っていることはなかった。
「僕が帰郷した時には幼子の姿も当然のように見ましたから、村以外の場所に預けているのかも知れないですね。根源的な理由は知る由もありませんが、それがしきたりであれば、理屈じゃないですから」

 ひとしきり話をした後、あなたたちが辞そうかと腰を上げると、礼一は同じように腰を上げて、「もしこれから花嫁の家に行くなら、ご案内しますよ」と申し出てくる。

【出題】
 礼一の誘いを受けて【花嫁へ挨拶】をするために香住家に行くか、自分で決めた行動を予定通りこなすか決めて、アクションを返信してください。礼一の誘いを受ける場合、4AP目のアクション【厨子神社へ行く】はキャンセルとなります。



(アクション・2)

「お心遣いありがとうがいます。でも、別の予定がありまして、花嫁の方には後日伺わせていただきますので。折角ですが、今回は遠慮させていただきます。」
 特に他意はないが、当初の予定通り行動したかったので、礼一氏の申し出は断ります。



(リアクション・2)

【厨子神社へ行く】
 厨子村で最も目を引く建造物が、芦鷹の管理する厨子神社である。厨子村の規模からすると、立派過ぎるほどに感じられる豪奢な社殿に至るには、山の斜面に沿って積まれた数百段の石段を登っていかなくてはならなかった。
 石造りの鳥居をくぐると境内が広がり、左右から灯篭に照らされた石畳の参道が社殿の前まで続いている。境内には本殿の他に舞殿、宝物殿がある。
 賽銭箱の上には噂どおり鈴は吊るされていなかった。代わりに直径80センチくらいの鐘が吊るされている。鐘と言っても、大晦日に打つ除夜の鐘とは違う。どちらかというと、西洋の教会の尖塔に吊るされる巨大ベルに近い。和洋折衷というよりは、明らかに不似合いで不自然で違和感のある光景だ。

 仄暗い境内は揺らめく灯火によって照らされていた。参道を挟む灯篭という灯篭に火が灯されている。灯篭の間をすり抜けて歩く人影―――白い千早(ちはや)に緋袴(ひばかま)姿の巫女―――が灯して回っているらしい。三つ編みお下げの少女・・・宮司の姪、芦鷹巧美だ。
 巧美はあなたと圭に気がつくと小さく頭を下げたが、点火作業の手を休めることはなかった。黙々と灯篭の間を行きつ戻りつし、次々に火を灯していく。

 ゆらり、と。
 暗闇から溶け出すように、黒いスーツの男が姿を現し、参道をこちらへと歩いてくる。灯火を反射して輝く銀縁の細い眼鏡。蒼戸空也だ。
 正確には、空也はあなたたちに向かって歩いてきたわけではない。途中で足を止めて、巧美に話しかけている。巧美は構えるように身を引いて、空也とは距離をとっている。空也が一歩踏み出せば、一歩後退るという風に。
 声は聞こえない。しかし、空也が何かを尋ね、巧美が首を横に振ってそれに応えた事は分かった。肩をすくめた空也がもう一言何か言うと、巧美は俯き、再び首を横に振った。そして少しだけ強い調子で空也に向かって言い放つ。
「あなたは巧美の待っていた人じゃないから、きっと」
 巧美の言葉を受けて、今度は空也が首を横に振る。ヤレヤレ・・・という軽い嘲弄の見て取れる仕草だった。
 巧美の頑なな様子に諦めたか、空也は彼女から離れ、あなたたちの方へと歩いてくる。
「儀式の性質から見て、怪しいのは芦鷹・・・もしくは祁堂。このどちらかが握っているのは間違いないな」
 すれ違い様、空也が呟く。あなたたちには視線を移さずに、あくまで独り言を装った風ではあったが。灯篭の明かりが届かない所まで行くと、再び空也の姿は闇に溶けた。

 あなたは自分が芦鷹の血縁にあることを巧美に明かす。巧美はコクンと頷いて「叔父さんから聞いてる」と応じた。
 あなたは厨子夜婚の儀の事、山震の事、携帯電話やTVの事について巧美に尋ねてみる。「巧美は携帯電話を持っていないから・・・」と前置きして、TVに関する質問に答えてくれる。巧美が生まれてからずっと、TVのチャンネルの数は変わっていないという。つまり、彼女が生まれる前からTVは都心並みの映像を受信できていた事になる。
 その他の質問については、首を横に振って応えた。
「巧美は知らない。まだ何も知らない」
 そして視線を落としてポソリと付け加える。
「芦鷹が巧美を必要とするのは、後何年か後の事だから」

 やがて灯篭に火を灯し終わった巧美も境内から去り、あたりは静寂に包まれる。
 帰郷2日目の夜が更けていく。